ジョルジュ・ド・ラ・トゥール『大工の聖ヨセフ』模写
油彩 on F15キャンヴァス(デジカメ撮影 ロー画質)
ⓒサーベル・パンサー
〔ラ・トゥールと作品について〕
ジョルジュ・ド・ラ・トゥール(Georges de La Tour)は、バロック期のフランス絵画界を代表する巨匠である。存命中はフランス国王お
抱えの宮廷画家という立場にあったが、没後忘れ去られ、20世紀に入ってようやく「再発見」されたという経緯がある。
「夜の画家」のあだ名が示すように、キアロスクーロを駆使した画風にはカラヴァッジョからの影響が明白であるが、イタリアの先達に比べ
ると露骨な写実性、仰々しい躍動性は抑えられ、明朗さと静謐な雰囲気づくりが特徴となっている。
ると露骨な写実性、仰々しい躍動性は抑えられ、明朗さと静謐な雰囲気づくりが特徴となっている。
ラ・トゥールの代名詞とも言えるのが、ロウソク、ないしタイマツといった小道具による照明である。ロウソクの灯を唯一の光源とすることで、
登場人物の手元や顔など、狙った個所だけをやさしく照らし出す効果が追求された。また、カラヴァッジョに比べると、明るい面はより大胆
な絵具の厚塗りで、影側の形態はかなり単純化されて、それぞれ描写されている。
登場人物の手元や顔など、狙った個所だけをやさしく照らし出す効果が追求された。また、カラヴァッジョに比べると、明るい面はより大胆
な絵具の厚塗りで、影側の形態はかなり単純化されて、それぞれ描写されている。
こうした技法上の巧みさは、バロック絵画の中でも独自の地歩を占めるものであり、ラ・トゥールは単なるカラヴァジェスキ(バロック期に頻
出したカラヴァッジョの追従者たちを、このように呼ぶ)に対する評価軸を超えた、フランスを代表する芸術家の一人として認められるに至
ったのである。
出したカラヴァッジョの追従者たちを、このように呼ぶ)に対する評価軸を超えた、フランスを代表する芸術家の一人として認められるに至
ったのである。
ラ・トゥール畢生の傑作の一つとして聞こえる『大工の聖ヨセフ』では、点光源を手で覆わせた巧みな明暗表現、形態と構図の簡潔さ、瞑
想的な静謐さなど、上述の画家の特質を、余すところなく吟味することができる。
想的な静謐さなど、上述の画家の特質を、余すところなく吟味することができる。
ところで、西洋美術史の担い手たる西ヨーロッパ諸国の中で、フランスだけは、国家を代表する唯一無比ともいうべき巨匠を選抜すること
が、容易でない。
イタリアにはレオナルド・ダ・ヴィンチが、ドイツにはデューラーが、英国にはJ.M.W.ターナーがいるわけであるが、一国の美術史全体の威
信を担わせるに足るフランスの画家を、一人挙げろとなると、難しいのだ。
信を担わせるに足るフランスの画家を、一人挙げろとなると、難しいのだ。
裏を返せば、18世紀から20世紀半ば頃まで国際美術シーンの中心であり続けたフランスは、史上に轟く巨匠の数がどこよりも多いという
ことだろうか。
ことだろうか。
有力な候補として挙げ得るのは、このラ・トゥールの他に、プッサン、ダヴィッド、クールベ、そしてモネとセザンヌといったあたりになるだろう
が、皆さんは、誰がフランスを最も代表する巨匠だとお考えだろうか。管理人は判官贔屓(?)なので、300年間も忘却の闇に葬られる不
遇をなめた「夜の画家」をこそ、推したいのであるが・・・。
絵と文: ⓒサーベル・パンサー
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