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水曜どうでしょう 「迷走中」…最大の見所はエンディング?

「ヘルプ ~心がつなぐストーリー~」

2012-04-06 21:25:54 | 映画
アカデミー賞にもかなり食い込んでいた作品。
大スターが出ているわけでもないが
丁寧に作られていることが伝わってくる。
原作も読んでみたいと思わせる。

気難し屋なのがわかるエイビリーンと、
本当はユーモアあふれるミニー。
そんな2人の性格がよく表れているキャスティングだったと思う。
2人とも辛い過去と現在を背負っているのだけど。

実際の人種差別はここで描かれているものをはるかに超えるすさまじさだったのだろうと思う。

ヘルプたちが言ってはいけないことを言うことは、
彼女たちが生活の糧を失うばかりでなく、
命までを危険にさらすこと。

それでも長年抑えつけてきた不満と
人間としての自尊心が爆発する瞬間があるのだ。

勇気を出して・・・
そんな簡単な励ましでは、なかなか実行できない大それたことだ。

日々見下され、
自尊心など持たずに生きることを強いられている彼女たちヘルプが
白人の子どもを育て、
彼らに自尊心を教える。
そこが興味深かった。
自分を抑え、忘れてしまいがちなプライドを持って生きているからこそ、
自分の尊厳を守るという大事さを知っているのだろうか。
お人形のような人生を生きる母親たちよりも。

母親は産みの母でなく、子守をしてくれたヘルプであると、
そう思って育った子どもたちが
どこで両親と同じような差別主義者になってしまうのか。
それともスキーターのような女性になるのか。

ケネディが暗殺されたことが描かれているが、
1963年はキング牧師の『I have a dream』演説が行われた年でもある。

公民権運動が大きな転換を迎えたのは
そんなヘルプたちに育てられた人々がだんだんと良い方向に増えてきたからではないか。
と、勝手に考えたり・・・。


上流社会から締め出されたシーリアという女性。
リーダー格のヒリーの元彼を奪ったし、そもそも下層の出身だからという理由で
皆から相手にされないイジメにあっている。
一人のボスと、“悪いこと”とは知っていても弱さゆえそれを続ける大多数の言葉を失った人々。
自分がいじめられる立場になりたくないから
誰かを常にいじめの対象としている人々。
人種差別ではなくても
今でも同じようなことが日常に行われている。

ちょっと抜けた感じのシーリアだけど
彼女はとても優しくて素敵な女性で、
だからこそ夫であるジョニーはヒリーを捨てて彼女を選んだのだし
ジョニーは他の夫たちよりもずっと暖かい人だと描かれている。
シーリアの無邪気さが
ミニーの心も溶かしていく。

エイビーのその後が気になるラストだけど
やはり簡単にハッピーエンドで終わるようなテーマではないと教えてくれる。

ヒリー役のブライス・ダラス・ハワード。
ロン・ハワード監督の娘だとか。
先日見た「50/50」でも悪役だったけど
本当はチャーミングなのにこれでもかなり悪役がハマっていた。
これからの活躍も楽しみな女優さん。



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1 Comments

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見てくれて、ありがとう (ちゃぎ)
2012-05-10 21:22:15
そんな事を言いたい映画です。
わたしも、完璧映画は見ちゃったのですけど。記事をまだあげて無いです。 
原作では黒人達の当時の恐怖やこの南部の特殊な風土、 そして、シリアみたいなプアーホワイト。 (黒人にも馬鹿にされてます) 
皆で5ページずつ、まとめて、まだ本が全部は終わっていないのです。
映画は本のイメージを少し軽めにした感じで、よくまとめていた・・と評価が高かったです。
でも、先日も友達と話したのですが、これ、ドラマにしたら、もっと面白かったかも・・・と思いました。 それぞれのエピソードが あれもこれも、無くしたくなかったのです。
子役の女の子が上手かったです~~
重いテーマを ちょっと笑いを込めながら見せてくれて。 スキーターも決して英雄でもなんでもないのですが。 徐々にそんな立場になって行くって・・・。ところが映画だと初めっからちょっと上手く行きすぎていたようで・・・・

ヒリー役の役者さん、上手かったですね。
まだ、もう少し、「ヘルプ」にどっぷりなので、言いたいことが増えてしまって・・・・
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