the Saber Panther (サーベル・パンサー)

トラディショナル&オリジナルの絵画芸術、化石哺乳類復元画、英語等について気ままに書いている、手書き絵師&リサーチブログ

謹賀新年 久々 油彩肖像画 美人×アオザイ(ヴェトナム民族衣装)

2022年01月02日 | 名画の世界

Painterly Portrait

©the Saber Panther (All rights reserved)


久し振りに、私の油彩肖像画を少し紹介する機会を持たせていただきます。



F40号、衣装は寒色系のアオザイ。アトリエにて2時間半×4セッション、ア・ラ・プリマで手早く仕上げています。画像のアップに際してモデルさんの許可は得ていますが、コピペなどの行為はしないようにしてください。


スマホ撮影で画質が非常に悪く、マチエールなど分かりにくかろうと思いますが、最低限の筆致で明部の印象をさばき、古典とモダン・ペインタリズムの折衷を目指した画風が伝わることを願います。


肖像画に対する自分の姿勢〉
細部表現に注意を向けたフォトリアリスティックな作風(グリザイユ)とは方向性が真逆(フォトリアリズムを否定しているわけではありません)の、Sargentesque(サージェント的)な、換言すれば、印象派技法(印象だけを動的に捌く筆致、色彩への傾倒)に古典要素(ヴァルールと形態へのこだわり)を落とし込んだ肖像画になります。
(読者の方々はご存知でしょうけど、これは絵画における私の姿勢を述べていて、古生物復元画に対してはまた別のアプローチとなります。後者ではそもそも形態に傾注していて、色彩すら使わないわけで)。また、美化はせず、被写体の本質を抉り出すような描写を、心掛けています。

話が飛ぶようですが、私は「形而上学的な」テーマに常々惹かれております(要は夢想家なんよ)。「形而下の事物事象をいったん壊さないことには、形而上の思索は始まらぬ」という趣旨のことを、或る哲学者は呟きました。密教大家ででもない限り、現実の事物事象を「壊す」ことは不可能事に近いのですが、絵画では具象に壊しの要素を導入する(別の言い方をすれば、抽象に反転させる)ことが容易いから、絵画制作と形而上学的テーマの追求とは、すこぶる相性が良いと思います(「ここでは「壊し」、「抽象的要素」、「形而上的風景」、の各タームを、をほぼ同じ意味で使っております)。

「壊す」といっても、純粋抽象にまで赴く必要は、必ずしもないでしょう(純粋抽象には憧憬の念を禁じ得ないし、そこまで到達できるかも覚束ないが)。私の具象画におけるスタイルについては上に略述した如くですが、独自の画風を下敷きにしながら、ディスラプティヴな要素=「壊し」を、具象共々に活かす形で、如何に融合させていくか、ということを模索しています。

「融合」であって、コラージュ宜しく具象、抽象という異なる要素を「貼り合わせた」如くにするのは避けたい。理論的、幾何学的な抽象アプローチも好ましくありません。それは感覚的、直覚的、即興的であり、筆致と色彩の工夫の延長上でしか達成できない類のものだと思います(対して、上で少し触れたグリザイユはいわばプロセス技法であり、即興や偶然が生む描画効果が入り込む余地がない)。

その意味で、自分のサージェントやヴェラスケス的な油彩スタイルは、個人的に強みになると感じています。なぜなら、初めから筆致の芸術であり、再現性100%(厳密には、再現性100%は不可能)から0%の間で筆致の捌きをコントロールする(コントロールではなく、自由無碍に動かす、という方が当たっているかもしれない)ことを通じて、具象、抽象双方への反転が、自在に、そして同時に、できる可能性が開けているから。

これは畢竟、形而上的な情景と形而下の事象とを、無媒介的(上述のような意味での理論化、概念化のプリズムを透過させずに、ということ)、同時的に顕現させる為の、一つの有効なテクニックだといえるのかもしれません。

ここまで述べてきて肩透かしするようですが、今回のような佳作は古典寄りであり、そこまで試みてはいません。が、弛まず模索は続けていきたいし、その跡を作品に反映させていく必要性を感じてもいます。そんな簡単にできるようなことではないし、そもそも「肖像画のジャンル」である以上、できることには限度がありますけど(モデルさんの機嫌を損なうのは、あまり良策とはいえません)。

ともあれ、そのようにオリジナリティを強く打ち出した作品も、ぼちぼち紹介していく機会を持てたらと思っております。その際は、よろしくお願いします。


絵画モデルを務めて下さるという方を募集していますし、油彩、アクリルによる肖像画注文も随時承ります。


ブログに関しては、本年度、恐竜関連の記事を少し増やしてみる予定です。よろしくお願いします。
閲覧してくださりありがとうございます。


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