「大発明だ!」シュタークスミス博士は叫んだ。「これで、本のわずらわしさから解放されるぞ!」
博士の発明したものは、研究室の四方の壁にある書棚とケーブルで接続された小さなパネルが幾つも明滅している機械と、その機械に別のケーブルで接続されているヘッドギアのような装置だった。
「何か調べるたびに、この膨大な書棚の本を捜し回るのは、時間と体力の無駄だ」博士は壁に隙間無く並び、天井にまで届いている書棚を見回す。書棚に収まらない本が床のあちこちに山積みになっている。「そこで、いちいち書棚を回らなくても良いように、全てを頭の中に収めてしまえば良いのだ」
装置を作動させれば、書棚の本の全ページが頭の中に収まる。それが終われば、床の本と入れ替えて再び作動させれば追加で頭に入る。
「ふっふっふ。これで、歩く書棚、生きた図書館となるのだ」
博士は装置を作動させ、全ての本を頭に入れた。頭に入れてしまえば失われる事はない。そこで博士は本を処分した。その分、研究室が広々とし、博士の発明熱をさらに燃え上がらせた。
ある時、博士は調べ物の必要に迫られた。
「では、発明の成果を試してみよう」
博士は目を閉じ、頭の中の書棚に集中する。
頭に浮かんで来たのは、最初の書棚の最初の本の表紙だった。それがめくられて、目次のページが続く。その本には載っていなかった。すると次には、隣に並んでいた本の表紙が浮かび、目次のページが続き、載っていない事がわかり、その隣の本の表紙が浮かび…… やっと見つかったのは七万冊目だった。
「う~む、覚えたのは知識では無く、本そのものだったのか……」
大切なのは、本の量ではなく、知識の量なのだ。
博士の発明したものは、研究室の四方の壁にある書棚とケーブルで接続された小さなパネルが幾つも明滅している機械と、その機械に別のケーブルで接続されているヘッドギアのような装置だった。
「何か調べるたびに、この膨大な書棚の本を捜し回るのは、時間と体力の無駄だ」博士は壁に隙間無く並び、天井にまで届いている書棚を見回す。書棚に収まらない本が床のあちこちに山積みになっている。「そこで、いちいち書棚を回らなくても良いように、全てを頭の中に収めてしまえば良いのだ」
装置を作動させれば、書棚の本の全ページが頭の中に収まる。それが終われば、床の本と入れ替えて再び作動させれば追加で頭に入る。
「ふっふっふ。これで、歩く書棚、生きた図書館となるのだ」
博士は装置を作動させ、全ての本を頭に入れた。頭に入れてしまえば失われる事はない。そこで博士は本を処分した。その分、研究室が広々とし、博士の発明熱をさらに燃え上がらせた。
ある時、博士は調べ物の必要に迫られた。
「では、発明の成果を試してみよう」
博士は目を閉じ、頭の中の書棚に集中する。
頭に浮かんで来たのは、最初の書棚の最初の本の表紙だった。それがめくられて、目次のページが続く。その本には載っていなかった。すると次には、隣に並んでいた本の表紙が浮かび、目次のページが続き、載っていない事がわかり、その隣の本の表紙が浮かび…… やっと見つかったのは七万冊目だった。
「う~む、覚えたのは知識では無く、本そのものだったのか……」
大切なのは、本の量ではなく、知識の量なのだ。
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