<VRM3初期の頃の165系>
光源を当てても例の三角形分割ラインがはっきりとは見えません。テクスチャで巻いてあるのとポリゴン分割数がかなり少ないせいかな?とも思ったのですが、それでは辻褄が合わないので、VRM3初期の頃はDirectXとの絡みでスペキュラ等がかなり弱いのか或いは全く無いのもしれません。よって、この方法でも比較的調査しにくいのですが、ポリゴン数は結構少ないようであるということは何となく掴めます。
<ちょっとだけ専門用語解説(乱暴な表現ですが)>
詳しくは↑(スペキュラ)のところのリンク先を御覧下さい。
スペキュラ・・・・『鏡面反射光』・・・ハイライトの部分だと思えばよいでしょう。
ディフューズ・・・『拡散反射光』・・・オブジェクト自体の色や質感だと思えばよいでしょう。
アンビエント・・・『環境光』・・・・・周囲の光の影響による色だと思えばよいでしょう。
「色=光」という図式がピンと来ない方は、こちらのリンク先にて。
<VRM3中期の頃のキハ58系>
どうもスペキュラによるものではないようですがポリゴンの三角分割化ラインがはっきり見えるような感じになってきました。しかし、後方の乗客席部分は大分ポリゴン分割数が少ないようで、まだそれほど複雑ではない状態です。
<VRM3後期の頃の787系>
ここまで来るとVRM4同様にスペキュラによるポリゴンの三角分割化ラインがはっきりと見えます。多分VRM4と同レベルのスペキュラにも対応して質感向上の対応が済んでいるのでしょう。また後方の乗客席部分もVRM4とかなり近いレベルの分割になっています。ここまで来ると、もう外面的にはほぼVRM4と同レベルのモデリングと言ってもよいのではないでしょうか。このレベルまで作り込んであればVRM4へも使いまわせると思うんですが、なかなかやってきませんね、アイマジック社は。ツッコまれるのが嫌なのか、それとも拘りなのか。まぁどちらなのかはわかりませんが、現時点までは資料は使いまわしてもモデルデータ自体は使いまわしていないんでしょうなぁ。JR東海を除くVRM3中~後期の車両がなかなか出てこないのは、この辺に理由があるのかも。
<VRM4のE217系>
帯のライン部分までもがポリゴンで分割されていることがよくわかるVRM4のモデリング。夜間対応→窓の開口→モデリングの複雑化ということも言えるでしょう。
<参考:E217系のR部分のクローズアップ>
R部分はどんな感じでポリゴン分割されているのかという資料になりますので。
さて、御覧のようにVRM3からVRM4へのモデリングの変遷を見てみると、ポリゴン数が増えていったり、質感の向上が図られていることがよくわかります。その分車両が精緻になって製作時間がかかるようになり、その分処理が重くなってユーザーのPCに負担をかけるわけですが(笑)。
しかしながら、この変遷というものは「VRM3ユーザーの要望を取り入れていったら、こうなっていった」という気がしています。
私は「何故VRM4の車両がポリゴン剥き出し状態になっているのか?」ということを不思議に思っていました。「全面にテクスチャを巻くと重くなるのか? でもVRM3はそうやっているし、そんなことはないよな。剥き出しにすることによって随分とモデリングが面倒なことになっているようだし、何故こんなことしてるんだ?」と。
その理由が今回の件で少し見えてきたような気がします。VRM入道「VRMに車輛自作機能は必要か?」とVRMのFAQから想像するに、
VRM2時代はユーザーがモデリングすることが出来た。
↓
でも、実際にはモデリングするユーザーは極めて少ない。
↓
VRM3は段々とモデリングやらテクスチャの設定やらが複雑化してきた。
↓
ただでさえ少ないのに、ここまで複雑になると仕様を公開してもモデリングするユーザーは更に少なくなるだろう。
↓
VRM3モデリングの仕様公開を断念。
↓
VRM3はモデリングやカスタマイズが出来ない!と一部のユーザーが反発。
という流れを受けて、アイマジック社はVRM4のモデリングの仕様を決めたのだろうと思います。つまり、
モデリングが無理なら、方向幕や車両番号といった車両テクスチャだけをユーザーが変更できるカスタマイズだけに絞ればよい。
↓
そのためには、VRM3のように全面をテクスチャで巻いてあると多重マッピングを使わねばならない。
↓
(Direct3Dで多重マッピングが出来るのかどうかは知りませんが、何らかの理由で使用しない方向となったのでしょう)
↓
仕方ないので、マッピング部分以外はポリゴン剥き出し状態にする。
↓
ポリゴン剥き出しの面倒なVRM4モデリングの仕様が完成。
という流れなのではないかと。
つまり、「モデルの精密化」とか「処理の高速化」とかが主目的なのではなく、ユーザーが「カスタマイズしたい」と望んだ、その要望を採用した結果なのではないかと思う訳です。勿論、夜間対応とかの他の要素も絡んでくるとは思いますが、一番の理由は「ユーザーの要望」を重視した結果なんじゃないでしょうか? 本当のところどうなのかは知りませんが。
---*---<脱線の脱線>---*---
「本当のところどうなのかは知りませんが。」
これが、アイマジック社とユーザー間の関係を象徴するような言葉だなぁと自分で書いていて思いました。
ghostさんの著書「鉄道模型シミュレーターレイアウト設計入門」のP135に、
