「きみだって、知ってたはずの嘘だった。」
忍の孤独感は理解できましたが、中二病と言うと言い過ぎですが、思春期の悩みでしかない気が。
5世紀以上生きているということは400年前で100歳かそれ以上でしたから、それで思春期というのもなあ。寿命が長いということは、大人になることにも年月がかかるということかな。
そうだとすると、忍は、基本的には不死身の吸血鬼ですから、永遠に思春期であって、永遠に大人にはならないのかも。
物語シリーズ自体が思春期の話ですから、そこに大人の話を大きく取り上げるとバランスが悪くなるので、気にしてはいけないのでしょうが。
それを抜きにしても、全体として今一つでした。
物語シリーズ2ndは、最初に羽川翼(cv堀江由衣)という一番の物語を持ってきたので、それ以降の物語が一般的なアニメと比べて普通より良いものであっても、全てが色あせて見えてしまうというやつでしょうけれど。
◎ 1話「しのぶタイム其ノ壹」
忍野忍(cv坂本真綾)の話のはずですが、1話の初めは阿良々木暦(cv神谷浩史)と小5の八九寺真宵(cv加藤英美里)の会話(8月20日に真宵が阿良々木の部屋にリュックを忘れたので、8月21日にようやく出会って、取りに行きながらの。8月21日から8月22日までを4ヵ月後に忍野扇に語っている物語。)。
そして一転して、謎の「くらやみ」から2人が自転車で逃げ回る話。
見えないのに認識してしまった謎の「くらやみ」。
危ういところを通りがかりの斧乃木余接(cv早見沙織)のジャンプで逃げることが出来、(気絶している真宵は寝かしといて、)ED後に忍が登場。
400年前に日本に来た時に「くらやみ」に会ったときの嫌な思い出があり、怪異ではないとのこと。
それにしても、約500歳の忍を8歳の幼女の外見にしてしまう阿良々木は・・・変態かよ!
それにしても、命の危険がある中でも自転車の後席の真宵に胸を押しつけろと言ったり(無い胸を押しつけさせるのは、かなりマニアックな趣味では。)、ムフフと妄想したりと、阿良々木は、変態かよ!
いや、「変態さんですね。」
○ さて、阿良々木と真宵の会話に今一つの物足りなさを感じたのは、最後に会話をひっくり返して視聴者を安心させるために阿良々木が目論んだように、最後に「噛みました。」からの一連のやり取りがあるはずが、さあ出るぞ、という時に「くらやみ」を認識して逃げ出したからでしょう。
この台詞がないとテンポが今一つ、という感じ。真宵さん、決め台詞は、決めるときには使ってもらわないと、「訳が分からないよ」(byキュゥべえ(cv加藤英美里))。(4話で、悲しい形で出ましたが・・・)
この消化不良な感じの中で自転車で逃げ回るところは、「くらやみ」という「訳が分からないよ」との相乗効果でモヤモヤした感じが割り増しでした。
○ 取り敢えず、8月20日(と11年前)の話である「傾物語」が真宵の物語かと思いきや忍が主の物語であり真宵の出番が少なかったところは、補えた感じ。「囮物語」に続いて、阿良々木に対する忍の吸血鬼パンチも出ましたし、まずまずかな。
◎ 2話「しのぶタイム其ノ貳」
ほとんどが忍の約400年前の回想。時々、阿良々木が質問したりして。
忍の回想シーンの多くが横長の絵巻(静止画)になっているのは、昔の話だからということかな。
それでも、動きが少ないので、少し退屈な絵だったかなあ。
忍の語りをじっくりと聞かせたかったからでしょうから、そこは受け止めなければいけないのでしょうけれど、外見が幼女の忍がシリアスな雰囲気でシリアスな語りを長々としても、長くなければ問題ないと思いますが、長いことに少し違和感が。
