1,
トイレに関して、過去にいろいろ事件があった。
一番多かったのは、トイレの電気を消されたことだ。心地よく座っていると、突然真っ暗になる。これほど不安で情けなくなることはない。
前にいた会社は部署横に、大一つ小一つという少人数用のトイレが設置されていたのだが、そこでよくこの被害にあっていた。入口に
“節約のため、使用後は電気を消しましょう”
と書いていたため、みんな自分の使用後に電気を消すくせがついてしまっていた。男子トイレの場合、個室の扉が閉まっていることはめったにないので、たまに閉まっていても、つい見逃してしまうのだ。
「おーい」と叫んでも、その人はもう立ち去ってしまっている。今なら携帯電話を持っているので、外部と連絡を取れば何とかなるのだが、以前はそんな手段はなかった。
そんな時どうしたかというと、とりあえず納得いくまで拭きあげ、耳を澄まし、誰も来てないことを確認してから、おもむろに立ち上がり、中途半端にパンツをあげ、鍵を開け、ダッシュで電気をつけに行く。この時、がに股で走ることが肝要であることは言うまでもない。その後、再び個室に戻り、最後の仕上げをするのだ。
2,
次に多かったのが、紙事件だ。ひととおりの作業をして、さて仕上げ、という時に紙がないことに気づく。これはショックだ。
この場合は、冷静にならないと事は解決しない。焦ったら大変なことになるだろう。
まず、周りを見渡して、利用できるものはないかよく確かめる。それで対処できない場合は、所持品をチェックする。紙系を持っていたらしめたものである。その意味でも、手帳というのは必需品だというのがよくわかる。
もし紙系を持ってなかったら・・・
・・・よく手を洗おう。
3,
他にも、個室に入って「さて今から始めよう♪」という時に、掃除のおばちゃんが入ってきて、掃除を始めたとか、中途半端な状態で鍵をかけていて、他の人が開けた ― この場合、不思議とおたがいに目を合わせ笑顔になる ― とかいろいろな事件に巻き込まれた。
これから先も、また新たなトイレ事件は起こるだろう。これは、生きてく上で避けては通れない、人間の宿命なのだ。 (2001年9月15日)