仕事の時、ぼくの車はいつも店の裏手に置いている。その場所は街灯が当たらないので、夜はいつも暗い。まあ、別に暗いからといって、どうということはないのだが、昨日はちょっと違った。
店を出て、ちょうど裏手にさしかかった時に、一通のメールが入った。誰からだろうと、携帯を取り出し、メールの画面を開いていると、目の前を一人の男の人が横切って行った。ぼくと同じく40代くらいの人で、ベージュのシャツを着ていた。ぼくは別に気にせずに、車のところまで来た。
車の鍵を開けている時だった。ふと、「あの男の人はどこに行ったんだろう?」という疑問が頭の中をよぎった。
そこで周りを見回してみた。ところが、誰もいない。その男を見てから、まだ1分も経っていないのだ。「どこに行ったんだろう」と思いながら、もう一度その男を見た時の状況を思い起こしてみた。
確か、ぼくの前を右から左に横切ったのだった。ところが、左側は土手になっていて、道などないのだ。ということは、携帯に気を取られていたため、土手の上を歩いていた人と勘違いしたのかもしれない。
と、土手の上を見てみた。が、そこにも人はいない。結構静かなところなので、遠くに人が歩いていても足音がするのだが、その音もない。
「えーーー!?」
ぼくはいったい、誰を見たんだろう?いや、何を見たんだろう?
【2】
店が建っている場所は、かつては池だったらしい。そのせいか、よく水害に遭っている。それも、普通では考えられないような水害が多い。
例えば、雨が店のひさしに貯まってしまい、ひさしがその重さで落ちそうになったことがある。ぼくはこういう店舗に勤めて20数年経つが、こういうことは初めてだった。
他には、消火栓の点検の時に水が天井から降ってきただとか、水道屋さんがなぜか判断を誤り水道管をぶち破ってしまい売場を水浸しにしただとか、数えれば切りがない。
言ってみれば事故なのであるが、ぼくはそうは思わない。ここは元々水場なので、水が自然に集まるようにできている。そういう場所に人間がいるから、トラブルになってしまうのだ。
つまり、人がいなければ、何もトラブルは起こらないということだ。ある人は、この一連の事件を「水神の祟りだ」と言いきった。その通りである。勝手に水の領域を侵しているのだから、祟られないほうがおかしいのだ。
【3】
水神様の祟りはこれだけでは収まらない。蛇やムカデといった、街中では滅多に拝めない動物を、店の中に次々と送り込んでくるのだ。こちらはそういうものを見つけたらすぐに退治してしまうが、それがまた水神様の逆鱗に触れる。
それがために、いつまで経っても水害から逃れられない。嫌な悪循環である。
【4】
ぼくは昼食が終わると、いつも例の場所に置いてある車の中で昼寝している。
これはしょっちゅではないのだが、時々、寝ている時に、何かがぼくの腹の上に乗って、どんどんと飛び跳ねているような感じがすることがある。そのたびに腹に衝撃が走り、その都度体が揺れる。もしかしたら、これも水神様のせいなのかもしれない。
【5】
昨日ぼくの目の前を横切っていた男、あれは水神様の化身だったのかもしれない。ということであれば、これから起こる何かをぼくに暗示していったのだろう。
いったい何が起きるんだろうか?それを考えると、なぜか胸がワクワクする。が、ちょっと怖い。
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