三十三の継ぎ道 内容紹介 より

2022-01-16 12:12:41 | 日記
三十三の継ぎ道 内容紹介より

雲上に錦織りなす初日映え

これが本書の冒頭の句で、この句から私の俳句人生が始まりました。
令和二年の新春に詠んだ句です。それから一年あけて第二の句が生まれました。
令和三年は、二度目の東京オリンピックの年であり、私にとっては俳句に色濃く関わった年となりました。
本書は、冒頭の句を除けばすべて令和三年の一年間に詠んだものをその順に記載したものです。
新春・冬 春 夏 秋 冬
の構成にまとめてあります。
言葉をもてあそぶに堕ちず、心情を吐露するに堕ちない
純粋に写生に徹し俳句の王道を示したつもりです。
俳句は
五七五で詩韻を表現する定型詩で、許容の範囲内の字余り・字足らず
を除いてこれを外れれば俳句でなく、単なる詩の範囲を越えません。

五七五の制約の中で、
如何に写生を掴んだままに
浅詠みも深詠みも排して
端的に詩情を込めた表現にまとめられるか
がいついかなる時でも真剣勝負となる
そういう文学であると、私は考えます。

これこそが俳句の本道であり王道ではないでしょうか。
本書が俳句界の現状に一石を投じるものとなれば幸いです。

これは私の生活とちょっとした旅行で邂逅した心惹かれる光景を、詠み、そして言葉を綴った句記または句紀行です。私は邂逅こそは句を創作する源であると思っています。そういう意味では私はこの源にとても恵まれました。俳句に手を染めたばかりで手にできたのは五十句に満たないものでしかありませんが、発表するに価するほどにできあがりました。三十三歳のときに、思想に向き合ったばかりの私が、幸いにも『超越者意識の純粋現象学』のためのエチュードという哲学思想書をものにすることができたばかりか、それから三十三年経ってまた、今度は俳句紀行をこれまた幸いにも認めることができたのは、何という巡り合わせでしょうか。三十三の継ぎ道(みそみのつぎみち)というタイトルは、こうした事情を表すもので、私の人生そのものを表すものでもあります。
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