緑の風

散文詩を書くのが好きなので、そこに物語性を入れて
おおげさに言えば叙事詩みたいなものを書く試み

NEW 森に風鈴が鳴る 前編とお知らせ

2023-08-21 14:24:29 | 

 

   
   
 
【久里山不識】
「霊魂のような星の街角」「迷宮の光」( アマゾンで電子出版)

満月の光(poem)

2023-01-25 20:24:50 | 

 

満月の光(poem )


ふと思う、旅の悠久の流れ
人間社会の善だの悪だのと争うことも夢のよう
ミサイルだの戦車だのが消え、わが山荘に、梅のような花が降っている、
そこで、永遠の古典を読み、神仏の空気を吸おう、

街角は花壇にあふれている、果物と音楽
ベンチで人が微笑し、やわらかい雲が塔をつくっている
私は歩いている、無一物で歩いている
向こうから、友が来る、無一物でやってくる

おお、友よ、ここに透明な庭園と森をつくろう
そしてどこからともなく訪れる妖精の国としよう
汚れのない、砲弾のない、花のような、宝石のような街角
人が永遠を知ることの出来る町をつくろう
空気がおいしい街角、呼吸して霊気を感じられる街角があれば
太陽が神である街角、友よ、そのカフェーで珈琲を飲もうではないか
 
夜は天の川の見える星空となる。

庭園には様々な花が開き
かぐわしい香りがあなたから発せられるのだろうか
あなたの目は微笑している、薔薇のように
あなたの目は涙にうるんでいる、紫陽花のように

おお、せせらぎの優しい音が芸術のように奏でられている
優しく、そして激しく、あなたの音色は神秘な色に満ちている
百合の花に似たあなた、どこから姿を現したのですか
海に沈む夕日の輝きがあなたにはある、ああ、熱帯の鳥の声

先程から降る雨の音を聞きながら、あなたの顔を見ているこの私
私は、今消え入りそうです、今ここの永遠の懐のなかに
雷が聞こえます、私は朝、目を覚ましたかのようにあなたを見る
あなたは笑っている、黄金のように
あなたは泣いている、真珠のように
夜、どこからともなく響く、ヴイオロンのすすり泣きと微笑

 庭に咲く向日葵のような大きな赤い花の横に、明珠の国の目をした女が立っていた。満月の光に照らされて、細く白い首に明珠のネックレスをつけた彼女はすらりとしていて、幻想的な美に満ちていた。全世界は一個の明珠であると、彼女は言って、私に微笑んだ。
「ミサイルが飛び出るのを見てみなさい」と彼女は言う。
それが行きつく先で、多くの人が死ぬ
空海の言葉を思い出すのがいい「三界の狂人は、狂せることを知らず」
アイゼンハウアー氏が言ったことも思い出すのです
「 産軍共同体の力に気をつけなさい」
戦争は悪、武器は悪、
明珠の国に目覚めた者はそう思うのです
軍縮こそ人類の道、そのためには話し合わねば
明珠の街角にたたずむ彼女はそう微笑む
満月が赤い花を照らしだしていた。
全世界は一個の明珠である

その明珠の街角で、
満月の光が届くカフェテラス
花壇に咲くは明珠に包まれた花
そこで、永遠について語ろう
コーヒーの味も浄土の味がする
どこからか歌声が聞こえてくる
全世界は一個の明珠であると


歌声はさらに続く
「政府に影響力を与える産軍の力を見て
世界情勢を見ると、
平和な国土を守る日本がどう動くべきかよく分かる
軍縮のための話し合い外交こそ、日本を守る」

全ての国の人々は友人である
全世界は一個の明珠であるという釈迦の悟りの境地を学習すれば
全ての国の人々は友人であることが分かる
喧嘩する必要性などないのだと説得する、それが話し会いではないか
その時、世界に美しい花火が上がる
美しい大きな花が空から舞うに違いない
永遠のいのちが喜びで美しい踊りを見せ、
聞いたこともない胸にしみる浄土の音楽が聞こえてくるに違いない







【久里山不識】
現代詩を創作するのはそう易しくないです。私が過去五十年に吸収した宗教哲学のエキス
と現代社会を見る目をミックスして、そこから咲く幻のような美しい花を結晶化させねばならないのですから。そして、何よりも大切なことは読者の心に何かしらの美しい花を届けねばならないということが大切なのですから。

