らば~そうる “IN MY LIFE”

旅、音楽、そしてスポーツのこと。過去、現在、そして未来のこと・・・「考えるブログ」。

1086.BECAUSE(“ANTHOLOGY 3” Version)

2008-10-26 | 12.THE BEATLES
 1969年にリリースされたビートルズのアルバム“ABBEY ROAD”に、
‘Because ’が収録されています。だれもがこの曲のジョン、ポール
ジョージによる3声のハーモニーに魅了されたことでしょう。そして
その魅力は、27年が経過した後の“ANTHOLOGY 3 ”の中でさらに倍増
されました。いわゆる「ア・カペラ・ミックス」です。

 1969年ともなると、ビートルズのレコーディングには8トラックの
機材が使用されていました。この曲のトラック構成は、以下の通りと
推察されます。

 トラック№ トラック内容(音源)
  1    エレクトリック・ハープシコード(マーティン)
  2    ベース(ポール)
  3    ギター(ジョン)
  4    ヴォーカル①(ジョン・ポール・ジョージ)
  5    ヴォーカル②(ジョン・ポール・ジョージ)
  6    ヴォーカル③(ジョン・ポール・ジョージ)
  7    シンセザイザー①(ジョージ)
  8    シンセザイザー②(ジョージ)

  ※トラック№は、便宜的に付しています。実際の№は異なります。

 初期のような2トラックや4トラックの機材によるレコーディング
では、すぐに各トラックが音源でいっぱいになってしまいます。より
厚い音を創出するためには、物理的制約がありました。そこでエンジ
ニアは「空きトラック」を捻出するために、録音済みの複数のトラッ
クの音源を一つのトラックに集約する作業をしていました。この曲の
場合は、そのような作業は無かったと思われます。
 
 従って、この曲の場合、オリジナル・テープからヴォーカルのみを
抽出する作業は、それほど難しいものではありませんでした。トラッ
ク№4~6以外の音源をフェーダーの操作によってレベル0にすれば
よいのですから。しかしたとえそうであっても、ヴォーカルをレコー
ディングする際にヘッドフォンから流れているバッキング・トラック
(カラオケ)の音量が大きく、その音を高性能のヴォーカル・レコー
ディング用のマイクが拾ってしまっていたのです。

 これでは「ア・カペラ」の魅力が半減します。そこでエンジニアは
工夫します。抽出されたヴォーカル・トラックの音源に対して、加工
処理を施したのです。ヴォーカルの空白域で残響しているバッキング
トラックの音を部分的に消去したり、ヴォーカル音に対してエコーを
加えることによって、教会風の荘厳な雰囲気に見事に仕立てあげたの
です。残念ながら、消去作業には限界があり、「カジノ」の音が曲の
中で4箇所ほど聞こえてしまっていますが・・・。

 このような過程を経て‘Because(“ANTHOLOGY 3” Version)’は
完成しました。あらためて「ア・カペラ・ミックス」を聴きなおして
みると、ビートルズの最高のインストゥルメンツは、実は「彼らの声
そのもの」であったと感じてしまうのです。



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2 Comments

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ヘッドフォンから流れているバッキング・トラック (mino)
2008-10-26 23:34:16
確かに“ANTHOLOGY 3 ”が出る前のブートではバッキング・トラックが微音量で冒頭からずーっと聞こえてましたね。
「カジノ」の音"LOVE"ヴァージョンのリミックスではどうでしょうね。カーステでしか聞いた事が無かったので。。。マーティン氏は鳥の囀りをミックスする事で誤魔化したのかな?
返信する
容認されるゴマカシ (らば~そうる)
2008-10-27 00:23:43
to:minoさん

人間の聴力には限界がありますが
オリジナルテープが濁っていますから
“ANTHOLOGY 3 ”でも“LOVE”でも結局は
ゴマカシになってしまうのですね。

リスナーにとっては
「なんともうれしいゴマカシ」ですけれども♪
返信する

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