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第6回実務会談で応酬する南北の団長(7.25.開城工団)
7月22日に開催された第5回会談でも進展がなかった南北の両当局は、25日に6回目の実務交渉を継続した。しかし、今回も双方の主張は咬み合わないままだった。午後5時過ぎの終結会議を最後に、南北は今後の会議日程すら決めることなく会談を終えた。開城工業団地の操業再開をめぐる南北対話は、事実上の決裂で終わったようだ。
以下に、7月25日付『統一ニュース』の要訳記事を紹介する。これまで知らされなかった北の立場が紹介されており、何らかの参考になると思う。南は当然ながら北の主張に反発しており、南北関係は当分の間、対話なき膠着状態に入るようだ。 JHK
http://www.tongilnews.com/news/articleView.html?idxno=103446
開城工業団地の南北実務会談、事実上の決裂か?
南北の第6回実務会談が25日、開城工業団地内にある開城工業地区管理委員会事務室で開かれたが、今後の会談日時を決めずに終了した。
南北はこの日の会談でも、操業中断の再発防止方案をめぐる異見を狭めることができなかった。そして、パク・チョルス北側団長が記者会見を自ら要望し、会談は「決裂の危機」と語った。
午後5時20分に行われた終結会議の直後、パク・チョルス北側団長が南側の共同記者団室にきて記者会見をした。彼はまた、その間に開催された実務会談で発表した北側の冒頭発言、合意文草案、修正案、再修正案も公開した。
記者会見で北側団長は、「今日まで6回にわたり会談を進行したが何の合意も成し遂げられず、ついに決裂の危機を迎えることになった。われわれ(北側)は、工業地区の中断事態を早期に解消し、操業再開に向け誠意ある努力をつくした」と述べた。
北側団長はさらに「われわれは6.15共同宣言の産物である工業地区を大切にし、その正常化を望むが決して強要はしない。開城工業地区は南側と組まなくても、私たちがいくらでも運営することができる」と強調した。
そして「会談場の背後から工業地区の中断事態を長期化させ、破綻に追い込んで対決を煽る者たちに警告する。南側との協力事業が破綻することになれば、開城工業地区の軍事境界線地域をわが軍隊が再び占めることになる。西海地域の陸路も永遠に閉ざされることになるだろう」と警告した。
彼はまた、「われわれは決して口先だけの言葉を弄するものではないし、これはいかなる威嚇でもない。このことを南側当局は、肝に銘じなければならないだろう」と話した。
北、開城工団の正常化に向け具体案を提示..パク・チョルス団長「南側が愚弄した」
パク・チョルス団長は記者会見で、今まで六回にわたる会談の内容も公開した。
パク団長は「我が方(北側)は工業地区の問題を一日も早く解決しようとの立場から、誠意ある努力をつくした。しかし会談で南側は一方的な主張に固執し、人為的な難関を作った」と南側に責任を転嫁した。
北側が公開した合意書草案には、△開城工業団地の操業中断が再発しないよう、一切の妨害行為を中断、△工業地区に出入りする人員に対し、身辺の安全保障、投資資産の保護、通行・通信・通関問題を解決する軍事的な保障措置、△国際的な競争力を備えた経済協力地帯の造成、などが含まれている。
また、4回目の実務会談では合意書修正案に、△南北経済協力を協議する事務所の再開、△2007年の南北総理会談で合意した開城工業地区分科委員会の設置、などを提示した。
そして開城工業団地の国際化に向けた案として、開城工団の勤労者賃金・税金・管理運営権なども国際基準に合うように改善して、現行法規と基準を修正・補完すると明示した。
第6回次実務会談の合意書再修正案では、△インターネット、移動電話などの通信保障、△通関手続きの簡素化および時間短縮、などを提示した。このための軍事的な保障措置は、南北軍事実務会談で協議・解決する、と建議した。合わせて、開城工業団地の国際化を目ざすうえで、「第3国への輸出に際した特恵関税の認定」も追加で提示した。
このような北側の具体的な提示とは違い、南側はひたすら「再発防止の保障」だけを要求し「相手方(北側)を愚弄した」というのがパク・チョルス団長の主張だ。
パク・チョルス団長は「南側は開城工業地区を政治的に卑下し、かつ軍事的に威嚇することによって、暫定中断事態に至った根本原因を除去するための原則的な問題の討議には熱意を見せなかった。我が方に一方的な責任と再発防止の保障だけを要求し、その要求が受け入れられない限り、正常化問題を議論できないと主張した」と話した。
彼はまた「南側は、工業地区を正常化した後にでも十分に解決できる、機構および制度的装置の問題に固執し、これらが先に整備されてこそ操業を再開できるという、漠然とした主張だけを繰り返した。会談では時間をずるずると消費するだけで、2回目と4回目の協議には草案文書も作らずに手ぶらで出てきて、会談を空転させた」と主張した。
また、今回の第6回実務会談でも南側は再発防止保障だけを提示し、「極めて挑戦的な修正案を持ち出すことで、対話の相手方(北側)を愚弄した」と繰り返した。そして「南側のこのような姿勢は、工業地区の正常化を妨げ、ひいては工業地区を完全に閉鎖させようとする故意的で計画的な陰謀に過ぎないと確認する」と述べた。
幾日後には「劇的妥協」とか「劇的妥結」とかの記事が躍りそうだ。
双方に莫大な利益があるこの協商を、両政府は反故にできないであろう。
それよりなにより、何十万人の生活が懸かっている協商であり、民族全体の平和と統一への重要な一里塚でもあるケソンを捨ててはならない。