~saito sekai presents~奇妙な漫画&小話ブログ

AI画像生成漫画&短編小説&を日常投稿します。不定期更新になります。

最高に誠実な店長

2022-08-26 23:00:00 | 超短編小説
私は、月曜日にはいつもお気に入りのカフェに行く。珈琲の味は勿論の事だけど、月曜日はサービスディーで、一粒の美味しいチョコレートが付いてくるのだ。
今日は月曜日、最近お気に入りのsaito aliceの短編小説をお供にそのカフェへ。
窓際のテーブルに座り、店員に「珈琲で」と注文した。
運ばれてきたその薫りに、なんともいえない充実感を感じたが、次の瞬間、私は気付いてしまった。チョコのサービスが無い事を。
「すいません、チョコ無いんですけれど…」
それを聞いた店長が慌てて厨房から飛び出して来たかと思ったら、「すいませんでした!」と叫びながら空中で一回転したかと思ったら、その体はあっという間に一粒のチョコレートになり、私の珈琲カップの脇に着地した。

私は、珈琲と共にその店長チョコレートを口に入れた。それはいつもより美味しく感じた。まるでそれは店長の詫びであり、誠実さのようだった。       完
SF

玉葱と新生児

2022-08-24 23:00:00 | 超短編小説
俺は、一人カフェで本を読んでいた。すると店員が「お客様、相席をお願いしたいのですが…」と言うので、「ああ、良いですよ」座った男は「すいません」と言いながら、珈琲を頼んだ。チラリとそいつの顔を見ると、まるで赤ちゃんがような容貌だ。一瞬驚いた俺の表情を見抜いた様に、相席した男は、語りだした。「僕、新生児の時からに顔が全く変わらないんですよ、不思議でしょ?悩んだけれど、逆に利用しようと思って。どうしたと思います?」「はぁ…」なんなんだこいつ…しかし興味が出てきた。「私、名字が『新』なんで、名前を『生児』に改名したんですよ」そんなことを言って、彼はそそくさと珈琲を飲んで、「じゃあ」と言って去って行った。俺は玉葱男だ。親が玉葱農家で、名字がたまたま『玉』だったから『葱男』なんて…もう会うことがない、新生児だが、俺の人生に一石投じた。どっちがしあわせなのだろうと、ついつい考える俺なのだった。  完

虎馬

2022-08-22 23:00:00 | 超短編小説
ここはサバンナ。そこには、奇妙な関係の二頭がいた。それは、虎と馬で、いつも追いかけっこして、仲が良い様子なのだ。周囲の動物達は、奇跡的な関係だと、噂していた。しかし、それには、裏があったのだ。
馬はもともと、虎に食べられることを了承し、虎は仲良しごっこを一時的に楽しむ、食べた後は、自責の念に駆られたふりをして、自害する、そんな取り決めであった。そして虎と馬は計画を実行した。その事実は多くの動物達のトラウマとなったのだ。死んだ虎と馬は地獄へ行った。閻魔様に呼び出された二頭は裁きに掛けられる。「お前達は、多くの信頼を裏切り、トラウマを植え付けた。何か言いたい事はあるか?」すると二頭は、顔を見合せ同時に一言、「お後が宜しい様で」と閉めるのであった。  完

俺面魚

2022-08-21 23:00:00 | 超短編小説
会社帰り、冒険をしたくて、俺は初めて行くスーパーへ行った。さて、今夜のおかずはどうするかな?魚売り場で、美味しそうな鰯が在るじゃないか。これを捌いて蒲焼きにでもするか…すると貼り紙がしてあり、「魚は三枚下ろします」とある。イラスト付だ。その魚の絵は何故か、人面魚になっており、顔が俺にそっくりなのだ。俺は鰯を買い、帰宅し、料理をした。蒲焼きは美味しかった。しかし、何故俺なんだ…。     完