これはとても良い曲です。アルバム中の最終ソングでも問題はないが、シングルのB-sideに入れたらより世間に認知されたのではないだろうか?
特に卒業シーズン。卒業ソングなら春先か年明けなのだろうが、ちょっと時期が早かったか。
別れた後に1人で人生の道を歩むと決めた強い人物像と、決して無駄ではなく出会えた事に感謝している、今でも内心は好きなのだろう、という乙女な少女像で作られた世界観。
強く生きようとするけど、強くはないんですよね。この時には。翌年の秋の12thシングル:ミステリーウーマンでは強くて逞しい女性になられますがw
石川秀美作品では初期も後期も一貫して自分の信念を持った女性が描かれている。石川秀美自身の歩みにも同じ事が言える。
今回も作家陣は石川秀美の創世記からアイドル黄金期を担った人達。
作詞家は石川秀美の先輩の河合奈保子でも良作品を書き上げ、Side-A作品の石川秀美においても7thシングル:バイ・バイ・サマーで登場。
1983年からアルバム、Side-Bでも起用され、そしてこの曲が含まれるアルバム:Semi Sweetでも何回か登場し、しばらくの間、石川秀美のアイドル黄金期を共にする作家である。
しっかりした目線を持つ少女像を描いているのが特徴の作家。
この曲は本人、ファン、スタッフ陣からも人気があったと思わせるように翌年の1984年体育の日に開催されたコンサート:BURN UP HIDEMI~秀美の熱い一日~ でもラストソングに歌われている。
同名タイトルのアルバム、ビデオでもその歌唱は鑑賞できる。感極まってる姿が観られる。
個人的にも、歌詞どおり♪~少し早い秋風がつらくても~♪て感じで、この季節に最適である。
秋か初冬に聴きたくなる。
イントロから電子ピアノのシンプルな音階から始まり、情感あるギターの音色で壮大に始まるのだが、1番はサビになるまでピアノのほとんどピアノの音だけしかバックの音がない。にもかかかわらず、実に安定した歌唱で丁寧にかつ、精一杯歌う石川秀美。
更に歌がうまくなったのが、硬軟をつけた歌い方が出来ていて、Aメロの優しく歌う部分もあれば、大きくしっかり歌う部分もあったりと歌手としての成長が伺える。
特に斬新なアレンジはないものの、定番的なオーソドックスながらもアイドル的であり、80年代初期の音色が多用されている。
が、生音録音っていうのは多分、この1983年の後半がラストぐらいだったのではないだろうか。
1984年になると、打ち込みサウンドが斬新かつ取り入れられていくので、いわゆる80年代の生音演奏がメインで表現されている楽曲の最終章でもある。
間奏でより叙情的にあおるEギター。ドラマチックさこのうえないくらい。
惜しむべき点は、ラストのサビにつながる部分が、もうちょっと工夫があっても良かったと思う。
2番より更に広がるように・・・リフレイン部分も歌メロよりも大きくしても良い。
ドラムがあまり目立たない曲だけど、最後のサビのリフレイン時にたくさん鳴るシンバルの音が情熱的でとても良い。
この1曲で幕が下りる前の映画のエンドロールと同じくらい満足できる、このアルバムを締めくくる楽曲である。
個人的には、劇的で壮大なアレンジとコンサートの最終映像との相乗効果で、この曲を聴き終わる頃にはコンサートを体感しているようだ。
最後に、この曲が含まれるアルバム:Semi Sweetも、未だCD復刻されていないため、CD化が望まれるアルバムである。
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