現代詩であるからには今、世界終末時計に示されるように大変な危機にあるのですから、出来れば
そこから脱出するイメージも入れたい所です。
今回は産軍共同体を入れてみました。このことはアメリカのアイゼンハワー大統領が退任挨拶で、アメリカ国民に警告したことで、大変有名な演説で、私も若い頃から、記憶していたものです。

 

 


明珠の街角(poem)

2022-12-24 20:27:22 | 

 

* 明珠の街角
琥珀色の惑星の湖面に
 突然 幻の様に 町が現れる
そして、祭りの太鼓や笛の音、それに賑やかな人々の声がしばらく続く
そして、再び静寂が訪れ、
いつの間に 町が消えている
そして又、幻のごとくに赤と黄色い薔薇の花が咲く
 花瓶の小さな口から、かすみの様な霧が現れ、
深い霧は薔薇を包む

霧が晴れると、薔薇は南国の街角に変化する
そこには人々の笑い、泣き ざわめく音が
森の梢のささやきの様に聞こえる

ああ、いのちを持つ人々よ
いのちこそ 愛と慈悲の源泉
それならばこそ、いのちを傷つけるのは悪
人は平和な町で
飲食をし、雑談をし、
美しい日差しを楽しむ
これこそ、いのちの喜びではないか
そこに炸裂するミサイルなど許される筈のない悪のわざ

私は神秘な風景を見て
 私は故郷に帰ってきた人のように
この町の部屋で呆然と時計の音を聞く
音は波のごとく、カチッといって消え、又 カチッという 
そういう風に音が聞こえる時は静寂そのものだ。
 
テーブルの上のあらゆる物は様々な色をなして、
まるで沈黙している生物のようだ。
 窓の外で、カラスが鳴く
全てが変化し、色彩に富み、音に満ちて、森羅万象をなしているのに、
私の感じるのは一つの大きな無だ。一個の明珠だ。
それは形のないいのちに違いない。
 そのいのちが星となり、惑星となり、山となり、川となり、私となる。
テーブルには猫がいる。
 猫がにゃあっという
「色即是空、空即是色」と私の耳に聞こえる
 幻聴だろうか
夢なのか、この世界は。
私は生きている。
だから、星も山も川も町も花も何もかも生きている

いのちは不生不滅の川の流れのよう
柳の緑と野の百合の花が川に映る
人々は美しい水に身体をまかせ
周囲の森や小鳥を楽しむ
これこそ、いのちの楽しみではないか
そこに爆弾が破裂すれば
魚も人も血を流し 死ぬのだ
いのちの水は枯れ果てていく
いのちを守れ、人と自然の宝物なのだから

昨夜、親しい友人が死んだ。 時計の音が消えたように
しかし、又どこかでカチッとならし
 新しい生命の誕生があるのかもしれない
この地球のパリかリオデジャネイロ。それとも遠い銀河の
惑星の町に泣き叫ぶ赤子が誕生するかもしれぬ
その時、その惑星に二つの太陽が昇るかもしれぬ、
 どんな惑星も地球のどんな砂漠も熱帯雨林の森も
虎のように美しい一匹の生き物の手の平の上にある
それは一個の明珠のようだ
 
街角で笑う人も、泣く人もわが手に。
一輪の野の百合の花がまばゆい朝日に照らされて
黄金の立て札のように明珠の街角に咲いている
まるで全世界は一個の明珠であるとでもいうように





【久里山不識】
この詩は何年か前に、掲載したものをかなり直して出したものです。
今年の初めに出した「未完成」に内容が似ていて、未完成より分かりやすい感じがしたもので、「未完成」を補完する詩として良いのではないかと思って、掲載してみました。
私の詩には 道元、良寛、親鸞、空海などの仏教、内村鑑三のキリスト教、マルクス主義の基礎、スピノザ、雑誌ニュートンに象徴されるような量子力学の結論などの考えが入っていると自分では思っています。決して特定の考えを披露するのでなく、現代の近代社会の価値観を再構築することによって、争いの根源をなくし、人類の危機を脱する方向性を持つ文学(今回は現代詩)の構築を目指して書いているものです。
私の力を大きく上回る作業ですけど、久里山不識詩集[FC2】の最初に書いてあるように、それを学生時代から五十年延々と今までやってきて、微力ながら文学表現してきたので、少しは皆様のお心に届けられるものが私の心に構築されてきているのではと思っています。
核兵器をなくす、温暖化阻止をテーマにした小説「森に風鈴は鳴る」の電子書籍は百冊近くさばけ、感謝していますけど、それ以上広がりません。おそらく純文学としての力不足があるのではと思い、再度、推敲に挑戦しようと思っているのですが、中々、前へ進みません。体調回復の努力も必要です。


