今回の作品は、また初めての著者となる。いつものように図書館の新刊案内のところで見つけた作品だ。表装が派手だったのと帯の紹介で興味を持ったが、2日程の通勤の間に読んでしまった。非常に読みやすく、どんどん読み進める事ができた。読み終えると何とも言えない、そうリアルと懐かしい昭和の香りが感じられた。
この作品は、非常に珍しく、今まで有りそうでなかった(と思うが)作品だろう。まるで一人の実在の人物の一生を表現したノンフィクション作品のようなフィクション作品だ。この作品を読むと実際の人物は一体誰が近いのだろうと考えてしまうが、年齢的に、大分上の年代となるのであまり考えない事にしよう。あくまでフィクションとして考えよう。と言うぐらい年代が遡る。そう戦前より更に以前の昭和の頭からの物語だ。しかもこの作品を書かれた方つまり加藤元氏は私より遥かに若い。大変素晴らしい。よほどの歴史的見地がなければ、こう言う作品はできないだろう。
たまにはこういう作品も面白いと思う。
るてん ばら
書籍名:『流転の薔薇』
発行所:講談社
発 売:2010年7月16日
定 価:1680円(税込み)
頁 数:339ページ
喪った女だから、処女を演じきれるのだ。
最強の仮面をつけた究極の女。“純情”からもっとも遠い女優の物語
小説現代長編新人賞受賞第1作
まるで実在するかのようなスタア女優の一代記。圧倒的なスケール感と面白さを保証します。これは、絶対“買い”だ!
「銀幕の花嫁」と謳われたのは、溝(どぶ)の中で育った勝気な女
地主の父親と芸者の母親の婚外子で、母親と東京の外れの長屋で暮らしていた千鶴は、ある日、父親の家に引き取られた。腹違いの美しい妹・鈴子との出会い、暗い欲望をもった兄との禁断の関係を経て、ひょんなことから女優の道を歩み始めることになる。理想の花嫁像として国民的人気を博していく千鶴に回ってくるのは、いつも本人の実像とは程遠い、純情で貞淑な役柄ばかりだった――。
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