幼い頃からおもちゃを与えられた記憶があまりない。
兄妹の3人の真ん中であったので、どうしても長男、長女に愛情が注がれていたのだろう。
それが証拠に真ん中の私の写真は極端に少ない。
これは仕方のないことなのだろう。二番目の宿命なのだ。
服は兄のお下がりばかり、おもちゃも兄のお下がり、食事はといえば兄にはてんこもりで私は普通盛り。
食べさせてくれだけでもいいが・・・。
兄がオーディオに興味があれば、父は遠く離れた町まで兄を連れて買いに行ってくれたものである。
私はといえば、クリスマスの日に父から兄へのプレゼントを横目で見ながら、『自分にはないんだ』の思いを父に問うてみたところ、「お前はまだ小さいから、兄ちゃんと一緒に遊べばいい」などと、自分の所有欲が満たされたことは何一つなかった。
それではということで、親戚の叔父さんから、吸盤式のピストルのおもちゃを買ってもらった。
そうしたら、それは人に向けたら危ないということで、父に取り上げられてしまったこともあった。
私が小学生中学年に上がった頃、父は兄にグローブを買ってあげた。
私もねだってみた。
ところが、私がまだ小さいということで、またもやお預け。。
憤懣やる方ない私は、どうしてもグローブ欲しさに、遠く離れた親戚の祖父に手紙を出すことにした。
当時としてはどきどきものであった。便箋いっぱいにグローブの絵を書いた。
これくらいのだよという説明書きを付けて・・・。
ところが、手紙を出す段になって母親にその手紙を見つかってしまった。
母は私の手紙をじっと眺め、物も言わずに便箋にしまってくれ、切手も渡してくれた。子供心に嬉しかった。
手紙を出してから、数日して大きなダンボールが私宛の名前で届いた。
急いで中をあけてみた。
ダンボールからは、まず、お菓子の詰め合わせが上段に山ほど詰まっていた。
気がせいていた。グローブ、グローブはと、急いで下の段に手を突っ込んでみた。
柔らかい皮状のものが手に触れた。
急いで外に出してみた。
紛れもない、柔らかい皮で出来ている、本物のグローブだあ。。
私は飛び上がって喜んだ。
初めての自分だけの物、しかも一番欲しかったグローブであった。
小躍りして喜んだ。母が言った。
「お爺ちゃんに感謝しなさいよ。お礼の手紙を出さなきゃあね。お前の願いがかなって良かったじゃあないか」
この時ほど母と祖父に感謝したことはなかった。
母に手紙を見つかった時に、黙って手紙を返してくれた母。
自分の気持ちを察してくれたのだろう。
あの瞬間に母からの愛情を感じた。
それまで叱られることこそあれ、褒められたりしたことはなかった。
また、遠くにいる祖父に自分の心を伝え、その思いをうけとめ、私の宝物として返してくれた、祖父の孫に対する愛情を子供心に感じたものである。
それから○○十年、おもちゃ、特にミニカーを見ると、昔の思い出がよみがえるのか、目を皿のようにして欲しいものを探して買ってしまう自分がいた。
建て前は、『これは息子の○○の為に買っているんだよ』と自分勝手な屁理屈をつけて・・・。
ふっ・・三つ子の魂百まで・・とはよく言ったものであるなぁ~と、我ながら、ヒシヒシと感じている今である。。。
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