お願いだから 誘わないで・・・

シウ（ザ・マシンガン）母。
登山が好きで旅行も好き。
少し前までは、登山を兼ねた旅行をしていたけど、
最近は観光重視の旅行にも凝っていて、
しょっちゅう海外旅行に行っている。

一番最近の旅行先はギリシャ。

同じく海外旅行趣味の友人に誘われるがままに、
急に「行ってくる！」ってなる。

ところで、シウ父はシウ母より１３歳年上。
シウ父はゴルフ大好き、シウ母は登山大好きなので
長らく別行動して、
お互いに楽しみも友人も別々に見つけていた。

でもシウ母にしてみれば
自分ばかりしょっちゅう海外に行くのも気が引けるのか
旅行に行く計画が持ち上がるたびに、
父を誘うらしいのだ。

しかし、父は絶対に行きたくない。
というのも、
シウ父は海外旅行が大嫌い。
３０年前、バリ島に行って、
本人いわく“ひどい目”に遭って以来、
台湾や韓国という慣れ親しんだ地ならまだしも、
その他の地域に行けば
面倒ばかり、という感覚なのだ。

たしかに、３０年前のバリなんて、
観光地として確立する途上じゃないか？
シウがバリに初めて行った２０年くらい前でも、
本屋でガイドブックを探したら、
「バリ？」と思って手に取ると“パリ”だったりすることが普通なくらい、
バリのガイドなんてそんなに売っていなかった。
インドネシアは日本人には馴染み薄だったのだ。


見たものに何でも感動する、
無類の感動屋であるシウ母にたいし
シウ父はなんでもマイナス面ばかり見て、
感動が薄い人間であることもある。
（シウ彼にそっくりだ。）

ということで
シウ父にしてみたら、
シウ母が旅行の度に自分を誘うのが、
苦痛でたまらないらしい。

先日ギリシャ旅行の際には、ついに、

「どこでも好きなところに行けばいいし、
　何日間行っても全然かまわない。
　でも、俺を誘うのは、
　お願いだからやめてくれ。」

と言ったそう。

シウ母はその話をシウにしながら、　

「別に本気で誘っているわけじゃないし、
　無視しちゃ悪いと思って形だけ声掛けているだけなのに、
　失礼しちゃう！！！！」

と乱暴に憤慨していた。

なんだ、そりゃ。

以前、父が多少具合悪くなっていた時も、

「ま、いいか。
　キャンセル料もかかるし。」

と旅行に出発し、

「(シウ父の)死に目に会えないかもしれないわ。」

などと平然と言うシウ母。

世の中の夫婦が
「年取ったらあんな風になりたいわ。」
と憧れるタイプとは、
真逆の老夫婦ぶりだ。

・・・って、
どうかな～
お互い完璧に自立していて
意外と理想的かも。


とはいえ、
どんな場所でも
好奇心の赴くままに旅に出てしまうシウ母。

シウたちこそ、
シウ母の死に目に会えないかもしれない。
っていう危惧が
最近現実味を帯びてきているよ。