緑の風

散文詩を書くのが好きなので、そこに物語性を入れて
おおげさに言えば叙事詩みたいなものを書く試み

満月の光(poem)

2023-01-25 20:24:50 | 

 

満月の光(poem )


ふと思う、旅の悠久の流れ
人間社会の善だの悪だのと争うことも夢のよう
ミサイルだの戦車だのが消え、わが山荘に、梅のような花が降っている、
そこで、永遠の古典を読み、神仏の空気を吸おう、

街角は花壇にあふれている、果物と音楽
ベンチで人が微笑し、やわらかい雲が塔をつくっている
私は歩いている、無一物で歩いている
向こうから、友が来る、無一物でやってくる

おお、友よ、ここに透明な庭園と森をつくろう
そしてどこからともなく訪れる妖精の国としよう
汚れのない、砲弾のない、花のような、宝石のような街角
人が永遠を知ることの出来る町をつくろう
空気がおいしい街角、呼吸して霊気を感じられる街角があれば
太陽が神である街角、友よ、そのカフェーで珈琲を飲もうではないか
 
夜は天の川の見える星空となる。

庭園には様々な花が開き
かぐわしい香りがあなたから発せられるのだろうか
あなたの目は微笑している、薔薇のように
あなたの目は涙にうるんでいる、紫陽花のように

おお、せせらぎの優しい音が芸術のように奏でられている
優しく、そして激しく、あなたの音色は神秘な色に満ちている
百合の花に似たあなた、どこから姿を現したのですか
海に沈む夕日の輝きがあなたにはある、ああ、熱帯の鳥の声

先程から降る雨の音を聞きながら、あなたの顔を見ているこの私
私は、今消え入りそうです、今ここの永遠の懐のなかに
雷が聞こえます、私は朝、目を覚ましたかのようにあなたを見る
あなたは笑っている、黄金のように
あなたは泣いている、真珠のように
夜、どこからともなく響く、ヴイオロンのすすり泣きと微笑

 庭に咲く向日葵のような大きな赤い花の横に、明珠の国の目をした女が立っていた。満月の光に照らされて、細く白い首に明珠のネックレスをつけた彼女はすらりとしていて、幻想的な美に満ちていた。全世界は一個の明珠であると、彼女は言って、私に微笑んだ。
「ミサイルが飛び出るのを見てみなさい」と彼女は言う。
それが行きつく先で、多くの人が死ぬ
空海の言葉を思い出すのがいい「三界の狂人は、狂せることを知らず」
アイゼンハウアー氏が言ったことも思い出すのです
「 産軍共同体の力に気をつけなさい」
戦争は悪、武器は悪、
明珠の国に目覚めた者はそう思うのです
軍縮こそ人類の道、そのためには話し合わねば
明珠の街角にたたずむ彼女はそう微笑む
満月が赤い花を照らしだしていた。
全世界は一個の明珠である

その明珠の街角で、
満月の光が届くカフェテラス
花壇に咲くは明珠に包まれた花
そこで、永遠について語ろう
コーヒーの味も浄土の味がする
どこからか歌声が聞こえてくる
全世界は一個の明珠であると


歌声はさらに続く
「政府に影響力を与える産軍の力を見て
世界情勢を見ると、
平和な国土を守る日本がどう動くべきかよく分かる
軍縮のための話し合い外交こそ、日本を守る」

全ての国の人々は友人である
全世界は一個の明珠であるという釈迦の悟りの境地を学習すれば
全ての国の人々は友人であることが分かる
喧嘩する必要性などないのだと説得する、それが話し会いではないか
その時、世界に美しい花火が上がる
美しい大きな花が空から舞うに違いない
永遠のいのちが喜びで美しい踊りを見せ、
聞いたこともない胸にしみる浄土の音楽が聞こえてくるに違いない







【久里山不識】
現代詩を創作するのはそう易しくないです。私が過去五十年に吸収した宗教哲学のエキス
と現代社会を見る目をミックスして、そこから咲く幻のような美しい花を結晶化させねばならないのですから。そして、何よりも大切なことは読者の心に何かしらの美しい花を届けねばならないということが大切なのですから。

現代詩であるからには今、世界終末時計に示されるように大変な危機にあるのですから、出来れば
そこから脱出するイメージも入れたい所です。
今回は産軍共同体を入れてみました。このことはアメリカのアイゼンハワー大統領が退任挨拶で、アメリカ国民に警告したことで、大変有名な演説で、私も若い頃から、記憶していたものです。