吹く風ネット

ルールマン

2003年2月18日の日記です。

 パソコンの前に座って、もう1時間が経つ。その間、文章を書いては消し、文章を書いては消し、その繰り返しばかりやっている。結局テーマが定まらないままに、この文章を書いている。

 いったい、日記は毎日書くものと誰が決めたんだろう。
 別に誰に強要されて書いているわけではない。もし強要している者がいるとしたら、それは自分である。勝手に自分でそういうルールを作って、それに縛られているだけのことだ。自分で作ったルールだから、書くことがない時や書きたくない時はルールを変更すればいいのだ。別にルールを変更したからといって、誰も咎めないだろう。

 そういえば、ぼくの周りにもたくさんのルールに縛られている人が多くいる。
 うちにいるアルバイト君は、『クリスマスにはプレゼントを贈らなければならない』というルールを自分で勝手に作っている。そしてルールに縛られている。彼を見ていると、人にプレゼントを贈らないと気が落ち着かないようである。
 バレンタインデーの時も、「男の価値はチョコの数」とでも思っているのか、彼は『チョコレートをたくさんもらわなければならない』というルールを作っていたようだ。そのため、パートさんにも「チョコレート下さい」とねだっていた。結局チョコレートを13個もらったらしいが、多くもらわなければならないルールに縛られた彼は、きっとその数に満足できず、ストレスを溜めたことだろう。

 前の会社にいた時、一日3箱タバコを吸うヘビースモーカーがいた。
 ある時彼は、「おれはこれから1時間に1本しかタバコを吸わんことにする」と宣言した。
 彼はその言葉どおり、1時間に1本しかタバコを吸わなかったが、10分置きにイライラしていた。自分でルールを決めて、自分に縛られ、あげくにストレスを溜める、いい見本である。
「別に1時間1本とか決めんで、少し控えめにする程度でいいやないね」
 とぼくが言うと、
「いいや、おれはそう決めたんやけ」
 と言って、意地になってそれを続けていた。
 そのうち彼は、妙に時計を気にするようになり、時計を見ては「まだか」とつぶやくようになった。時計に向かって八つ当たりする姿も見かけるようになった。こうなれば病気である。
 その後彼は自分のバカさ加減に気がついたのか、また以前のヘビースモーカーに戻っていった。おかげで、時計に八つ当たりする姿は見られなくなった。

 同じくタバコのルールマンがいる。
 その人は、「何分置きにタバコを吸う」というルールを決め、タバコを吸った時間をメモしていた。そうすれば前に吸った時間が確認できるので、自ずとタバコを吸う本数が減ると言っていた。
 これを始めた当初のこと。本人は気づかなかっただろうが、メモを取るための紙やペンがないと、彼は不機嫌な顔をしていたものである。その時点で、彼はルールに縛られていたのだろう。
 が、確かに彼の言うとおり、タバコを吸う本数は減ったようで、試みは成功したように見える。そのせいか、彼はいまだにこれをやっている。
 今は前のように紙やペンがなくても、不機嫌な顔をすることはなくなったようだ。おそらく、ルールを通り越し習慣になったのだろう。その根気強さには感服している。

 さて、この日記だが、そろそろルールに縛られるのはやめることにしようと思う。ぼくは上記の彼のように根気強くないので、到底習慣化されることはないだろうから。

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