≪セットリスト≫
奴らの足音のバラッド
雨の景色
Singin'InTheRain
MC
ジタバタ
スケアクロウ
トビラヲアケロ
ずっと・・
ハヤブサ
MC
Bird
※基本的に彼のステージでは曲とMCはボーダレスなのですが・・・・上記でMCと表記されているのはロングMC。
四谷コタンの第二月曜日には「道標」というイベントタイトルが付いている。塩川昇(以下:のぼ)が店でトリを務める様になってからのタイトルだ。
荒木卓也さん,藤本すすむさん,たかさきりょうさんのステージの後、彼は楽屋口ではなく、店の入り口から登場。つまり観客の背中越し彼は「乗り込んで」きた。
のぼはお客さんとの一体感を大切にしている。登場の仕方、盛り上げ方、空気作りはやはり、コンスタントにステージをこなしているからこそのものなのだろう。
①奴らの足音のバラッド
レイバンのサングラスは今や彼のトレードマークだが、そのキメたいでたちで意外なオープニングナンバー。アニメソングと侮る人もいるだろうが、実はかまやつひろしの名作である。オリジナルに比べ、やや崩した感じで歌うのぼ。
②雨の景色
のぼの歌には雨のシーンが多い。雨は熱くなった気持ちをふっと冷ます効果があるのだろう。それに、様々な心理状態を表すのに良いのかもしれない。雰囲気たっぷりに歌うのだったが、ここで「気取るの止めます」といきなりのカミングアウト。
「反応しても・・いいんだぜ!」モードに突入。反応しても・・とは「一緒に盛り上がろうぜ!」という呼びかけと「一人にしないでくれ」というshyな気持ちが絡み合って生まれたであろう、彼のライブではよく飛び出すフレーズ。
③Singin' In The Rain
続いて雨の歌を。先程とは打って変わって早いnoteを弾くのぼ。彼の中には、色々な雨があるのだ。
実は率直な感想としては、ここまで今いちノッていない印象を受けたのだがそこは百戦錬磨の彼のこと。ここからステージはどんどんドライブしていく。
④ジタバタ
のぼとしては珍しい、他の人が書いた詩に曲をつけた作品。 JIVE風のリズムに「Oi!」といった感じの掛け声を入れた、ライブ向きの曲と言える。
作詞の多田聡さんは自分で曲をつけようとしたがうまく行かなかったらしく、それをのぼにあげてしまった・・・。だがそれを咀嚼してバッチリ自分のものにしてしまったのぼ。正に詩のリサイクル。これからのミュージシャンは地球に優しくなくてはいけないのだ。
⑤スケアクロウ
待望の新曲。予告どおりの発表!ベタな表現で恐縮だが・・良い曲!!。2ビート風のストロークを爽やかに、でもどこか物哀しく奏でるのぼ。「会場で待ってます/のぼ 」のVol.74に歌詞が載っているので参照して欲しい。
⑥トビラヲアケロ
約2年半ぶりに彼のステージを見た私にとっては新曲のような印象を受けたが、ここ最近のイベントチラシのタイトルにもなっていた曲。これも大変良い曲。
彼のスタイルはギター1本が多いのでそれを「フォーク系」と分類されてしまうこともあるのだが、昨日のそれはまさしく「ROCK」だった。名曲であると同時に名演だった。バンドサウンドよりも厚みがあり、うねりのあるサウンド。私の中ではしばらく⑤と並んでしばらくヒット曲となると思う。
⑦ずっと・・
彼のアルバム「道標」にも収録されている名曲。オリジナルはピアノをバックに、ハープを絡めて歌っているが、昨夜はギターとハープ。ピアノの時とは語尾のハネ方が違うので新鮮だった。歌い込まれている感がひしひしと伝わってくる。
それにしても⑥でビシビシ打たれて、⑦で優しく心を撫でる選曲は偶然か?それとも巧みな演出だったのか・・・仕事でクタクタになった気持ちのままそんな流れにはまると、男でも、大人でも、人前でも、泣いてしまいそう。
この曲は永らく私の中でヒット曲なのだが、今ではスタンダード曲になりつつある。
⑧ハヤブサ
のぼの明るい面が出ている曲。⑥と同じ作者とはとても思えない・・・・
⑨Bird
ライブの最後を飾るにふさわしい壮大な曲。⑥で4弦を切り、張り替えたと思ったらここで3弦、5弦に立て続けにトドメを刺してしまったのぼ。激しいストロークが売りのひとつである彼だが、さすがに6本中2本の弦がなくなると、ギターフレッド全体のテンションまでが狂い、生きている弦のチューニングにも影響を及ぼすようだ。
このままではショーの最後がしまらなくなってしまう。どうする?のぼ・・・・しかしここから彼は信じられない逆転を見せる。ホルダーからハープを外し、己の喉と手拍子、ハープだけを使い、リフレインを続けたのだ。
形勢は一気に有利に。あの時会場にいる全てのお客さんが「カッコいい・・」と鳥肌を立てたに違いない。
歌いきった彼への拍手が「曲が完了したから」ではなく「ライブが完了したから」でもなく、心から手を叩いたという感じを強く受けた。
決して普段の拍手がいい加減と言う意味ではないが、曲終わる、ありがとう、拍手、といった流れは無意識にもある程度「サイン」になっていると思う。だが昨日のそれは違う。自然に発生する拍手はきっと歌い手冥利に尽きるだろう。そしてそんな場面に立ち会えた事は観客冥利に尽きる。
次は是非、自然発生する「ウェーブ」を目指して欲しい。四谷コタンでウェーブ・・・・・(汗)出来ないことはない。次のライブでそれを実現させるのは、塩川昇と、インターネット中継を見てくれた方々。そして、ライブに来てくれる観客のあなたたちです!
文:塩川昇公式サイト管理人(ファン暦13年)