宇宙探検隊の冒険 1 ～逃げる星～

　宇宙探検隊は宇宙の知られざる惑星や生命体や現象を調査することが目的だ。
「隊長、未知の惑星を発見しました」
「よし、着陸して早速調査だ」
　しかし、メイン・スクリーンに映し出されたたのは、惑星と言うには小さすぎた。
「なんと、これでは衛星にも満たんな」
「ですが、完璧に丸い形状と言い、七色の地質と言い、妙に探検隊の心をくすぐります」
「確かにな。とにかく着陸して調査だ」
　宇宙船は近付くが一向に着陸出来ない。
「隊長、星が反対方向へ移動しています！」
「逃げる星か。よし、全速力で追うのだ！」
　宇宙船が速度を上げた途端に、端がメイン。スクリーン上方へ飛び去り、かわりに巨大な真っ赤な口が映し出された。
「隊長、これは宇宙アンコウのデデンダです！　星に見えたのは擬餌だったんです！」
「では、こっちはひっかかったエサか！」
　デデンダの口がゆっくりと閉じられた。


　　著者自註　
　　　この「宇宙探検隊の冒険」シリーズは以前のブログで発表したものです。そのブログは事情によりやめたのですが、このシリーズをお蔵入りさせるのは忍びないと思い、ここに復活掲載しました。以後ぼちぼちと掲載してまいります。