斎藤投手引退

「斎藤佑樹」

言わずと知れた「ハンカチ王子」である。

現楽天、田中将大と甲子園決勝で引き分け試合、そしてその再試合を投げ合い、見事に優勝した投手である事は、野球ファンなら誰でも知っている事だろう。

その斎藤佑樹投手が引退宣言をした。

今日、「幸太郎（清宮）に泣かされた。」と、試合中に涙を流しながら、ファームの試合で投げたらしい。

甲子園優勝というのは凄い事だと思わせる言葉がある。

それが「ハンカチ世代」という言葉だ。

斎藤投手には悪いが、ハッキリ言ってプロの世界では、田中投手の方が格上だし、マエケンこと、前田投手だって斎藤投手よりも格上だ。

しかしながら、彼等世代をひっくるめて「ハンカチ世代」と言う。

つまり、その世代を代表しているのが「ハンカチ王子（斎藤佑樹）」なのだ。

彼が甲子園で使っていた「タオルハンカチ」は、当時売り切れ続出の大ヒット商品になったのも有名な話である。

本当かどうか判らないし、僕の記憶も定かではないが、この「ハンカチ」にはおばあちゃんの教えがあるそうだ。

一見、クールに見える斎藤投手。

実はけっこう短気だったらしい。

自分の思い通りにプレーできなかったりすると、態度に出るくらいにイライラしていたそうだ。

それを見た、彼のおばあさんが、

「イライラしたら、このハンカチで汗を押さえながら、気持ちを抑えなさい」

と言って持たせたのが、かの（タオル）ハンカチだったそうだ。

確かに、斎藤投手はこのハンカチで汗を拭くのではなく、押さえるように顔に当てていた。

このエピソードが本当なら、彼のおばあちゃんが早実優勝の陰の立役者と言っても、過言ではないのかもしれない。

実際、甲子園決勝、決勝再試合

田中投手はいくつかのアウトを、他の投手が取っているのに対して、斎藤投手は、途中交代するものの、全てのアウトを彼がとっているのである。

歴代甲子園決勝戦でも、松坂大輔のノーヒットノーランと双璧をなす名勝負として語られるであろう、早稲田実業（斎藤佑樹）ｖｓ駒大苫小牧（田中将大）の決勝戦。

松坂大輔の独り舞台的に言われる試合より、二人の投手が投げ合った死闘とも言える決勝戦の方が、印象に残ってしまっているのは、僕だけではないと思う。

しかも、斎藤投手が対した最後の打者は、田中将大だったのも、筋書きのないドラマのはずの野球が、まるで筋書きがあるかのように思えてしまう、スポーツを越えたところにある「ドラマ」のように思えた。

怪我に泣かされた、プロ野球生活。

清宮幸太郎が言った一言が

「最後くらい、楽しんでください」

早実卒業、ドラフト１位入団、プロでの苦悩…

斎藤投手の中で、それまでの苦労や思い出が、一気に溢れてしまったのではないだろうか？

今は素直に、「おつかれさま」と彼に言いたいと思う。

間違いなく「記憶に残る選手」の一人として、今後は野球界の発展に尽力していただきたい。

栗山監督が、一軍での最終登板を明言した。

最終登板、思い切り腕を振って、本当の意味で楽しんで欲しい。