【「“RUBBER SOUL”のレコーディング」から】
まず最初に、この曲のタイトルの「誤訳」については、この記事で
取り上げている。‘Norwegian Wood’はそれまでのビートルズの作品
とはかなり異なった趣きをもつ曲である。この趣きはは‘No Reply’
の延長と言えなくもないかもしれない。
最後に主人公が「彼女」の部屋に火を放ち「いい感じじゃん。ノル
ウェーの木材はよぉ~」とつぶやく趣向は、ジョンの出版物“IN HIS
OWN WRITE ”“A SPANIARD IN THE WORKS ”の世界そのものである。
日本では「ノルウェーの森」というロマンチックな邦題が付けられた
ため、コミック的な展開を含んだものであることは、広くは知られて
いないようである。
さて、1965年10月12日の19時から23時30分まで、“TAKE 1”が収録
された。この時のタイトルは副題である‘This Bird Has Flown ’で
ある。演奏は“ANTHOLOGY 2 ”でも聴くことができるので、今回は、
最終リリース・ヴァージョン(TAKE 4)との相違点を整理することを
メインとしたい。
“TAKE 1”は、その時点ベストと見做され、9日後の21日の14時30
分から19時まで、「リメイク」という名の下、レコーディングが継続
された。なお、この時点でタイトルが‘Norwegian Wood’と変更され
た。
“TAKE 4”では、ジョンがイントロのアコースティック・ギターを
2回立て続けに間違える。1回めの失敗では“No”と、2回めの失敗
では“Wrong ”と言っている。このテイクは淡々と進むが、ヴァース
Bの途中、“sit anywhere”のインターバルで誰かがした「クシャミ」
をそのまま収録している。この「クシャミ」は、“RUBBER SOUL ”の
「モノラル・ヴァージョン」で聴くことができる。演奏が終わると、
ジョンは「やったぜ」とコメントを発した。曲のイメージをもっとも
決定づける「キー」について、どの段階で「D」から「E」へと変更
されたのか、不明である。
さて、最後に“TAKE 1”と“TAKE 4”の相違点を整理してみよう。
1.キー
TAKE 1:D
TAKE 4:E
2.テンポ
TAKE 1:やや遅め。
TAKE 2:“TAKE 1”との比較であるが、やや早めで軽い感じ。
3.イントロ
TAKE 1:アコースティック・ギターの他、1小節目からシタール,
ベース,フィンガーシンバルが入る。
TAKE 4:最初の2小節はアコースティック・ギターのみ。3小節
目からシタール,ベース,もう1本のアコギが入る。
4.2番の歌詞
TAKE 1:“Drinking her wine/Binding my time”と歌う。
TAKE 4:“Binding my time/Drinking her wine”と歌う。
5.間奏
TAKE 1:2小節
TAKE 4:4小節
6.エンディング
TAKE 1:一旦終止した後、シタールのラインが入る。
TAKE 4:終止後、無音状態。
7.タンバリン
TAKE 1:曲全体に一貫して入っている。
TAKE 4:間奏後から入る。
8.フィンガー・シンバル
TAKE 1:曲全体に一貫して入っている。
TAKE 4:入っていない。
9.アコースティック・ギター
TAKE 1:1本
TAKE 2:2本
10. ジョンのヴォーカル
TAKE 1:ヴァースAの2小節の最後のフレーズ(例:“she once
had me”や“Norwegian wood”)でダブル・トラックに
なっている。
TAKE 4:シングル・トラック。
それにしても、この曲に“Sitar ”をフィーチャーしたことは、大
ヒットである。「北欧の国のタイトルなのに、インドの楽器とはこれ
いかに」なんて言わずに・・・ね。
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だから最後の一行は、別に家に放火したってことじゃなくて、彼女のご自慢の家具に火をつけてやったということみたいです。…同じことか
アンソロジーで聞けるバージョンは、ジョンは割りと太い声で、ちょっといやらしくふざけてるように歌ってますね。
「ノルウェーの森」だと想像力がかきたてられますが
「ノルウェー産の木材」だと・・・(^^;
例の小説の作者もこのあたりについてどのように
受け止めていたのか、興味があります。
ともかくもこの曲、「よい」ですね♪