平和な日々が続いていた。
私はホームズを心配していた。
平和な日々とはホームズにとっては刺激のない日々と同義だからだ。
ある朝、ワイシャツの左袖を二の腕辺りまでまくり上げ、右手に注射器を持ったホームズを見た。
「ホームズ!」私は怒鳴った。「コカインは駄目だと言っただろう!」
「ワトソン、分かるだろう? 僕には刺激が常に必要なのだよ」
「でも、薬はいけないよ、ホームズ」私は注射器を取り上げながら言った。「もっと別の気分転換を考えなけりゃ・・・」
「別の気分転換か・・・」
ホームズは考え込んでいた。
次の日、爽やかな笑顔のホームズが新聞のある記事を指し示した。
昨夜遅くに浮浪者の惨殺体が発見されたと報じた記事がだった。
「ワトソン、実に、実に気分爽快だ! 昨日は良き忠告をしてくれたよ」
ホームズが昨夜遅くどこへ外出したのか、この笑顔と浮浪者の惨殺体との関係は何なのか、私は敢えて聞かなかった。
ただ言えるのは、偉大な才能が薬で侵されるよりは多少の犠牲を払う方が、はるかにましな事だと言う事だ。
私はホームズを心配していた。
平和な日々とはホームズにとっては刺激のない日々と同義だからだ。
ある朝、ワイシャツの左袖を二の腕辺りまでまくり上げ、右手に注射器を持ったホームズを見た。
「ホームズ!」私は怒鳴った。「コカインは駄目だと言っただろう!」
「ワトソン、分かるだろう? 僕には刺激が常に必要なのだよ」
「でも、薬はいけないよ、ホームズ」私は注射器を取り上げながら言った。「もっと別の気分転換を考えなけりゃ・・・」
「別の気分転換か・・・」
ホームズは考え込んでいた。
次の日、爽やかな笑顔のホームズが新聞のある記事を指し示した。
昨夜遅くに浮浪者の惨殺体が発見されたと報じた記事がだった。
「ワトソン、実に、実に気分爽快だ! 昨日は良き忠告をしてくれたよ」
ホームズが昨夜遅くどこへ外出したのか、この笑顔と浮浪者の惨殺体との関係は何なのか、私は敢えて聞かなかった。
ただ言えるのは、偉大な才能が薬で侵されるよりは多少の犠牲を払う方が、はるかにましな事だと言う事だ。
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