塩川昇 Performance Report

塩川昇 ライブのセットリストとオーディエンスからの感想

7.22 高円寺ALONE

2005-07-24 13:12:04 | Weblog
≪セットリスト≫
悲しみブルー
裸の王様
MC
Singing in the rain

MC
ハヤブサ
スケアクロウ
トビラヲアケロ
さぁ行かなきゃ
MC
Bird



塩川 昇 LIVE '05/7/22 高円寺 ALONE

イギリスのテロ事件発生後、私は何かが胸に痛い。
kill・・・・
「着る」のはステージ衣装か武装か・・・
「切る」のは裏か指か・・・
文化もテロも裏切りと指きりの狭間にあるのならば同じではないか・・・・
いや違う・・・
その違いは何だ・・・
文化の力はなんだ・・・
答えが出せないもどかしさのまま塩川ライブはスタートした。

1、悲しみブルー
恋愛の曲だろうが、今日はそんなモードで聞き取れない。
亡くなった人、大切な人を奪われた人、そんな人を慰めるかのように塩川の暖かさとせつなさがそっと会場を包み込む。
2、裸の王様
戦争・革命・喧嘩。ジョウトウだ! あいつに、誰かに、やらせるさ・・・自爆テロ。
最後の歌詞「おまえだよ・・・」の一言の行方が重くのしかかる。
3、Singing in the rain
事件の雨に打たれて、まさにフラストレーションだ。ポジションだ。
「俺が俺であるために」だが、奴等だってそうなのかと思うと、また雨に打たれてしまう。
4、ハヤブサ
びしょ濡れの心にこの曲の軽快さがやわらかな安らぎを与えてくれる。
「前へ、明日へと進む」ことによって何かが見えて来るのではないか。
自転車を何と解釈するかだ! 自転車は自分の力でこがなければ動かない。
5、スケアクロウ
新しいこの曲は塩川次第でこれから、さらに世界が広がる作品。その難しさと不安さが今日のライブの流れで「さなぎ」となって表現された。
6、トビラヲアケロ
「さなぎ」のあとの激しい放出か、文化が放つテロへの攻撃か。
成す術が無いなら何もしなくていいのか! 
「まずは知る事」等身大の自分の素直さからの一歩が可能性を生むのではないか!塩川のシャウトは己自身へもそう呼び掛けているに違い無い。
7、さぁ、行かなきゃ
熱く痛い思いを優しく撫でてくれる。
「出逢いと別れ」そこから生まれるものとは?
男女間だけではない。親子、友人、様々な関係での解釈だってあるだろう。
いつまでも立ち止まっては生けない。が、立ち止まることで強く生けることもある。
が、明日が、生活がある・・・。生きて行かなきゃ。
事件から受けた打撃。その痛みが取れぬまま。でも・・・さぁ、行かなきゃ。
8、Bird
答えは無い。雨は降る。成す術は無い。
でも、Jamp! 果てしない空へ! それぞれの空へ・・・Jamp!
「激励」してライブを終了したのではなく、「勇気」を放って次のライブへ続くのだろう。

今回の塩川ライブを私は勝手に「テロ」というテーマで受け捕った。
塩川本人のテーマは塩川本人しか知らない。
ストレートさが多様な早さと重さで自由に感じ捕られ、独り独りの心を踊らせる「塩川の歌」に初対面した。

井上博之







7.11. 四谷コタン

2005-07-13 00:47:31 | Weblog
≪セットリスト≫
少年とナイフ
切なさの行方
スケアクロウ
MC
Bird
It's Only Rock'nRoll
Midnight Junky
トビラヲアケロ
MC
It's all right
~アンコール~
ズック


SEのあるLIVEは、あまり馴染みがない観客も多いだろう。
塩川昇は敢えてSEにこだわっていると聞いていた。懐かしいアニメのエンディングテーマが響き、静かに幕を開けたライブショーは、想像以上にロック色が強かった。

その場の空気が一変し、ギターのストロークに視線が集中した。
サイドギターは自らもライブを終えたばかりの安達大輔。3曲目まで一気に歌い切った後、彼は「素」に戻り、少し訛りの残る口調で簡単に自己紹介をした。

「みんなお前が誰だか知ってるよ、今日はどんなお前を見せてくれるんだい」とでも言いたげな笑いが零れる。
すでに会場はすっかり塩川ワールドに引き込まれていた。
安達氏とのコラボレーションはこの塩川ワールドを一層華やかに演出している。

初めて訪れた観客もそうでない観客も自然にリズムを刻みだす。
この世界にいかに馴染むかなんてカンタンだ。なにせ流れは彼が作り、不思議なマジックフレーズにより、まんまと乗せられてしまうのだから。

中半の彼は、春から夏へのさわやかな風を作りだし、後半に向かうにつれ、激しい夏の嵐を巻き起こした。渦に呑み込まれて行く人々、戸惑いすら感じる。
しかし、その激しさの中にも私は、彼の人間くさい「優しさ」を感じた。彼の歌詞や曲調は多彩な色を放ち、荒々しくも穏やかにも胸に響く。
そこには間違いなく、綺麗事ではない「優しさ」が一貫していた。

気がつけば会場は、自然に塩川ワールドに包まれ、見事に一体化した。


彼のライブは私の期待を裏切らなかった。

ショーは終幕を迎えたがアンコールを待つ拍手は止まない。
次は是非、Soloのライブにも足を運んでみたい、塩川昇という男をもっと知ってみたい。そんな気にさせられたライブだった。

伊藤 仁
JIN ITOH