○ 400年前、オーロラを見に南極に行ったけれど、人がいないので自分の存在力がなくなって行くのを危険と感じて適当にジャンプしたら日本の湖だったとか、その水をはじいて雨が降らずに困っていた村に雨を降らして神様扱いされたとか、そこに「くらやみ」が来てキスショット(忍)の存在を知っている周辺の村の人間全てが「くらやみ」に吸い込まれて消えたとか、キスショットと初代怪異殺し(本物の妖刀「心渡(こころわたり)」の持ち主。)も吸い込まれそうになってキスショットがジャンプしたらキスショットと初代怪異殺しの右手首から先だけは助かり、またも南極に飛んだとか。
日本に来て1年間でイロイロあったようで(次に日本に来たのは半年前。)。
南極で1人で寂しいから眷属(けんぞく)にするために右手の血を吸って初代怪異殺しを生き返らせたものの、初代怪異殺しは人間ではなくなったことに絶望してキスショットをナジッて、自殺したとか。
○ これまで話したがらなかったことや、忍の語り口からしても、忍は大きなショックを受けたことは伺えましたが、二度と眷属は作らないと神に誓ったのだとか。
吸血鬼が神に誓うのか・・・
いつの時代でも誰でも、困ったときの神頼み、というのはあまり変わらないようで。
ただ、このショックから400年経っても立ち直っていない忍というのも、思春期の子供です。
◎ 3話「しのぶタイム其ノ参」
忍も「くらやみ」の正体は分からずとのこと。
忍のヘタレ話よりも、阿良々木も視聴者も「くらやみ」の正体を知りたかったはず。でも、忍が思ったよりもヘタレなのは、私には分かりました。
○ 廊下で忍の話を盗み聞きしていた余接が登場。
童女の余接と幼女の忍と少女の真宵の誰が好きなのかの選択を阿良々木にせまるとか(阿良々木はパートナーとしては忍だと、苦しい回答。)、パートナーとかとは関係なくどうなのかを聞きたい忍は、忍と戦場ヶ原と羽川の誰が好きなのかの選択を迫るとか、目覚めた真宵で歓喜してセクハラして遊ぶ阿良々木とか、やっぱり真宵(をもてあそぶの)が好きなのねと私が思いつつ、阿良々木の変態っぷり
再び、「くらやみ」登場。余接のジャンプで逃げるも、忍だけはぐれることに(これが、「猫物語(白)」3話で忍が阿良々木とはぐれたと言っていた理由なのかな。)。
で、余接によると「くらやみ」は怪異ではないから阿良々木でも怪異殺しの忍では勝てないとのことで、何でも知っている臥煙伊豆湖(cv雪野五月)なら対策を知っているかも知れないということで、探す途中にタマタマ寄った家に臥煙伊豆湖が待っていたと。
臥煙は、何か、未来が分かるか、未来をある程度コントロールできるとしか思えない。
◎ 4話「しのぶタイム其ノ肆」
8月22日に決着。結局、忍の物語と思わせて真宵の物語だったわけで、「傾物語」と逆であったと。
○ 臥煙伊豆湖によると「くらやみ」は、「存在ではない非存在」であり、倒すことも、殺すことも、食べることも出来ないし、怪異でもなく、理不尽で不条理、存在しない何か、怪異の存在を消滅させる何か、とのこと。
「怪異の道を踏み外した怪異を狙うんだよ。」「超常的なパワーによってね。」
成仏しているはずなのにそこに居続けているという真宵の嘘、マヨイウシであるはずなのに人を迷わせることを止めた真宵の嘘。
(400年前は、神と言われて誤解を解かなかったキスショットの嘘。)
真宵に嘘をついている気がなくても、「だから、誤解されたら、もう嘘なんだって。」「今の君は、幽霊の幽霊みたいなもんなんだけどね。残念ながら世界は、そんなメタ構造みたいな存在を認めない。」「だから、倒すとかそういうんじゃないんだって。あれは、法則のようなものだ。」
だから、真宵が気を失っているときや寝ているときや、人を迷わせて怪異らしいことをしているときには「くらやみ」は追いかけてこないのだとか。
