お話

日々思いついた「お話」を思いついたまま書く

妖魔始末人 朧 妖介  55

2009年12月15日 | 朧 妖介(全87話完結)
 頭を押さえつけていた幸久の手が離れた。だが、葉子は離れなかった。目を閉じたまま、自ら頭を前後させている。幸久は乱暴に葉子の胸元を蹴りつけた。ベッドのクッションが軋りを立て、葉子のからだを弾ませた。
 幸久を見上げる。まだ喉の奥がひりひりとしていた。・・・ああ、わたしは幸久を含んでいたのね。その表情には怒りや驚きはなかった。満足した笑顔があった。
「葉子・・・」幸久が床に立ったまま言った。「下着を拾え」
 葉子はふらふらしながらベッドから降りた。力なく床に座り込んでしまった。それでも手を動かし、ブラジャーとパンティを掻き集めた。それを幸久に差し出す。幸久はブラを床に捨て、パンティを葉子に渡した。
「それで俺のを包んでしごけ」幸久は葉子を見下ろして言った。「そして、出させろ」
 葉子は微笑んで、パンティで猛りの治まらない幸久を包んだ。
「幸久、ごめんなさい・・・」少ない布なので覆う事が出来なかった。「これでも良い?」
「お前のパンティを俺ので汚せればいいんだ! つまらない事を聞くな!」
 幸久は葉子の頭を平手で繰り返し叩いた。
「ごめんなさい! ごめんなさい!」
 葉子は謝りながら、包んだ幸久の猛りを握り、手を上下させ始めた。幸久の手が止まリ、荒い鼻息が漏れる。猛りがさらに大きくなる。・・・凄いわあぁぁ。葉子は自分の手の動きと猛りを増す幸久とを、画面を通して観ているような気分になっていた。不意に幸久がびくびくと小刻みに震えた。温かいものが溢れ、包みきれない分が葉子の手を伝った。葉子は拭き取るように幸久からパンティを外した。幸久はまだ猛っている。
 幸久はしゃがみ込んで葉子のTシャツを拾い上げた。力任せに引き裂き始め、数本の紐を作った。
「葉子、それをよこせ」幸久は汚れたパンティを受け取った。それを裏に返す。べたつきが部屋の灯りに照らされている。幸久は口元をゆがめた。「・・・葉子、目を閉じて口を開けろ」
 言われるままにした。幸久は持っていたパンティを口に押し込んできた。幸久の味が口の中に広がる。Tシャツを割いて作った紐を開いた唇の間に押し当て、後頭部で思い切りの力で結わえた。唇の両端と後頭部の髪の毛が痛い。それでも葉子は目を開けなかった。・・・なんでもするわ、だから、嫌いにならないで!
 閉じた目の上にも紐が掛けられた。瞼を通していた部屋の灯りがなくなリ、闇になった。瞼と後頭部に痛みが走る。
 肩を蹴られ、仰向けに床に転がった。両膝を押し曲げられた。右の手首をつかまれ、右の足首と一緒に縛られた。左も同じ事をされた。うつ伏せになるように転がされた。
「みっともないな、葉子・・・」甲高い耳障りな笑い声を上げた。「まるで潰れた牝蛙だぜ!」
 ・・・牝蛙。そう、わたしはみっともない牝なのよう! お願い! もっとあなただけのものにして! 緊く縛られた痛みは、幸久との強い絆に感じられた。背中を踏みつけられた。その痛みも、葉子には絆だった。・・・もう、わたしから離れないで! 何でもするし、何でもしていいから・・・ 
 背中に幸久の舌を感じた。忙しない動きで背中全体を這い回っている。敏感に感じる部位の一つだ。葉子は呻いた。・・・あああっ! もっと、もっとぉぉぉ!
 幸久が後ろから挿って来た。腰を両側から押さえつけられた。乱暴な動きがまた始まる。・・・そう、そうよぉ! 壊してっ、わたしを壊してよう! 床に敷かれているカーペットに預けた顔が、幸久に合わせて前後する。
 不意にからだを持ち上げられた。いや、そんな気がしただけかも知れない。幸久の動きが止まっていないからだ。・・・こんなのって初めてぇぇ! 口の中に溢れたよだれが幸久のと混じる。・・・口にも挿れられているみたいぃぃ! 葉子は快楽だけを意識する牝になっていた。
 両の乳首を同時に吸われた。ばらばらに動く舌先で、痛いほど敏感にさせられている。
 菊門に痛みが走る。何かが力ずくで挿って来る。あまりの痛さに大きく呻いた。
「喚くな!」獣の咆哮のような声がした。「お前は俺の玩具なんだ。俺の思いを全て満足させるオモチャなんだよ! オモチャのクセに痛がるな!」
 喉を絞められた。幸久の親指が喉の真ん中に喰い込む。息が詰まる。・・・そうだわ、わたしはオモチャ、幸久のオモチャ。何をされても決して反抗をしない、オモチャなのよう! 菊門を押し入ってきたものは、幸久の猛りと同じ感触だった。荒々しく動き始めた。痛みが、いつしかもう一つの快感に負けぬほど、強くなってきた。・・・何、この感じは! 両方を責められているこの感じは! ああ、もうどうでもいいわ。 幸久、もっと、もっとぉぉぉ! 
 背を這う舌、両の乳首を弄ぶ舌、二穴を乱暴に攻める猛り――
 葉子はその全てを一度に味わっていた。葉子は全身を淫楽に包まれていた。
 姿見には縛られた葉子が映っていた。その葉子を抱きかかえていた幸久も映っていた。
 葉子の背中に顔を寄せ、舌を這わせていた。そして、その首の付け根から左右に長い首が伸び、葉子の前へと回り込み、それぞれの幸久の顔が、左右の乳首を口に含み、夢中で吸っていた。溢れる涎がカーペットを汚している。抱きかかえている腕とは別の長い腕が肩から伸び、葉子の喉を絞めている。菊門を攻めるために臍の下に生じた新たな猛りは、それが別の生き物であるかのように伸び縮みを繰り返していた。


      つづく






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