アメリカのアラスカ州の州都ジュノー市において、某キリスト教系団体の国際大会が催される事になった。組織内からも、このような時に催す事を疑問視する声が圧倒的だった。しかし、統治する上層部は、この危機の時だからこそ、この大会を神の愛を広く説く機会とすべきだと、信者たちの一致した行動を求めた。そしてこの発表を世界の各支部を通じ、会衆と呼ばれる下部組織へ通達した。発表に信者たちは従った。
都市部はモヘラの襲来を恐れ、離れて行く者が続出していた。大会会場がジュノー市に決定したのは、警備も交通網も保証しないがそれでも良いならとの条件だった。しかし、上層部はその条件を公表せず、神の配慮によって会場が決定したと発表した。
会場となる公会堂では準備が着々と進められた。信者たちは、この大会が無事に行われれば、神への信仰と勇気ある自分たちの組織とに世界の関心が集まるものと考えた。大会出席に向けて世界中から人々が、ジュノー市は陸路が市外に通じていないため、海路や空路で集まってきた(上層部が予定していた人数を大幅に下回ったが)。マスコミも若干集まった。マスコミはこの集まりを暴挙、愚行として扱うつもりでいた。
また、参加できない一般信者(大会にはそれぞれの会衆で模範であり、さらに自費で参加できる信者たちのみが集えた)のために、大会の模様が中継された。一般信者は各国の主要な支部施設から配信される映像を自分の会衆で視聴した。
準備の様子に関してインタビューを受けたジュノー市長のメイザー・ウォルシュは、団体側のインタビューには「皆さんの統制のとれた準備活動な感心しました! これも神の配慮なのでしょう!」とリップサービス的な激賞をしたが、マスコミ側の時には「危険を承知で開催した命知らずの団体だ!」と批判し、本音を語った。
大会当日は好天に恵まれ、穏やかな雰囲気の中で問題なく進行して行った。午後の部が始まった。団体の代表の一人、ジェイソン・ホーンドレイが話を扱った。壇上から客席を見回し、会場に集まった信者たちの勇気と信仰を誉め、視聴している他の信者たちに向けては揺るがぬ信仰をこれからも保つようにと力強く話し始めた。その時だ。甲高い機械的な鳴き声が轟いた。
モヘラの飛来だ!
場内は騒然となった。多数を占める女性信者たちが悲鳴を上げた。逃げ出そうと出入扉に殺到した信者たちは将棋倒しとなった。腰が抜けて立ち上がれない信者もいた。神が救ってくださるはずだと大声で周りを叱責する信者もいた。その逆に、我が団体は神に認められてはいなかった、神の怒りを買ったのだと大声で泣き喚く信者もいた。壇上のホーンドレイは「黙れ馬鹿者ども! オレは神の代理だぞ!」とマイクを握りしめて怒鳴った。この姿は世界中に中継されてしまい、会場内がパニックになっている映像も映し出されているにも拘らず、視聴していた一般信者たちの多くは呆れた顔をしながら席を立って行った。
モヘラの鳴き声が轟く中、突如、地震が起こった。舌を伸ばし、地上へ近付こうとしていたモヘラは、ただならぬ気配を察したのであろうか、舌を収めて羽ばたきをすると、空へと上がり、地上の様子を見下ろしていた。地震は激しさを増した。公会堂は真下に出来た亀裂の中へと崩れ落ちて行った。
不意に地震が止んだ。
朦々たる土埃が舞い上がっている中、亀裂から雄叫びが上がった。
それはオチラの雄叫びだった。
次回「大怪獣オチラ 対 宇宙怪獣モヘラ 弐拾参」の怒涛の展開を待て。
都市部はモヘラの襲来を恐れ、離れて行く者が続出していた。大会会場がジュノー市に決定したのは、警備も交通網も保証しないがそれでも良いならとの条件だった。しかし、上層部はその条件を公表せず、神の配慮によって会場が決定したと発表した。
会場となる公会堂では準備が着々と進められた。信者たちは、この大会が無事に行われれば、神への信仰と勇気ある自分たちの組織とに世界の関心が集まるものと考えた。大会出席に向けて世界中から人々が、ジュノー市は陸路が市外に通じていないため、海路や空路で集まってきた(上層部が予定していた人数を大幅に下回ったが)。マスコミも若干集まった。マスコミはこの集まりを暴挙、愚行として扱うつもりでいた。
また、参加できない一般信者(大会にはそれぞれの会衆で模範であり、さらに自費で参加できる信者たちのみが集えた)のために、大会の模様が中継された。一般信者は各国の主要な支部施設から配信される映像を自分の会衆で視聴した。
準備の様子に関してインタビューを受けたジュノー市長のメイザー・ウォルシュは、団体側のインタビューには「皆さんの統制のとれた準備活動な感心しました! これも神の配慮なのでしょう!」とリップサービス的な激賞をしたが、マスコミ側の時には「危険を承知で開催した命知らずの団体だ!」と批判し、本音を語った。
大会当日は好天に恵まれ、穏やかな雰囲気の中で問題なく進行して行った。午後の部が始まった。団体の代表の一人、ジェイソン・ホーンドレイが話を扱った。壇上から客席を見回し、会場に集まった信者たちの勇気と信仰を誉め、視聴している他の信者たちに向けては揺るがぬ信仰をこれからも保つようにと力強く話し始めた。その時だ。甲高い機械的な鳴き声が轟いた。
モヘラの飛来だ!
場内は騒然となった。多数を占める女性信者たちが悲鳴を上げた。逃げ出そうと出入扉に殺到した信者たちは将棋倒しとなった。腰が抜けて立ち上がれない信者もいた。神が救ってくださるはずだと大声で周りを叱責する信者もいた。その逆に、我が団体は神に認められてはいなかった、神の怒りを買ったのだと大声で泣き喚く信者もいた。壇上のホーンドレイは「黙れ馬鹿者ども! オレは神の代理だぞ!」とマイクを握りしめて怒鳴った。この姿は世界中に中継されてしまい、会場内がパニックになっている映像も映し出されているにも拘らず、視聴していた一般信者たちの多くは呆れた顔をしながら席を立って行った。
モヘラの鳴き声が轟く中、突如、地震が起こった。舌を伸ばし、地上へ近付こうとしていたモヘラは、ただならぬ気配を察したのであろうか、舌を収めて羽ばたきをすると、空へと上がり、地上の様子を見下ろしていた。地震は激しさを増した。公会堂は真下に出来た亀裂の中へと崩れ落ちて行った。
不意に地震が止んだ。
朦々たる土埃が舞い上がっている中、亀裂から雄叫びが上がった。
それはオチラの雄叫びだった。
次回「大怪獣オチラ 対 宇宙怪獣モヘラ 弐拾参」の怒涛の展開を待て。
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