ホテルのテラスへ出てみる。
相も変わらずキラキラと輝く太陽。
照らされた街がまぶしくて目を細める。
ぼやけた景色を見渡して日本はどっちだろうと思う。
~




振り返ると、モップを持ったおっちゃんが鼻歌まじりに掃除をしている。
彼は目が合った私に、ただ笑顔をくれてモップを軽やかに動かし続ける

その 普段と変わらない今日を過ごしているおっちゃんを見て
私がどんなに慌てても、誰に何があっても、1日は24時間でしかなくて
今日と言う日は ただそこにあるのだ と、そんな風に言われた気がした。
大きな出来事があった日は、ただ流れていく1日より確かに色濃くて、
その日の気温も空の広さもずっと忘れない。
つまりね。今日は、そんな日じゃないと。
だって弟は今戦ってる最中な訳で。
なのに大ごとを想定して私が凹むのってさ 失礼でしょ 頑張ってる弟にさ。
信じててやらないと。
今日が、普段と変わらない1日になる

あたしの神経は時折、自分でもびっくりするほどに単純だ。
信じるスイッチが入ったら、もう疑わない。
もしも…なんて考えないから 変に心配なんかしない。
こんな風に考えられるようになったのは 私が強いから…じゃなくて。
これまで誰かにこっぴどく騙されたり、裏切られたり、
そう言う経験がないからなんだろう。
ツライ目に遭ってる人ほど、ガマンが上手になってくだろうし、
疑い深い人には、疑わなくては不安になってしまう
それなりの理由があるんだ思う。
だから。
私が物事を切り替えて考えるのが上手なのは、強いからとかじゃなくて。
ただ、平気だった事が多いからなんだ。
そうやって生きて来られたのは
紛れもなく私を取巻く全ての人たちが優しかったおかげ。
ホントに、みんなどうもありがとう。
泣くのも喚くのも、もしも…が、現実になってからでいいや。
そう眩しい太陽に呟いて、街へ出た。