与一から出て来た生き物の記録

奇妙な生き物。早朝の自宅ガレージ奥の「与一」の中から、様々な働きをする者たちが生まれています。その有様と効能の記録です。

そらの物語・42 「ゆきりんの報告」

2010-11-20 04:51:19 | そらの物語


 


 42


「ゆきりんの報告」


 



 


「はたらき協議会」開催後間なしに 「ゆきりん」からの報告が入ってきた


通常 私達の連携は 各々の内面を通じて 


言葉や画像・動画 文書も含め あらゆる通信を行っている


しかしそれは あくまで各々の間でのやり取りに限る


今回 「協議会・開催中」についてのみ 会場に設置したPCを通じて行い


参加している全ての「生き物」の間で 共有できる”しくみ”となっている


こうする事で 臨場感ある”やり取り”が可能となるのである



 


司会・生き物    「Hey!ゆきりん、ぽち、Hiたかお君とえびすの状況を伝えてもらえるかな? 君が今見ている画像がこちらでも見えるようにしてあるから、ざっと見まわしてくれるとこちらの皆はとてもラッキーだよ!」


ゆきりん       「うん、わかった。 ほら、たかおくんは点滅したまんま。(Hiたかおが点滅しながら横たわるLive画像・笑声・歓声) で、まだ”おしゃべり”はできないよ。死んでるみたいに寝てるから。あたしとぽちと子供たちは「1号」から「なないろに戻ろう」って連絡があって、ちょっと前に「なないろ」に着いたところよ。カイさんとヘビと一緒よ。」


司会・生き物    「OK!了解!!でもゆきりん、今の「なないろ」は危険じゃないか? サソリたちがまた襲って来るかも知れないよ?」


ゆきりん       「うん、おなじ事を、カイさんも言ってたわ。でも、だいじょうぶだって、1号が・・・・ええっと・・・1号が・・・。 ねえ、ぽち、1号が何んて言ってたっけ??」


ぽち          「おおおお、追われてるのは・・のは、おおおれたちじゃなくて、ささ・サソリだから・・って言ってたよ!!ししんぱいないって。」


司会・生き物     なるほど!それは、サソリが警察に追われてるって事?? でも それなら先の襲撃の時も、サソリ達は警察に追われてる最中の事だったんだから、今も安全とは言えないんじゃないの??」


ゆきりん        「んんんん・・・・それは・・ねえ、ぽち、1号は何っていってたっけ??う~ん、何っていってたっけ・・・・」


ぽち           「う~ん・・・・。う~ん・・ななな何んだっけ・・たたたかおくんなら、たかおくんなら・・ちゃんと覚えてるんだけど・・」


ゆきりん         「あっ!!そうよ!!そうそう!!”サカナ”って人が何んだかっていってたわ!!」


司会・生き物      「??”サカナ”って人??それは、何?」


ゆきりん         「思いだしたっ!!暴走族の”親玉”よ!!その人。 たぶん、怖い人・・。そらくんの昔のお友達のパパよ。 そう、1号と話してたの!!その人がサソリを”シマツ”するって!!いやね・・やくざって!!あたし、大っキライ!!そういえば、そらくんも「なないろ」に向かってるみたいよ!!「ネコ」と一緒に。そらくん、携帯が繋がらないから、「カイさん」がずっと「ネコ」と連絡を取り合ってるわ。たぶんそらくん、携帯 落としちゃったのよ。サソリがイヤな事いうから、すごく怒って・・・・」


司会・生き物      「Thank You!!ゆきりん!!ざっと状況はわかったよ!ありがとう!じゃあ、また新しい事がわかったら連絡待ってるね~!!あと、たかおくんが回復するようだったら、連絡するように伝えてね!」


ゆきりん         「は~い!!」


 


 


