悪いほど燃える

写真は雪の積もった空き地に付けた
ヴァンガードのタイヤ跡。

シウの住む雪国でも
とくに高地に位置する場所に
たびたび用事がある。
峠道は圧雪路だったり、凍結路だったり、
大げさではなく、ほぼ毎日のように何らかの事故が起きる
地獄的に危険な道路だ。

登りは、滑ったら登らないっていうだけなので
とくに危険はないけど
下りとなると、すべったら最後、って状況も珍しくないので
スリル満点（表現が古・・）なんだよね。
もちろん、登りの時だって対向車が突っ込んでくるという予測は常に必要。

東京生まれ東京育ちのシウは
ここに来るまでそんな道を運転したことがなかった。
サイドブレーキ引いちゃいけないとか、
下りでブレーキ踏んじゃいけないとか、
ローに入れて、キックしつつ運転するとか、
聞いたことはあっても経験したことはない。
そもそも道が凍るって、何？って感覚だったし。

ということで
生まれて初めて凍結道を運転した日のシウ。
変に運転に自信があるものだから
知らない道でもじゃんじゃんスピード出す癖で
未熟な運転技術の割に、スピードを出しすぎていた。


当然のこと、
カーブでスリップし、
そのまま崖に激突して（崖から落ちたんじゃなくて良かったけど）
横転した。
車は廃車になったけど
奇跡的にシウは無傷。

もうだいぶ前のことなのに
今もスリップして横転するあの時の感覚は、
足元から不意に這い上がってくる時がある。

怖かったよ～！

直後は雪道の運転が恐怖で
もう二度としたくないとも思ったけど
そこはライオン使いならぬ“シウ使い”の達人であるシウ彼。

「もう運転するのは怖くなっちゃったよね。」

と、そんな時のシウにかける言葉としてこれ以上ない言葉をかけてきたのだ。

もしも彼が「事故の一つや二つ、そんなの平気で運転しろ。」だったら、
（おそらく本音はこれだと思うけど）
シウも、なんてデリカシーのない発言！と反発したと思うんだけど
なんてったって弱みを人に見せるのが大嫌いなシウ
そんな風にナメられてはいられない。

怖くなっちゃったよね・・・？
に対して、若干無理を意識しつつ、
「そんなの平気にきまってる」
とお応えしたのである。

まさにテキの思うつぼ。

でも、それ以来、すっかり恐怖も克服し
今や
悪路ほど燃える性格になってしまった。


冬の峠道の悪路ぶりって
キリがないのだ。

一見いつもと変わらない道に見えるのに
実は鏡のようにツルツルに凍っていることがある。
そんな状況の道の上に新たにサラサラの雪が降っていることもある。
一度解けた雪が再凍結して強烈な轍になっていることもある。
その上猛吹雪で一寸先が見えないことがある。
なにしろ常にＭＡＸ大事故の危険がついてまわる。

そんな地獄の道（大げさな！って思うだろうけど、決して大げさではないよ）で頼りになるのは
運転技術よりも、
車の性能。
悪路制覇はこれに尽きる。

大事なのはＡＢＳと劣化していないスタッドレスタイヤ。
そして、「ＦＦなら雪の峠も難なく登る」という伝説がウソだと知ること。
雪の峠道は四駆以外あり得ない。

シウも昔はその伝説を信じて
ＳＡＡＢやシトロエンで地獄の雪道を制覇しようとした。
一度として登れなかったことは無いけど
どんなに前が見えなかろうと、アクセルはべた踏みをし続けなければならない。
止まったら最後、坂道で再度発進するのは至難のワザだからだ。
（ある程度バックして、勢いつけて登る、とかね。）
いつ登れなくなるかとヒヤヒヤしながら走らなければならない。

「四駆は必要ない。」と言っていたＶＯＬＶＯだって、
いつの間にかシレっと四駆を出してるじゃないか。
シウも外観重視の考え方をあきらめて
国産四駆のＳＵＶを買った時、
もう二度と四駆以外には乗れないと思ったものだ。
（国産具合良くて、もう二度と外車に乗れないかも・・・とも思ったけど）

ところでここからが本題だけど（！？）

ヴァンガードに買い替えて、初めての冬。

実は前車のマークＸジオの方がちょっと快適。

それでもヴァンガードに乗っていると
地獄の道でも、ものすごい安定感。
滑る気がしない。
ワイパーも冬仕様のに交換し、装備は完璧。

そんなギアを手に入れて
天気予報が最悪で、
峠道が吹雪いているような状況になればなるほど
臨戦態勢がバッチリになって、
燃えるドライバー
と化すシウ。

テーマ曲は「汚れた英雄」だ！（これも古）
大泉さんだってカブで峠をやっつけるときは「汚れた英雄」を要求するでしょ。

田舎暮らしは嫌いだけど
この楽しみだけは東京には無いよね。