定年夫婦の暮らし方(店長日記)

盛岡に住む定年夫婦(昭和20年生)の暮らしを分ち合います。

2006年ピースボート世界一周の旅5/ダナン(ベトナム)

2008年04月15日 | 思い出の旅行

ベトナム/ダナン港
ダナン港着岸/4月11日12時  ダナン港~フエ

4月11日(火) 「フエ子どもの家を訪問/1泊2日」に参加
 ラジオ体操と太極拳に参加してヨットクラブで朝食。
 船窓から海鳥や漁船が見え、やがて陸地が現れる。港にはいると停泊している「silver shadow号」と書かれた豪華客船が姿を現す。ダナン港を見物するために甲板に上がる、外は蒸し暑く、直射日光が厳しい。2隻のタグボートが海底の泥を巻き上げながら懸命にトパーズ号を横から押している。近くを吃水ぎりぎりに荷物を積んだ小さな船が走行している。軍艦らしい船はなかったが、山の頂きにレダーが2基見え、ダナンが軍港であることをうかがわせてくれる。遠くにダナンの街の高いビルや建設中の大きな橋も見える。
 トパーズ号は予定より1時間早く着岸、岸壁にはベトナム青年同盟の青年達が到着し歓迎の準備が始まる。アオザイを着て傘をかぶっている女性の姿が美しい。歓迎の踊りが終わり、厳しい日差しを避けてビーチパラソルの下に入って休んでいる様子が面白い。
 13時上陸、簡単な入国手続きを終え、バスで出発。ベトナムは初めてであり、建物、乗物、人々の服装、行動、町並み、商店等何でも興味深い。
 街中の住宅、あるいは住宅兼店舗は間口が狭く、奥行きがある、日本の町家の住宅のような建て方である。平屋や2階建てもあるが3階建て4階建てが見られる。それらはたいていテラスと飾り柱をつけた装飾過多のものである。農村地帯にある家は一間くらいしか部屋がないと思われる程小さい、他に小屋や日陰棚があるくらいである。開放政策で貧富の差が出てきているのではと思われた。
 飲食店も二極分化している、金持ちや観光客を相手にするような豪華な店舗と一方は庶民相手の日陰にプラスチックのテーブルと椅子を置いただけのものである。街では路上でテーブルと椅子だけで営業している。そんな庶民相手の店で大の男が1つのテーブルを囲んで何かやっている姿をよく見る。
 ダナンの街に入り、中華レストランで昼食をとる。ベトナムは中国に1千年も支配され中国文化の影響を受けている、その一つが食文化である。我々が入ったレストランは完全に中国風の建物で、料理も中国料理そのものであった。春巻きが出たこととテーブルが回転しなかったこと位がベトナム風と言えるかも知れない。その他に酢豚、鶏肉、魚、エビ、野菜料理が出たが味は完全に中華であった。もう一つ、ベトナム風のビールの飲み方か、生温いビールを体験した。
 100km北にある古都フエに向かってバスは出発、漁村や農村の風景を見ながら、耳はストリートチルドレンの施設「フエ子どもの家」を始めた小山道夫さんの話を聞きながらのバスの旅であった。
 5時フエに入り、世界文化遺産に指定された王宮の城壁の中にある「フエ子どもの家」に到着。門があり中庭を囲むようにコの字型に建つ2階建ての立派な名もの、左側の建物が小山さんが市から譲られた700坪ほどの土地に自費200万円を投じて建てた部分。後はODAとかJIICAの援助で現在の形になった。中庭の大きな木が厳しい日光を遮ってくれる。ベトナムでは木は生活に欠かせない存在である。
 2階にある教室に集まり、子ども達の歓迎の歌と踊りが披露される。男の子が隣に座って手を握ってきた。会話集を見ながらコミュニケーションを試みる。まず名前を聞くと、DATOと書いてくれる。年齢は小学校5~6年生位か、身体を接触させ、手を握って話さない、私は父親代わりか。我々は、昨日皆で考えた歌を披露する。
 交流会が終わり、寮と教室を見学する。公務員を辞めてベトナムに来た京都出身の税田さんが案内してくれる。寮は2段ベットで1室に8~10名収容されている。自分のスペースはこのベットとベットに付けられた机だけ、周りに時間割とか絵とか飾ってある。英語、日本語、絵画、パソコンを勉強できる部屋や図書室、保健室がある。十分とは言えないが勉強する環境は整っている。
 見学を終えて、フェ子どもの家が経営する授産施設「日本料理屋」に移動する。完成したばかりできれいな店だった。小山さんは「家庭料理を出す庶民的な店のつもりなのに市長始め偉い人が来る、高級料理店と間違っている」と言っていたが狭いけど高級な雰囲気があった、ましてフエの人にとってはなおさらである。子どもの家出身者と日本人スタッフ、ベトナム人スタッフが頑張っていた。沖縄出身の62歳の女性ボランティアもいた。
 イカの刺身、イカ飯、海苔巻き、マカロニサラダ、コロッケ、糠漬け、トマト、酢の物インゲンのごま和え、きんぴら大根、芋のにっころがし、魚の甘辛煮、牛筋煮込み、素麺おにぎりをバイキング方式で自分で皿にとり、フエのしっかり冷えている地ビール(生ビール)を飲む。最後にマンゴ、スイカ、バナナの盛り合わせが出る。
 バスでホテルに向かう。ホテルは8階建ての「HOA HONG」ホテル、7階の部屋は広く、ナショナル製のクーラーは音がうるさいし調整ができないしろもの。風呂もボイラータンクが小さいので一度に湯を使わないようにとの注意を受ける。子ども達のことを思えばクーラーが効いているだけ良しとしなければならない。


