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書評「イメージをトレースする 山歩き地図1 剣山・三嶺」
書評
「イメージをトレースする 山歩き地図1 剣山・三嶺」
泉保安夫著
美巧社 2006年12月第一刷
ISBN 9903344-2-6
じっくり読みとくような 地図。
地図は見るものではなく、読むものだといわれている。一枚の地図が与えてくれる情報量は膨大なものであり、一寸一瞥しただけでは とても それらをすべてを読み取ることはできない。地図をしっかり 読み取るにはじっくり腰を据えていかなくてはいけない。ことに登山用地図は図上登山だとか、インドアクライミングとか、いわれるように、地図を見て計画し、思い出を振り返り、思いを巡らせることができるもので、一枚の地図から 実に多くの山の物語が始まる。
著者は「イメージをトレースする」のシリーズを以前 刊行されている。
前作では 正確かつ精緻な記述で山行記録を書かれていたが、その中の添付の小さなカット地図には文字通り正確なトレースが書き込まれていて、イメージ通りの軌跡がそのまま表現されていると、驚いたものであった。
今回の地図は著者が そうした そのイメージを長年 地図上で暖めてきたものを この山域全体に拡げて編集したものである。
元になったのは国土地理院5万図であるが、2万5千が基準になった今、5万は既に いわば更新停止中といった感じがする縮尺である。山域の大きさから5万を選択したというより この縮尺の方が より イメージを ふくらますことができ 読者に 語りかける ものが多いからだろうか?
著者は あへて この5万の縮尺の地図を元に 自らの徹底的な実地踏査をふまえて それに基づいて編集され 更新停止を 見事に過去現在を あらわして 五万図に貴重な情報を しっかり 見事に編集されている。
各種情報は出典元に確認なされ、出典者にも直接、念入りの調査活動も行われている。
地図製作の第一は まず現地調査であるが 市販の地図では コスト面など考慮してなかなか そこまでの ことは 残念ながらできない。国土地理院でも全国すべての地図に無制限に惜しみなくコストと時間をかけた実地踏査などはやはり できないだろう。
著者は 長年 この山域を ホームゲレンデとされてきた。こうした長年にわたる著者のこの山域にかける 並々ならぬ思い入れが こうした 実地調査と 地図の編纂作業を成し遂げたものであり この労作の完成に至ったものと敬服する次第である。
最後に この地図を使う 登山者にたいしての お願い。
この地図を持って 登山しても 著者のように この山域の隅々まで 自由自在の山歩きが誰でもできるというわけではない。
地図を読みこなし、ちゃんとしたルートファインディングができ 地形の判断ができ、自ら危険が回避できる能力は それなりに ステップアップして行かなくては 身につくものではない。
更に 山では 様々な厳しい自然条件が影響してくる。
この地図では 初心者から 中級者 上級者と 様々なレベルに応じたコースが選択できる。レベルに応じた山行を行い 徐々にステップアップなさることが必要である。
「赤テープを追うだけ」と いうのは 決してルートファインディングではない。その場合は そのレベルに応じたコースを選択され、さらにステップアップされることだ。
くれぐれも 奥山に 山なれぬ方が入り込み 道迷い遭難とか 赤テープ乱発とか 自然環境の保護の問題とかなど 色々な問題が起こるような 懸念は ただの杞憂だけに終わってほしいものだ。
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5万分の1の作業の時は、2万5000分の1の地図修正をしました。
その地図を縮小して5万分の1の基本図修正をしていました。
今は、別々に作業しているのでしょうか?そんな方法していたら2倍近い費用が掛かります。
一緒に2万5000分の1、5万分の1(今は無き10万分の1)を同時進行で作業すると安く修正できるのに。
登山者からの情報を盛り込むだけの技量があれば山道が次々に正しくできるであろうに。
2万5000分の1の調査に使われるのは同縮尺程度の拡大航空写真を現場に持って行き調査データを書き込んでいきます。
写真に写っていない山道に関しては修正対象に含まれることは余りありません、土砂崩れのあった場合は調査対象になりますが。
現地調査する人間は登山趣味の人である機会は稀です。
写真判読は出来るが山歩きの不得意な人も多いです。
ご訪問並びに 貴重なコメント有り難うございます。
ブログ拝見しました。素晴らしい空からの写真一杯ですね。
これからも宜しく願います。