5年ほど前だったろうか。仕事中にそれは起こった。
いつものように、ぼくは仕事中に暇をもてあましてテレビを見ていた。すると2,3歳くらいの男の子が、ぼくの方にトコトコと歩いてきた。そしてぼくの前で立ち止まった。
ここまでは横須賀の時と同じである。しかし、横須賀と違ったのは、その男の子がぼくに対して発した言葉だった。先に言ったように、「おじちゃん」ではない。
当時ぼくは、すでに40歳を超えていたので、仮に「おじちゃん」と呼ばれても、もう驚きはしない。
「ああ、そんな言い方をするガキもいるだろう」と思って、軽く受け流しただろう。
そういうわけだから、もちろんショックなんて受けない。
では、何という言葉でショックを受けたのかというと、
「パパ」
瞬間、ぼくの中で、時間が止まった。
呆然としたぼくは、その次の瞬間、自然にこの言葉が口をついて出た。
「あんた、誰…?」
そのやりとりを聞いていたのか、その子の母親が慌てて飛んできて、
「○ちゃん、はい、よーく見て。ね、パパじゃないでしょ」と子供を諭し、ぼくの方を向いて、
「どうもすいません。すいません」と平謝りに謝った。
そして子供を向こうに連れて行こうとした。ところが、子供はそこから動こうとしない。相変わらず「パパ、パパ」と言っているのだ。
結局、母親はその子を抱きかかえて、連れていった。その時も、母親は、
「パパは家にいるでしょ。あの人はね、ここの店の人よ」と言っていた。
しかし、その子供はそれを面白がっているかのように、相変わらず「パパ、パパ」を連発していたのだった。
ぼくは心の中で、「早く向こうに行け」と思っていた。
まさに、『パパと呼ばないで』である。
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