塩野七生 著作 「海の都の物語」 新潮文庫
私は、ヨーロッパの歴史なんぞ、よく知りません これは、ヴェネツィアの物語なんだけれど、ヴェネツィアって、ゴンドラの行き交う、綺麗な街の事?
古代ローマ帝国が衰退し蛮族が押し入って来た時、ヴェネツィアの人達は、海上の干潟に逃げ込んで街を造ったとか。周りは、満潮の時は海となり、引き潮の時は泥の沼潟となってしまう所で、蛮族たちは、そんな所へ攻め込むのは馬鹿らしくって止めたとか。ヴェネツィアは、魚と塩しか捕れない所で、それを売る所から始めて、巨大な海洋商業都市国家となったとか。
この本には、大国に挟まれながらも一千年に亘って、したたかに生き抜いたヴェネツィア共和国の歴史が描かれていました。私にとっては読みづらくって、少し斜め読みになってしまいましたが・・・。
東地中海の覇権をめぐっての戦いが興味深い。十字軍の時代のラテン帝国建国。ビザンチン帝国の崩壊に、トルコとの対立。同じく海洋商業都市国家だったジェノバとも、激しく戦った。キリスト教国で有りながら、政教分離を実践した国だった。マルコポーロってヴェネツィアの人だったのだ。シェイクスピアの「ベニスの商人」の舞台も此処。
「水の都」とか「アドリア海の真珠」とか呼ばれて、中世の東地中海を席巻した海洋商業都市国家だったのですね。
大航海時代になると、貿易の舞台は地中海から大西洋やインド洋に移り、ヴェネツィアの貿易に対する影響力は低下していきます。スペインなどのヨーロッパの大国と、東のトルコに挟まれ、東地中海の覇権も奪われしまいます。貿易だけでは生きてはいけない国となります。
最後は、非武装の中立国家として、暫く平和を享受したというから面白い。
手工業が発展し、文化都市になった。私の大好きな、アルビノーニやヴィヴァルディもその時代のヴェネツィアの人だったらしい。
1797年、ヴェネツィア共和国はナポレオン・ボナパルトに侵略されて崩壊してしまいます。
国の体制が、時代に合わなくなっていたのですね。
非武装中立と云ったって、そんな事、無視されて攻め込まれれば術は無いのだ。
私の知らない、ヴェネツィアの街。一度は行ってみたいところかも知れません。
この本のお気に入り度:★★★☆☆
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