世相はニュースなどの情報を見るかぎり、あまり良いとは思えません。若い人の活躍が望まれるのですが、苦しい立場に追いやられている若い人の情報を知ると、胸が痛みます。過重労働、賃金が上がらない、住宅費が高い、消費税をなくすべきなのに、そうはならない、ハラスメントや中傷の問題、問題は山積していますが、これは多くが政治の問題ですよね。

正しく見るには、価値観がしっかりしていないと、思うのですが、その価値観が戦後、崩れてしまいつつあるようです。どっぷり、金銭至上主義の社会になってしまい、競争が激しいからでしょうかね。
私の若い頃からと比べて大きく見ると、便利で豊かな社会なっているのに、この間、ある報道で、SNSを使った子供のいじめが増加していると知り、驚きました。子供の自殺未遂などの話を聞くと、気の毒と思うと同時に、どうして未然に防げないのかと怒りをおぼえますね。
これは結局、大人の社会の反映とも思われますね。ごく一部の大人がマナー違反を超えて、「法律はどうなっているの」と思いたくなるようなことをやっているし、昔の善良な日本人が素朴に信じていた宗教の原理に反することをやっているのですから、そんな雰囲気が子供の中に浸透していくのではないでしょうか。悲しいことです。
道元は愛語を重要視します。それを知っているかのように、助け合う動きが希望の灯のように立ち上がる多くの人達の情報を聞くと、明るい人類の未来を期待するのですが、どういう風に動いていくか、まさに、人類の危機を感じざるを得ませんね。私の文学もそういう世相に、少しでもお役にたてる優れた価値観の構築に文学で貢献したいと願うものですが、力がそこまで届くか、今の段階では、分かりませんね。

            
             


変身(poem) 

2022-12-03 15:58:38 | 

 

変身【poem】

 

煩悩は深い。

不死の観音は見えぬので、形や色のはっきりした魅惑的な異星人に目を奪われる。

異星人は美しく官能的で、知的で素晴らしい風貌。

銀河の遠くから、やってきた異星人はわが惑星を狙う。近頃、異星人はわが銅山を占拠したらしい。姿を現すが、中々魅惑的である。

 

今の所、もめごとを起こす気はないらしく、経済活動を狙っているらしい。

我が惑星の価値観を変えたいらしい。

競争と金銭がかれらの価値観。

我らの惑星では、煩悩の激しさを認識しながら、観音を慕う信仰があるから、異星人とは水と油。

それに、異星人は武器を持っている。彼らはミサイルと特殊爆弾を持つとも言われている。人数は少数でもあなどれない。 

我らのカント九条あるいは観音の説明をしても、彼らの耳に入るだろうか。

 我らにしても、親鸞のように、煩悩があるから、観音の姿を見ることは難しい。

いくら会いたくとも、観音は中々姿を見せない

 

目の前にいることを感じたことはある。カーネーションの横に添えられたスターチスの花を見た時、だ。その紫の花に宮殿にもまさる美を感じたことはあったが、あの美に幻のように現れた姿は観音だったのか。こんな風にあなたを感じることはある。しかし、この目ではっきりと見ることは難しい。

もしかしたら、観音は変身しているのかもしれない。

花や樹木や小鳥に、あなたは変身しているのかもしれない

目の前にいながら、あなたを探し出すことが出来ないのはそのためかも。

あなたは観音で、仏性と呼ばれることもある。私は生身の身体で、あなたはいたる所に現れていると感じることはある。

大自然ばかりでなく、日常の部屋の中の調度品、さらにはカフェーで、あるいは海の見える砂浜で、森の中の小鳥の鳴き声に、あるいは町の坂道に咲く花に、いたる所に現れるのを感じることはあっても、しかし、あなたは見えない、

やはりあなたは変身しているのかもしれない

私がいくら言葉をかけても、声で答えてくれない、姿を現さない

 

 

