らば~そうる “IN MY LIFE”

旅、音楽、そしてスポーツのこと。過去、現在、そして未来のこと・・・「考えるブログ」。

601.開発アウトソーシングと知的財産の共有

2007-06-29 | 61.Business
 自社の知的財産は、外部の目が届かないように「秘密」にすべきで
ある。アウトソーシング、特にオフショアリングともなれば、当然の
ことである。しかし、本当にそうなのであろうか。

 1980年代から1990年代にかけて、メリルリンチ社がブルームバーグ
社と締結したシステム開発アウトソーシング事例からもわかるように
むしろ共有したほうが、両者に僥倖をもたらすこともあるのだ。

 知的財産(IT資産を含む)は、有形資産と異なり直ちに所有する
ことができ手放すこともできる。有形資産の場合、外注して開発した
ものすべてについて、その所有権を主張することは理にかなっている。
しかしIT財産の場合、発注企業がしばし盲目的になってしまう事例
も散見される。

 発注企業がアウトソーサーの開発したIT資産を他の顧客企業にも
販売することを許諾すれば、アウトソーサーはその「製品」を独自性
の高いものにしようと懸命に努力するだろう。またアウトソーサーは
その開発費を複数の顧客企業に納入することにより回収効率が高まる
ため、結果として販売プライスも低く(註:安くなるではない)なる。
つまり、企業は独自技術を所有するという競争優位を犠牲にする代わ
りに、より改良された技術を低価格で手にすることができるのだ。

 オフショアリングの場合、知的財産権の共有はさらに合理的な手段
となりえるのだが、アウトソーサーが本籍を置いている国家の知財に
関する法制度が整備されていなければ、知的財産の流出というリスク
を伴うことになるだろう。

 手放す「もの」に対し固執するのか、はたまた代わりに得る「もの」
に着目するのかは、企業ポリシー次第である。



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2 Comments

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Unknown (FKH)
2007-07-06 23:45:00
「知的財産」「知的所有権」って言葉・・・
ウチらが新人の頃に言われ始めてましたね。
会社でも教育やったり小冊子配られたり。。。。
当時は「どうでもいいじゃん」って感じで
まだまだそのあたりに関する意識も低く、
その後10年くらい経ってようやく浸透した
感がありますね。


アウトソーシングという言葉は当時まだ浸透してませんでした。
「がいちゅうさん」がせいぜい。

自社のメーカー以外のものを、自分らのシステムに取り込んで、
さらにはメンテまで面倒みるなんて時代が来ることは
想像できませんでしたねぇ・・・。

仕事的にはやりやすかった時代でした。

ところで「オフショアリング」って何?
最近「業界人」じゃないもんでわからん。
サーフィン用語じゃないよね?
返信する
業界2 (らば~そうる)
2007-07-07 23:50:04
to:FKHさん

知的財産権。
ここでの話題はいわゆる著作権。
ソフトウェアなどの無形の著作物の帰属権や使用権
ですね。

近年ではいわゆる特許権がホットでして
守りと攻めがあります。
特にオープン化、ブロードバンド化が進行し
世界がさらにシュリンク化(情報伝達や入手が速く
なるという意味)すると
いろいろなソフトウェアに触れる機会が加速度的に
増加しているわけです。
アマゾンの書籍・CD購入のように。
開発したアプリケーションの中に既権利化された
アイディアが混入していないかを事前調査したり
戦略的に開発製品に実装されるアイディアを権利化し
同業他社に牽制を図るなど。
ビジネスモデルにまで範囲は広がっています。

>自社のメーカー以外のものを、自分らのシステムに取り込んで

このくだりは「メーカー(ベンダー)固有の
アーキテクチャー」(クローズド)から
「オープンアーキテクチャー」への移行に関する
ものですね。
これも1990年あたりから進行し、現在では・・・
周知のとおりです。

>「オフショアリング」
とは開発を自国以外の国の企業・団体に委託する
ことを意味します。
発注側の主たる目的としては、顧客への
品質・納期を確保しつつコストダウンを実現する
ものです。

日本の場合、一般的な傾向として
中国やインドそしてベトナム等への
発注・購入が増加しています。
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