蝦夷犬(エゾイヌ)

あでやかに花魁道中復活

河北新報電子版 朝刊
2023年5月11日 23/26

4年ぶりに、酒田まつりで「花魁道中」が開催される。
酒田市は、江戸時代に徳川家の譜代大名だった酒井氏の藩であり、北前船で財を成した本間家が、酒田の豪商として君臨していた。
本間様には及びもせぬが、せめてなりたや殿様に、と謡われた豪商中の豪商である。

1976年(昭和51年)10月29日に、22.5haを消失する戦後 最大級の大火が起きて、江戸時代の名残りはほとんどを失った。
その後に再建された酒田市商店街は、日本中の有名店が顔を揃えた、近代的な理想の商店街として、日本中にとどろき、その行方を固唾を飲んで、見守ったと言っても過言ではなかった。

そして、時代は移り、閑古鳥が鳴きぺんぺん草が生える商店街の残骸が残った。
酒田市が、例えば仙台市などのような100万都市の商圏が存在したら、このようなツギハギだらけの商店街にはならずに、地方の復興成功例として、今日でも夢のような街と称されて居ただろう。
あるいは、商圏規模を見た行政の後押しがあったなら、まったく違っていたはずである。

いずれであれ、復興は失敗した。
しかし、庄内地方は様々な面で豊かな地域である。
将来を見据えれば、発展の芽は少なくない。
だから、花魁道中ひとつをとっても蔑ろにできるものでは無い。
ところが、せっかくの庄内美人の産地なのに、メイクは素人に毛の生えたレベルに見える。
せめて、少々値の張るメイクアップアーティストを呼ぶとか、あるいは、東北地方を中心とするアーティストの中からでも、それなりの人材を選べば、惨状は避けられただろう。
現役から30年以上も離れている私如きであれ、突発的に注文されても、ふさわしいメイクは出来る。
今年度は無理だろうが、来年度以降には、それ相応の人にお願いしなければ、まつりの華のひとつが好い加減なものに見られて、やはり酒田市はチグハグなと、将来の芽まで潰しかねない。

酒田市は東北地方のテストケースとして、非常にシンボリックな存在だと思う。
飽きるくらいに酒田まで遠征して、あの素晴らしい夏牡蛎を食べた。
蕎麦がきのような、鍋も美味しい。
何よりも庄内美人が良い。
米どころで、日本海のすべてが集約されているような土地柄も、文句のないものと言えよう。
あの大火のあとの街づくりが日本全体に広く知られた。
何度となく、地方紙全国紙を問わず、報道された。

地に足が着いた、グランドデザインが作られていたなら、と地元の人さえ話題にしていた。
浮き足立って、先に進みたいことは理解できる。
本間家のようなずば抜けた存在が居るなら任せれば良い。
だが、酒井庄内藩が幾度も改易の危機を脱したのは、庄内人の結束の凄さゆえだったハズ。
全体像を描いて、まつりひとつとっても、ほかとは差別化して、特化できる実力は、未だ発揮されていない。
ゼロベースから、再構築して、ピリリと感じられる街を作って頂きたい。
いまこそ、庄内人の気骨を示して欲しい。


記事を投稿してから気になって、「京都 花魁体験」で検索してみた。
ごく普通の、納得出来るレベルの花魁体験ができるようだ。
まつりという華やかな場で、遠来の見物客にご披露するものである。
ぜひ、ご自分たちでご覧になり、あまりに紛い物のようなものは如何だろう?
酒田まつりの関係者の方の目に留まり、再検証をご忠告したい。
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