異星人は新政府に銅を売り込み、それで大砲をつくれと勧めている。

儲かりますからね。つまり、異星人にとっては、大砲なんか怖くないんですよ。大砲は隣国相手の武器競争を駆り立て、自分たち異星人は儲けようという死の商人の魂胆がありありと分かるではありませんか。

 

死の商人の思惑を避けるには、文化交流が必要。

 

文化こそ、生きるものの宝石

祭りも文化、異星人は我らの祭りに来るだろう

 

祭りがやってくる。祭りがやってくる。

太鼓の音が胸に響く

笛の音は夢の緑のよう

さあ、踊ろうよ。すっかり頭が空っぽになるまで踊ろうよ

美しい日差しから夕方の黄金の空、そして星の輝くまで

全てを忘れて、皆で踊ろうよ。

さすれば、つまらぬ妄想は消え

踊る人はみんな友達になる

見ている人も友達になる

踊れよ、おどれ、我らの惑星は珠玉のように輝くだろう。

 

おそらくは、その時、観音は我らを見守るだろう。姿の見えない観音を感じて、我らは花火をあげる。

 

 祭りの前日の夜、河川敷から、花火をあげる。

花火の姿には観音の顔が一瞬見えるかもしれない。一瞬見えて、すぐに消えさる。

 

昼間から、山車がでて、昼過ぎから向日葵踊りが始まる。異星人はいつ来るのか。

雄大な虹が出て、夜になると、星がまたたき、いつの間に、広場の四隅にある街灯が広場をうすぼんやり、明るくしていた。

 

ポーンといくつもの音がして、小さなボールのような赤いものが上空に上がると、そこでまたポーンと音をたてて、周囲に丸く円を描くパターンが多いが、その花模様は色々で、中には富士山のような山の稜線を何かの巨大な花が咲いたように見せる花火。さらには、何かの御殿のような壮麗な建物、美しい塔のような巨大な花火、見たこともないような豪華な花の形をした花火、そんなものすら黒い星空に上がるのだから、その美しさは胸をはっとさせ、頭の中を空っぽにしてくれる美しさだ。頭を空っぽにした時、観音の顔が一瞬見えた気がする。

 

 

大きな花火が上がった。いくつもの向日葵のような花火が色もいくつも描き出し、美しいと思う。

 ほら、小鳥の声が聞こえるではないか、何という小鳥だか知らないが、美しい声だ。ヴァイオリンにも負けないような音色だ、魂を引き込むような鳴き声が星の輝く夜空に響く。
満月の差し込む光の慈悲
どこからともなく吹くいのちのそよ風
呼吸の中に感じるいとしの君のいのち
ああ、観音の愛は電波のごとくわが全身を包む
ヒトよ、武器を捨てて、互いの仏性を見よう
その時、巨大な宝石のような花火が夜空に輝くだろう  

 

「鉱毒事件が起きている。銅山から流れ出る鉱毒が川に流れ込み、そして、そこの周囲の野菜畑にしみ込んだ鉱毒は村を襲った。異星人は我らに害を与えにきたのか」

「ビジネスよ」

異星人の女は涙を流していた。

「無駄な争いはやめよう。異星人、君の仲間を祭りに呼んで欲しい」

「しかし、異星人の銅山開発は車をつくり、売るというビジネスだけではないようですぞ。銅は大砲になります。こういう武器をつくるかどうかで、新政府は意見が分かれていて、軍備の増大に反対する気骨ある人もいるが、多くは異星人の要求に同意しようとしているのですぞ。

そういう人達は、産軍共同体をこの国にも作ろうとしているのです」

「産軍共同体が出来ると、異星人は儲かるというわけですか。あくまでもビジネスの形をとりたいということですね」

 

「その通り。隣の国では、産軍共同体はできあがっている。あの国は倫理的には良い国だから、積極的に戦争をしかけることはしないが、その裏の産軍共同体は戦争をすると儲かるという仕組みになっている。この間は、向こうの小国で民族問題でトラブルがあった時、つまり、さらに向こうの大国が大砲をぶっ放した。お互いに大砲をぶっ放したのです。

幸い、大きくならず、収まったけれど、結局、産軍共同体だけが儲かり、一部の金持ちに大金が転げ落ちたという事実がある」

「あたし達はあくまでも、この国とビジネスをしたいだけで、遠い宇宙空間を飛んできたのよ」と異星人の女は言った。

 

