刑事物や、ムショ帰りの女性の話ばかりじゃないんだ!
乃南アサ 著 「地のはてから 上/下」 講談社
大正から昭和への時代。
知床のウトロのまだ先、岩宇別へ集団移住した家族の話。
福島の農民が、都会に憧れるが投資に失敗し、借金を抱えて
逃げるように、北海道へ集団移住する。
北海道の開拓は、その頃の国策だったのだろう。
この小説は、その妻や子供達の話。
家長の権限が絶対だった戦前の家族制度の中、
夫にはどうしても従わなければならない妻は、いやいや移住するが、
家族を守らなければならない危機に直面すると、強くなる。
男より女の方が強い!
この小説は、その娘「とわ」の半生!
極貧の中、厳しい最果ての地に生きていく、女性が描かれていた。
恋もあり、そして女性の強さ。
読み進むと、やはり乃南アサの小説だと思う。
女性の心の機微が描かれている。
「とわ」は、私の両親たちとほぼ同時期のひと。
この頃の人は、苦労して戦前・戦後を過ごし
今の世の幸せを、私たちに残してくれたのだろう。
この小説のお気に入り度:★★★★☆
最近の「本と雑誌」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事