お話

日々思いついた「お話」を思いついたまま書く

シュタークスミス博士の大発明 16 ―シュタークスミス 2号―

2008年04月27日 | シュタークスミス博士(一話完結連載中)
「大発明だ!」シュタークスミス博士は叫んだ。「これで発明の手間が省けるぞ」
 博士の発明したものは、博士の全知識を記憶させたコンピューターと博士の動きを完璧に再現する事のできる指付きアームを組み合わせた可動式の装置だった。
「まさにシュタークスミス2号だな」
 博士は満足そうにうなずいた。博士は、そろそろ発明以外の分野にも手を伸ばそうと思っていた。しかし、発明も止める事はできない事も分かっていた。そこでこの装置を作ったのだ。
「発明はこの装置に任せておけば大丈夫だ。なにしろ、食べない、寝ない、トイレに行かないと、三拍子揃っている。きっとビックリするような数の発明を行ってくれるだろう」
 博士は装置を作動させた。装置はアームをくるくると回し、あちこちへと移動し、部品を集め始めた。
「よしよし、その調子だ」
 博士は満足そうに言うと、研究室を出て行った。
 二ヵ月後、装置の発明品が気になった博士は、研究室へ行って見た。
 ドアを開けた。しかし、発明品は一つも無く、膨大な量の紙が散乱していた。装置のアームはペンを持ち、ひたすら紙に何かを書き続けていた。博士が覗いてみると、なにやら難しい内容の論文を書いていた。
「なんだ、この装置も発明以外の事に取り組みたかったと言うわけか。しかも、かなり高度な内容の論文を書いているようだ」博士は溜息をついた。「仕方がない。論文を続けさせ、発明はこっちがやろう・・・」

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