国道163号線の昼過ぎ


交野・寝屋川方面から大阪方面へむけて 


派手なマフラー音が響き渡った


重く空気を裂いて走るような 大型バイクならではの重厚なマフラー音は


疾走する「ネコ」のバイクだ


「そら」を乗せた「ネコ」は 「サソリ」達暴漢の追跡をかわした事がゴキゲンだ


一方 後ろに乗った「そら」はちょっと複雑だった


「サソリ」の放った言葉・・・・ 「◎◎◎」 「役立たず」


そしてその直後の 思い続けていた”彼”との出会い


ただ「そら」はこんな時でも 簡単にその場の空気に流される


疾走しながらの「ネコ」の大声は あまりにゴキゲンで


「そら」の中で巻き起こっている 整理のつかない想いを


吹き飛ばす勢いで その勢いに流されて 何んら問題がないのだ


 疾走しながらの 二人の大声での会話は


道行く人々を振り向かせる ”楽しげな怒鳴りあい”の様だ


「ネコ」は20代で 「そら」はもうすぐ15歳


まだ若い二人の勢いを 豪快なマフラー音が代弁するように響き渡る


 「1号からメールがきたぞ!!」と「ネコ」。 「何んてぇ??」と身を乗り出して「そら」。 「おまえの携帯にも来てるやろ? 1号からのメール!!”なないろに帰ろう”ってメール!!」。 「おれの携帯は・・おれの携帯は・・・えっと、たぶん、落とした!!」。 「あほかっ!!落としたらあかんがな!!」。 「あかん、とか言われても、あれへんから・・・・たぶん、落としたっ!!」。 「しゃないなあ!!取りあえずつかまれ!!飛ばすぞ!!」。 「OK!!飛ばせ飛ばせ~!!。 「はっはっは!!200?で行っとこか(笑)!!!」。 「しょぼい!しょぼい!!500?くらい出しとけ~!!」 。 「あほかっ(笑)!!」。 



 「な、ネコ、おまえの携帯かしてくれへん??」。「何?何すんねん?」。 「うん、おれの携帯に電話してみる!!だれか拾ってるかもしらんやろ?」。 「あっ!なるほどな!!でも、拾ってても、かかってきた電話には出んかもな、それに、電池、残ってるかな?」。 かなりのスピードで走りながら携帯をまさぐり出し、「そら」に渡すのには、ちょっと危険なスピードのままの「ネコ」。 「とりあえず、やってみ!」。 


Pu・・Pu・・Pu・・・Pururu・・・「あ、つながった!!」。 Pururu    Pururu   Pururu


「・・・・・あかんなぁ!!あかん あかん!取れへんわ」。 「やっぱ、あかんか!!ほんなら、もし、誰かが拾ってくれてるとして、メールとか送ってみたらどう?見ぃひんかな?」。 「あっ!!さっすがネコ!!なかなかのわるだくみやな!!」。 「わるだくみとちゃうがな(笑)。取りあえず、タイトルの所に”この電話を拾ってくれた人へ”とか書いたら、ひょっとして見るかもな!!」。 「OK!!」


二人はそんな大声でのやり取りをしながら、間もなく「なないろ」に到着しようとしていた。 この日、二人が走り抜けた163号線は、いつもと違う”不穏な空気に満ちていた。 特に大阪市内に入ると、その異常さは際立っていたが、疾走する二人はまったく気づかなかった。 163号線に通じるあちこちの側道から、あわてた様子の何台ものパトカーが京橋方面へ向かっている。 明らかにスピード違反の「ネコ」のバイクにも目もくれずに。 京橋駅前で、大きな事件が起こっていたのだ。



おれのけいたいおもってる


”さいもと”てかいてある


 はんかちの


おれのしらない人へ


「ネコ」てゆうおれのなかま


のやつのけいたいから


おれがおれのでんわに


めーるです


おれわ「そら」ていいます


はんかちお かやしたいので


それとちよとだけ”おはなし”とか


あんたとしたいです


このでんわに


でんわおください


 


そら


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