春の音

もう桜の花が満開でポカポカ陽気でした。
お重に美味しいものをいっぱい詰めてのお花見です。
野原を爆走しお腹もペコペコになったので、急いでお重を開けこちらも満開の料理を頂きました。

いただきまぁ～すと大きな口を開けて、
ふと桜の木の枝先を見ますと、何やら白いヒラヒラしたものが見えてきました。
松の木だと天女様が降りて来たかと思われますが、何分、桜ですからね。

と、そうこうしている内に、
突如、天からもの凄い音がしてきました。
それこそ雑巾を引き裂くような女の悲鳴とはこの事でしょう。

ぐぎゃあ゛～どどどずどずどごごぎぎゃがぁがぁぐげッぐふッ。

思わず辺りを見回してベッドから飛び起きました。
階段まで行って下を見ると、燦ママがヘタリ込んで居ました。
なんと、あと数段というところで足を踏み外し下まで滑り落ちたとのことでした。
しばし笑う事も出来ず、気が動転してたようですが、イテテテテと言いながら復活です。

幸いこの様な非常時に備えて、
常日頃から背中とお尻周りには出来るだけクッションになるようにと、
緩衝材を詰めるのに弛まぬ努力をしたことを強調し、
それが功を奏したと、勝ち誇ったようにオホホホホと雄叫びを上げていました。

あと少しというところで美味しそうなお重と、綺麗な天女様を同時に逃してしまいました。
何たる失態。

何事も無かったかのように、
近くではうぐいすが、大分上手になった声でホーホケキョと鳴いていました。
春眠暁を覚えたので朝食です。

燦ママ特製の八朔のま～まれ～ど、
これは北の大地の熊子さん秘伝のレシピを伝授して頂いて作ったものです。


カリカリのフランスパンにつけて食べました。
今度は何処からも変な音はしませんでした。
変なヒラヒラもありませんでした。
ヨダレも本物でした。