4月12日(水)ベトナム/フエ~ダナン港
 朝、6時前に起床し2階にある食堂で朝食、コンチネンタルに麺があるところがベトナムらしい。辛いがおいしい牛肉麺であった。
 食後、散歩に出たが、まず我々を見てシクロの運転手が声をかけてくる。店を覗くと店員がしつこく迫る。道路の向こう側にある公園に行こうとしたが自動車やバイクが途切れなく走ってくるので結局渡るのをあきらめ、ホテルに帰る。ホテルの入口には絵はがきや土産品を売るおばさん、おじさんが集まっている、近づくと買えとうるさい。
 バスで子どもの家に向かう。子どもの家で文房具等の贈呈式をやり、子ども達の案内で歩いて3分ほどのところにある「ドンバ市場」へ昼食の食材を買いに行く。野菜、果物、魚、肉、雑貨、焼物、衣類まで生活必需品が揃う大きな市場で活気に溢れ、見ていて楽しい。ダットが私の手を取ってどんどん市場の中を進む、写真を撮りたいけどそんなことはお構いなし。時折、かごに入った野菜を子どもに渡している、昼食用の材料であろうか。
 30分ほどの自由時間が与えられたので再度写真を撮りに中に入る。立て膝の姿勢で曲線の刃の包丁を器用に使って魚をおろすおばさん、店には鰹、イカ、エビの他見たことがない魚も並ぶ。この市場で商売をしている人も買い物に来る人もほとんど女性である。
 雑貨屋さんで団扇(2000ドン)と古着屋で短パン(10000ドン)とTシャツ(10000ドン)を買う。
 子どもの家に戻り、子ども達と一緒に野菜を切ったり、魚やエビをさばいたり、昼食の準備が始まる。参加者の女性達は楽しそう。練炭が4個燃やせる大きな七輪の上にアルミの大鍋をのせて調理が始まった。壁の上には神棚がありバナナが供えられていた。
 料理ができるまで子ども達との交流会が始まった。紙風船や剣玉で遊んだり、大縄跳びや綱引きをしたり、中には得意の毛筆で漢字を書いて見せている人もいる。子ども達はこのような交流に慣れている様子、こちらが交流してもらっているような印象であった。
 食事はプラスチックのテーブルに穴があいた洗面器のようなアルミの容器に入ったご飯と焼物の容器に入ったスープと皿に盛られた鰹が乗せられ、子どもが給仕をしてくれる。ご飯にスープをかけて魚を皆で分けて食べる。スープは味がなく魚の塩味で食べる。これが普通の食事であろう。ご飯は沢山あるので満腹にはなる。
 施設前で記念撮影をする時に、「皆さんにお知らせしたいことがあります、今日、誕生日を迎えられた方がいます、湯口さんです!」とピースボート・スタッフの藤間さんから紹介され思いがけず皆から祝福された。
 記念撮影をしてバスに乗り、お土産を生産販売する授産施設に寄る。刺し子や刺繍をあしらった小物入れ、Tシャツ、ランチャンマット等、値段は高いが品が良いデザインである。由紀子は入れ子になった小物入れと絵はがきを買う。店の入口にはお土産売りが買えと品物を突き出すが誰も買う人はいない。
 フエでの日程は終わり、ダナンに向かいバスは出発する。古都フェを抜け、田園風景が続く国道1号線を南下、日本のODAで作った長いトンネルを抜け、峠を越え、湖を右手に見ながらのバスの旅であった。
 予定より早くダナン港に到着、他のツアー客も到着してくる。ダナンの若者との大交流に参加した若者達がベトナムの若者と手を取り合ったり、抱き合ったり、泣いたりして別れを惜しんでいる。若者達は良い交流ができたのでああろう。この交流によってベトナムを見る目も、日本人を見る目も変わったのではないか。少なくとも私たちのベトナムを見る目は変わった。
 出国手続きを済ませ船に入る。なぜか自分の家に戻ってきた安堵感があった。部屋で荷物を片付け、シャワーを浴び、洗濯をする。
 甲板に登り出港式を見る。甲板はテープが飛び、音楽が流れ、手が振られ、涙を流し別れを惜しむ若者でいっぱいだった。トパーズ号はゆっくり岸壁を離れていく。
 61歳の誕生日だったので夕食に生ビールと缶ビールを飲む、世界一周の船の中で誕生日を迎えるとは1年前には想像もしていなかった。デザートを食べ終わった頃、誕生祝いのケーキが運ばれ、ウエイターが集まり「ハッピ・バースディー・ツウ・ユー」を歌ってくれ、歌が終わると周囲の客も拍手で祝ってくれた。昨日と今日は色々な体験をした一日だった。

 


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