Old Master Copies
都内の某区立美術館のギャラリールームにて油彩作品を展示していただいた際の写真です。大変、お世話になりました!
(展示場で直接撮影したものであり、残念ながら画質、角度ともに良くありません。特に襟元のインパストがすべて消えてしまいました)
巨匠の油彩模写に関しては、今後も折々にアップロードする機会を持ちたいと思います。
Oil paint on F12
ⓒサーベル・パンサー/ Jagroar
レンブラントと作品について
レンブラント・ファン・ライン(Rembrandt Van Rijn)は、絵画の黄金時代と謳われた17世紀のオランダを代表する巨匠である。マニアッ
クなまでのインパストを駆使したマチエール効果、主題や被写体の精神性をも醸しだすかのような、絶妙なキアロスクーロ(明暗法)表現
は、他の追従を許さない。
西洋美術史においてバロックの時代と呼ばれる17世紀は、オランダ以外にもヨーロッパ各国で至高の巨匠が輩出し、華を競い合ってい
た。中でもレンブラントとスペインのディエゴ・ヴェラスケス(Diego Velazquez)の存在は傑出しており、油彩画の力量に関して、両者を美
術史上の最高峰に位置付ける専門家も多い。
「老人の肖像 (Portrait of an Elderly Man)」は最晩年の作品群の一つで、画家の死の3年前に制作された。頭部は執拗にインパスト
を重ねて肉厚に描かれているのに反して、衣服や手はスケッチーな筆さばきで手早く描写されている。特に衣服の絵具は水彩のウォッシ
ュを彷彿させる極端な薄塗りで、地塗りのアンバー色が所々に浮き上がって見える。
描写の不徹底性から、未完成作品とみなす向きも多いのだが、不透明色、透明色、そしてスケッチーなタッチと重厚な描き込みを絶妙に
並立させている力量は、晩年のレンブラントならではの境地だとも言えるだろう。
本作はちょうど一年前の夏に、マウリッツハイス美術館展の出展作品の一点として本邦初公開された。この時は同じバロックの巨匠、フェ
ルメール(Johannes Vermeer)の「真珠の耳飾りの少女」ばかり注目を集めていたのだが、管理人にとっては本作とフランス・ハルス
(Frans Hals)の作品こそが最高の見どころであった。
ⓒサーベル・パンサー/ Jagroar
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