真宵は、「単に阿良々木さんと話すのが楽しくて、ずっとあちら側に行くのを先延ばしにしていただけなんですから。こんな楽しい時間がいつまでも続けばいいなと思っていましたけれど。」と。
○ 臥煙伊豆湖が去り、真宵を引きとめようと自分が一緒に迷子になると必死に言う阿良々木はみっともなかったですし、戦場ヶ原ひたぎ(cv斎藤千和)や羽川や妹達をどうするのかと言う真宵は大人でしたし、「化物語」の「なでこスネイク」編でも神原駿河(cv沢城みゆき)が逃げる蛇を追おうとする阿良々木を止めなかったら一番に助けるべき千石撫子(cv花澤香菜)を助けられなかったと思われるように、阿良々木は物事の順番、優先順位が分かっていないですし。
全員を助けたいのでしょうが、それは無理なんですよね、危機的な状況であればあるほど。
それが分かっていない阿良々木は、まだまだ子供です。
○ さて、1話で余接(12歳)から、1話で忍(8歳の姿)に無理矢理(でも忍は本当は喜んでいる。)、4話で真宵(10歳、小5)から、と3人と口づけをしたモテモテの阿良々木ですが、、、変態さんですね。
3話で影縫余弦(cv白石涼子)の式神である余接が「お姉ちゃん(影縫余弦)はイザとなったら、僕くらい平気で見捨てるだろうからなあ」と思っていますが、阿良々木は忍思いであり、真宵思いであり、絶対見捨てないところに余接は惚れたのかな。400年前の話からしても、忍もそうなのでしょう。
それで惚れること自体、子供ですけれど。
(大人でもそういう気持ちはありますが、大人は自立しているので、そういう理由でそこまで強く惚れはしないです。)
○ エンディング後、1話冒頭の続きとして、阿良々木は4ヵ月後(12月?)に忍野扇(cv水橋かおり)に事の顛末を話していましたが、何故に扇なのだろう?
他の人には話さずに真宵がいないことをしばらく隠して影響の様子を見ると言っていましたが、扇が「何か」であることには気付いていますし、
扇が「くらやみ」のことを知っていそうな口ぶりですし、
扇は自分の仕事を「普通の仕事ですよ。例えて言えば、宇宙の大半を占める圧倒的なクラヤミのようにありふれた仕事です。間違っているものを正し、終わるべきものを終わらせる。強いて言うなら、嘘つきを罰する仕事ってところですかね。そのうち分かりますから御安心下さい。」と、「くらやみ」に関係しているかのようなこと、というより扇が「くらやみ」そのものか操っているとしか思えないことを言っていましたし。
また、扇は、「囮物語」1話の10月31日の話で真宵を探していると千石撫子に言っていましたし(阿良々木と忍はこれを知らないはず。)。
つまり、扇は、真宵が「くらやみ」にとらわれずに自ら成仏したことを、阿良々木から12月に聞くまで知らないのでしょうし。
扇が「くらやみ」と関係ありそうだと阿良々気が思ったとの描写としては、扇の仕事の話を聞いて阿良々木が少し驚いていますし、また、扇が「何か」であることに気付いた上で扇に話している上に、直ぐではなくワザワザ4ヵ月後に扇に話しているので、やはり、「くらやみ」と関係あると思った上で話したということなのでしょう。
○ で、「くらやみ」が何モノなのかは示されなかったなあ。
見えないし吸い込まれるということは、小さなブラックホールみたいなものかな。
モノが見えるということはモノに光が反射し、その光が目に入り、それを脳が認識するということですが、ブラックホールは重力が強すぎるために光を吸い込むので反射せず、光が目に届かないので「絶対的」には見えません。それは、周りに星などの光が少しあるので「相対的」にブラックホールが黒く「見える」だけで、ブラックホールそのものが見えているわけではありません。
そんな感じなのかな、とでも、取り敢えず思っておきます。
【shin】