「異星人である君たちが祭りに参加するように、君からも言うことだよ。それが実現できれば、真の意味の友好の足掛かりになる。祭りは天からのものだ。その中で、踊りあかせば、変な妄想は消え、ヒトは仲良くなれるものだ。

 つまらぬ妄想を捨てよう

みんな仏性という仲間なんだ

レッテルだの偏見だのそんなものに縛られない

素裸の魂に愛の衣服を着せて、

天の恵みの光に包まれて

踊ろう

山車は宝塔のように、神仏をのせた乗り物

その美しい宝石に飾られた山車を引いて

我らヒトは平和と愛に向かって、前に進もう

 

祭りが始まった。

数台の山車が町の中央の大きな広場の周囲を回りだした。真ん中の山車の一番上に、水耕栽培の果物がその長さ三メートル横二メートルの所に一面にその美しい深紅の果実があふれるようになり、真ん中に男が法被姿で太鼓をたたいているのだ。

 

何という素晴らしいあふれるような果物の美しさに驚かされる

さらに驚いたことには、異星人が民族衣装を着て、山車の二階にすわり、太鼓にあわせて、楽器を弾いている。

大男が先頭の綱を引っ張り、あとから、祭りの衣装を着た市民が大人も子供もつながるように引っ張っている。

 

 山車がゆっくり動き出すと、内側に山車と並んでもう五十名ほどの男女が向日葵踊りを始めている。

広場のはじのベンチに座っている人々。

 そこに、ひょつこり顔を出したのは異星人の司令官だった。

「どうです。兵士も民族衣装をきせれば、立派な平和の使者。ビジネスマン。いや、われらの神の使者となりますでしょ。しかし、我らもあの水耕栽培による果実には驚きました。我らの文明ははるかに進んでいるのに、こういう水による栽培があるとは気づかなかった」

 

「生命とは何と素晴らしいのでしょう。細胞を生命という学者がいますけど、わたしはちょつと新しい考えを思いついたのですよ。細胞が生命なら、この果物をこんな風に無限にさせている力は「自然のいのち」とでもいうべきものです。「自然のいのち」は目に見えません。目に見えませんが、森羅万象にいきわたっているのです。」

 

「真理は一つなんだと思いますよ。ただ、表現は色々にあるのだと思います。そして、その表現には、真理への到達度の差で、深い浅いがあるのだと思います」と詩人が言った。

なるほど、向日葵踊りは三台の山車と一緒に、朝の三倍ほどに膨れ上がっている。

太鼓の音も笛も民族の楽器もまさに佳境のように、憂愁の音色を秘めた情熱の激しさで青空に響いていく。

 

深紅の水耕栽培の果物が上からあふれるようになって、そよ風に揺れる。

そよ風は山車に飾り立てられている金や銀やあらゆる宝石の数珠の飾りを揺らし、かすかな独特の美しい音色を生み出す。

空は青空。

異星人の数人が民族衣装を着て、二階にすわり、太鼓にあわせて、楽器を弾いている。これも中々の見ものだ。

山車の上に、観音が見えるではないか。素晴らしい虹がかかっている。あの虹が観音の姿ではないか。我らと異星人が友好の手を結べたことを祝福しているのではないか。

呼べど、叫べど、見えなかった観音はついに、虹という姿で現れた。山車の周囲をすべてを光が包んでいる。光こそ観音、あなたの衣服ではないか

    

【完】




[ 久里山不識 ]

又、小説を書く癖の抜けきらない詩になってしまいました。少しは、現代詩になっているでしょうか。

年ですし、体調もあまりよくないので、ゆっくりペースになりますので、よろしくお願いします

それから、小説「森に風鈴は鳴る」は パブ―(puboo)から、小説「迷宮の光」「霊魂のような星の街角」はアマゾンから電子出版されています。

 

 

 


瞑想(poem)

2022-11-24 20:18:55 | 

           瞑想 (poem)

 

人の世では、牡丹によって、奥の器械にアクセスする。

アクセスすることによって、世の中は動く

宇宙は広く深い

真理の世界へのアクセスは

瞑想によって、祈りによって

自己と世界が一体になって、真理の世界を見る

全世界は一個の明珠である

そこは人間の見る宇宙とは違って、生命そのもの

宇宙生命そのもであり、大自然である。

しかも、時も空間もない神秘な浄土であり、

愛と不死のいのちの世界である

 

