Model-3「正式版ユニット」のリリース

2023年05月13日 | 店舗・メディア・対外 情報

 

 島津Model-3 の展示品が「正式版ユニット」にアップデートされ、セール期間が延長されます。

 試聴会のご案内 → こちらから

 

◆ 展示品のユニットが「正式版」にアップデートされます

 スケジュールの都合で、当初の展示開始に間に合わなかった「正式版ユニット」に近日アップデートさせていただきます。極めて完成度が高くなっておりますので、現状の暫定版ユニットとは別物とお考え下さい。

 暫定版ユニットは、ある種クラシック向けの大人しい高音の鳴り方になっており、お客様の評価も好き嫌いに二分されるレベルの完成度となっておりました。実際には同時進行にて正式版の開発を進めており、技術的には既に完了しております。しかしながら、展示用ユニットの用意に時間がかかっておりまして、来週末頃のアップデートを目指しております。

 改良点について簡単にご紹介します。音力と厚みのある中音域や、歪み、濁りの少ない音質についてはDSS振動板ならではの鳴り方が既に実現していますが、高音域に出にくい音程があって、その対策が課題になっておりました。そして、その対策ポイントは、振動板の最外周部分の内部補強(構造断面図は →こちらから)にある事が新たに判明しました。(対策済みの)正式版の振動板では、内部補強のピッチが外周部に向けて徐々に小さくなってゆき、最外周の隅まで目一杯詰め込んでいます。(←タイ焼きの尻尾まで目一杯アンコを詰める感じです)最外周部では爪楊枝を差し込むのも難しいくらいに補強板が密集しています。

 DSS振動板は、立体的な骨組み構造にて、マクロ的には非常に大きな比弾性を持っていますが、ミクロ的にみると、薄い外殻に対して内部補強の入っている部分は固いのですが、補強の無い部分はペコペコしています。外周部においては、このペコペコ部分で共振が起こらない様に処置しないと、高音域で逆共振を起こして、出るはずの高音を打ち消してしまう現象が生じる模様です。この問題を前記の対策によって解決した訳です。更にこの事は、歪み感の低減にも大きな効果がありました。

 この完成度は、従来のフルレンジスピーカーとは次元が異なる高音再生を可能としています。ソフトドームトゥイーターにありがちなフン詰まり感がなく、且つハードドームトゥイーターにありがちなジャリ音も生じず、生々しくも、自然で心地よい音質となっております。

 付け加えまして、以上のごとくミクロとマクロ両面のノウハウが揃った事で、DSS振動板の音作りが概ね自由自在に出来る様になりました。しかも、(このノウハウを応用した)改めての最適化によって、振動板本体の質量を暫定版ユニットの概ね半分に減らす事が可能になり、公称能率を当初の80dB/2.83Vmから83dB(※1)に改訂する予定です。アンプのパワーが半分で済みますので、大幅に扱いやすくなりました。

※1. 振動板の質量が半分になっても、ボイスコイルの質量等が追加されるため、トータルでの能率は2倍(+6dB)とはなりません。

 

◆ セール期間の延長

 5月20日でセール終了の予定でしたが、正式版ユニットでの音質確認をしていただく期間が確保できなくなったため、5月31日まで延長させていただく事になりました。オーディオユニオンお茶の水店(2F)のご厚意にて引き続き試聴が可能ですので、このチャンスにお試しいただけましたら幸いです。

・ 正式版ユニットへのアップデートが終了しましたら、改めてご案内致します。

・ 記念セールでのご購入手続きについては → こちらから

 

◆ イノウエスピーカーに関連するご質問について

 幻のスピーカー「イノウエスピーカー」と呼ばれるフルレンジスピーカーの製品群があり、分割振動が少ない事が特長であるとされています。このスピーカーの場合は高音域が減衰するので、専用の補正効果のあるアンプと組み合わせて鳴らす必要があるとの事で、「DSS振動板スピーカーではその必要は無いのか」というお問い合わせがありました。そこで以下に解説させていただきます。

 まずはその背景を解説します。いわゆるダイナミック型スピーカーでは、高音域でのボイスコイルインピーダンスの上昇が原因で、高音域が減衰するという物理的性質があります。しかし通常のフルレンジスピーカーでは、分割振動によって高音域が強調されますので、減衰は問題にならない事になっています。しかし、分割振動の少ないスピーカーでは高音域が減衰する事になるので、DSS振動板スピーカーにおいてもこれが問題にならないのか、という疑問が生じるわけです。

 そして結論としましては、インピーダンス上昇を抑えるショートリングという装置を二重に組み込んで対策する事を前提にすれば、10cm口径程度のスピーカー(=小口径ボイスコイル=インピーダンス上昇が少ない)迄であれば、実用上は問題にならないレベルと考えます。それでも高音減衰が問題になる場合は、振動板自体に減衰作用があると考えるべきです。たとえ圧倒的な高比弾性を誇る立体補強構造の10cmDSS振動板であっても、振動板自体の高音減衰対策(※2)が必要でした。

※2. 島津Model-1については、小音量再生を前提にした音作りのために、高音域を意図的に抑えています。島津Model-3 の場合は抑えていません。

 

 

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