「アイマジック社は、この業界では異色と思えるほどにユーザーの意見を取り入れた製品の改良を頻繁に行なうメーカーです。」
と書かれています。「幾らなんでも持ち上げすぎじゃねぇ?」と思って見ていましたが、「結果」だけを見ると確かにその通りなんじゃないでしょうか。
しかし、私がなかなかそう思えなかった理由というのは他に原因があるのだろうと思います。つまり、会議室等で提案してもその場では何もレスポンスはなく、何時の間にかコッソリと対応している。「結果」だけは確かに対応していますが、「過程」となるコミュニケーションが全くない。というのが理由ではないかと。
何と言うか、結局のところ、自分の意見が採用されて対応されたのか、そうじゃないのかがハッキリとはわからない。こんな感じでは余程の物好きでもなければ、改善提案とかは書かなくなるんじゃないかと思うんですがね(まぁここに一人その物好きがいますが)。で、とどのつまりは「バグだろうから早く直せ」的なものばかりになるような・・・。
まぁ、ユーザーとあまり遣り取りするのもトラブる可能性が高まるので、リスク回避の手段なんでしょうが。
そんな訳で、双方とも意見等の投げっ放し状態のような感じになっている訳ですが、ちょうどIMAGIC Blogもそんなところが見え始めてきたところですし、これがアイマジック社とユーザー間の関係の現状というところでしょう。まぁ、それはそれで別に構わんのですが。
というわけで、投げっ放しの意見を書きます(笑)。
①車両のスペキュラはちょいと強すぎる感があるので少し下げた方が良いのではないか。或いは好みの問題もあるはずなので、環境設定やスクリプト等によってスペキュラ等の値を調整できるようにするとか。
②ポリゴン剥き出しだとウェザリング的な要素が弱いので全面的にテクスチャを使い、カスタマイズ性に対してはテクスチャの多重マッピングでオーバーレイをかければ良いのではないか。出来るかどうかはわからないが。
③車両作成資料として写真の提供を呼びかけているが、図面等の2Dベクトルデータの提供も呼びかけてみたらどうか。その方がモデリングは遥かに楽になるはず。送ってくるユーザーがどれぐらいいるかはわからないが。
④昼間の無限遠光源1つという設定は、コントラストが弱くなるため絵としてのインパクトが非常に弱い。夜間設定にした上で無限遠光源2つを使用し、強い太陽光と逆向きの弱い反射光を設定(方向、色、強度のみ。減衰までは要らんでしょう)できるようにする。これにより明暗を調整することによってコントラストをつけ、現状では出来ないShadow(影)の替わりにShade(陰)を感じさせるようにしてはどうか。これはスキャンライン法でもよく使う手法。
⑤夜間の点光源6つは数量的には仕方ないと思うが、面光源がD3Dで可能なら搭載した方がユーザーは楽になるはず。当然、色と強度は必要だが。
リアルタイム3Dに関しては素人だから全く話にならないモノもあるでしょうが、とりあえず放り投げてみました(笑)。
そうだ。VRM5は、D3D10対応でジオメトリシェーダによるシャドウボリュームとディスプレースメントマッピングに期待しておきますわ。大半のユーザーがVista以降にならないといけないので、まだ先の話でしょうが。
---*---*---*---
かなり長く脱線しましたが、話を戻します。
そんな訳で、結果として複雑且つ精密になったと思われるVRM4のモデリングをもう少し見てみましょう。
<レインボーカラーのEF65のロゴ>
ポリゴン剥き出し状態になってしまったので、わざわざポリゴンでロゴを再現しなくてはならなくなってしまっています。テクスチャで対応すればかなり楽なはずですけどね。
<塗色違いの113系>
塗色違いもテクスチャだけで対応できれば楽なのに、色の境部分をわざわざモデリング段階から変更しなくちゃならん訳ですな。
<疑惑のあったC57>
一時期、「塗色違いは手間がかかる」とアイマジック社が公表したのに、C57のバリエーションが一気に出たことで、アイマジック社が公表したことは本当なのか?という疑惑がもたれていましたが、これを見ると多分理由もわかるでしょう。
ボイラー室等のC57のボディの大半はカスタマイズ性も不要なのでテクスチャで巻かれています。運転席あたりだけがVRM4モデリングの特徴であるポリゴン剥き出し状態です。蒸気機関車は複雑な形状をしているため、VRM3手法とVRM4手法が混在しても縁がうまく切れるのでこういうことが出来たのでしょう。なので、比較的時間がかからずモデリングが出来たのではないでしょうか。
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という訳で、VRM3後期のモデリング段階でも「ユーザーにはモデリングは無理だろう」と判断されるレベルですから、それを上回るVRM4モデリングに挑戦しようというのは当然そんなに楽な道程じゃないはずですな。
<ED75の下回り>
リアルタイム用だというのに細かい部分も結構よく作ってあるよなぁ。こういうの再現するのは結構面倒臭そうだよね、ポリゴンモデラーじゃ。スプラインモデラーなら楽勝だけど。あぁLightWave3Dレベルならパス押し出しぐらいついているはずか。
少しのつもりが大分長くなってしまった。
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