それは素晴らしい世界だと古人は言う

美しい大地に豊かな樹木が生え

宮殿のような壮麗な建物があり

どこからか夢見るような美しい音楽が鳴り

空からは美しいアーモンドのような花が舞い降りてくる

遠くからは清流が流れる音がする

 

太陽の光がなければ生きていけない

故に、太陽も光も自己である

空気もなければ生きていけない

自然の森羅万象は自己である

目の前のコップですら、自己である。

全世界は一個の明珠である

 

今の今を生きること、これは素晴らしいこと

息をしていること、これはすごいこと

様々な景色が見える、音楽を聴く、これも凄いこと

 

今はあちこちにビルが立ち

そこで株式会社が活動し、生産を上げ

しかし、競争は激しく

経済格差社会を生み、差別を生む

そして金銭至上主義は悪を生む

人々は苦痛にあえいでいる

物は豊富なので、しばらくの間、苦痛を忘れる道具はあふれている

しかしそうやって、時は矢のように過ぎ去り

やがて人は死の立て札の前で立ち往生する

 

見よ 六十兆の細胞を持つということ

その細胞に複雑な構造があり、らせんの状のDNAがあること、

これは凄いこと

口から、食物が入り、出るという新陳代謝がある

これも凄いこと

そして一人の人間がいのちの象徴として立っている

これも凄いこと

 

人は死そのものを知ることは出来ない。

しかし、もともと肉体はリアルであるけれども、幻のようなもの 

死によって、本当の自己は幻のように、虚空のいのちの中で遊泳するようで、

花園の中を散歩する人のようであっても

ある時、突然、このシャバ世界に肉体をもって舞い降りてくる

 

虚空の夢のような世界と、シャバ世界は断絶しているけれども、一つのいのちの流れ

としてつながっている。

だから、生死はみ仏のいのちなりという言葉が出てくる

我々は本当の自己に目覚めれば、

この生死のいのちの流れを知ることになり、

この生命は無常で、変化していくいのちであるが、不死であり、愛に包まれているを知る。

一個の明珠とでもいうべき生命体である

このことを知る時、我々は自我にとらわれることなく、煩悩に悩まされても

そこから、抜け出す魔法を知ることになり、

自己の不生不滅のいのちに驚き、祈るようになる

 

 

天啓があるとしたら

あの川がそうだ

 

川が流れ、やがて大海に入る。太陽の光に照らされ、雲となり、雨となり、森に降りそれは川となる、やがて虹になる

刻々と動く自分のいのちを秘めたこの肉体

それは虚空から舞い降りた旅人のようなもの

幻のようでリアルな神秘な姿

しかしそれは時間と共に

幼児から青年そして壮年から、老人と進みやがて死ぬ。

 

死があるからこそ、生があるということは確かなことだ

自我というのは執着のかたまり

理性というのは人間世界を創造するもの

生きている間に、自我をなくし、理性をストップさせるのは座禅【瞑想】

座禅【瞑想】が生きながらにして(生と)死の世界を知る唯一の方法

心身脱落である

 

「空」の世界に入る

耳には美しい音楽が聞こえてくる

目は美しい景色が見えてくる。

空からは美しい沢山の花が舞い降りてくる

 

      

 

            【完】

 

 

 

【久里山不識】

詩と言えば、私の場合、学生時代はもっぱら萩原朔太郎、高村光太郎、宮沢賢治など、欧米ではキーツやバイロン、リルケなどで、現代詩人として多少難しいのでは、詩だけでノーベル賞をとったエリオットの書いた英詩にも手を出してみたが、それほど熱心に読んだわけではない。高齢者になって、驚いたのは座禅をするギンズバークのような現代詩人との出会いである。座禅そのものを歌った長い詩もある。

現代の価値観を金銭至上主義でなく、良い方向に向けるのにはこうした現代詩をつくることや、読むことも少しは役に立つのではないだろうか。

 

 

【参考】

 

 

永遠に

建っているハーレムの1948 年の建物

肥大化した意識の幻想から

私は全宇宙は一心の表われ

ということに気がついた

私の人生の仕事は試作

人類にその自発的な目覚めを伝えようとして             [ 田中泰賢氏 訳        ]

 

     ギンズバーク

 

 

Who

 

From Great Consciousness vision Harlem 1948 buildings standing in Eternity

I realized entire Universe was manifestation of One Mind-

My teacher was William Blake-my life work Poesy

Transmitting that spontaneous awareness to Mankind