Runrun日記

最近読んだ本ー賢帝の世紀



塩野七生 著 「ローマ人の物語 24~26 賢帝の世紀[上・中・下]」 新潮文庫

ネルヴァ以降の五人の皇帝は、五賢帝と呼ばれるそうです。この巻では、そのうちの三帝の治世が描かれています。

皇帝名在 位 期 間
トライアヌス紀元98年~117年病死 63歳
ハドリアヌス紀元117年~138年病死 62歳
アントニヌス・ピウス紀元138年~161年病死 75歳
この皇帝たちは世襲でなく、実力や人柄を見極められた上、養子とされて後継者として選ばれています。我が子に皇帝を引き継ぎたいと思うのは親心、しかし、子に皇帝としての力があるとは限らない!

帝国の統治に必要なことは、「食の確保」と「安全保障」

この時代、堅実な統治により、帝国内のどの属州も繫栄していたようです。安全保障も、帝国内での部族間の争い事も無く、国境をめぐる防衛に力を注げばよかった。

国境で問題があったのは、①ドナウ河の防衛線
ドミティアヌス帝の時代に、ドナウ河下流域・現ルーマニアあたりのダキアで反乱があった。ローマはいったん敗れ将兵が捕虜にされたが、ドミティアヌスはそれを金銭で取り戻すという和睦で解決してしまっていた。ローマ人としての誇りが、傷つけられる事だった。
トライアヌス帝は、この和睦には不満があった。トライアヌスは周到な準備をして、ダキアに攻め入り滅ぼした。ローマにトライアヌス円柱というモニュメントが残されていて、其処にダキア戦役の様子のレリーフが描かれてあるそうです。1900年以上も前の戦役の様子が、今でも見られるって事は、素晴らしい事です。

古代ローマの人達がした事で、どうしても許せない事があります。コロッセウムを会場とした剣闘士闘技で、捕虜としたダキアの兵士たちをプロの剣闘士たちと戦わせたり、野獣と戦わせてそれを観戦したという。許せない!!!

②ユーフラテス河の防衛線
トライアヌスが60歳になった時、アルメニア王国の王位をめぐって、パルティアとの間で問題が発生します。いつもの事ですが、今回は断固として、パルティアまで攻め入ります。パルティア王は逃走するが、ゲリラ作戦に出て戦いは混迷します。この隙を突くようにユダヤが反乱します。ユダヤを制圧した所で、トライアヌスは病気になって死んでしまいます。
後継者のハドリアヌス帝は講和により和平を得ることで解決しました。トライアヌス帝の野望は頓挫してしまうのですね。

ハドリアヌス帝は、帝国内の各地を旅行・視察し、有効な対策を打って帝国内の統治をします。
ローマ帝国の防衛体制全体の再構築をしました。

国内の問題は?
ハドリアヌス帝は、ローマ法を見直し整理します。
アントニヌス帝は、それを定着させればよかった。

たびたび問題になるのはユダヤ教徒の問題です。
一神教を信じ神政国家樹立を目指す急進的なユダヤ人は、多神教で政教分離のローマとは、どうしても馴染むことが出来ませんでした。
ハドリアヌス帝は、ユダヤ人が宗教上しなくてはならないとされている、割礼を禁止し、ユダヤ人を挑発した?
131年になると、またユダヤ人がイエルサレムで反乱を起こします。ローマはイエルサレムを破壊し制圧、ユダヤ人がイエルサレムに住む事を禁止しました。祖国を奪われたユダヤ人たちは20世紀になるまで「離散」することになってしまいました!

平和の時代のアントニヌス帝
アントニヌス帝は、バランス感覚抜群の人だったようです。
先の皇帝たちが、行ったことを引き継ぎ定着化させればよかった。
ユダヤ教徒のイエルサレム居住禁止令は解除しなかったけれど、割礼禁止は解除した。

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