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『やってはいけない 山歩き』  野村 仁 著 2016年10月1日 青春出版社

『やってはいけない 山歩き』 野村 仁 著 2016年10月1日 青春出版社

著者は 山岳ライター として長年 活躍され 『もう道に迷わない』など 山岳遭難関連の著書がある。

本書は この出版社の『やってはいけない---』シリーズの本。

著者は 昨今の 山歩きの風潮のなかで 特に ここが間違っているのでは と論述している。

なかでもネット時代の「ネット依存の山岳情報だけで山にでかける」危険性を強く指摘している。

というのも 地図 本などの媒体で公開されている情報は その作成過程で 何人も 方々の厳しいチェックや 検証を経て 情報の精度が向上するのにくらべ、 検証過程が まったく省かれて そのまま公開されるネット情報。

多くの場合、ネット情報は 出版物に比べ 精確・精緻さに欠ける場合が多いという。

これは 私自身 自戒を込めて たしかに そう思うところ。

発信者が初心者レベルであっても、 ネット情報の 偏った情報でも公開してしまうと、受け手が よほど しっかりしていないと 不正確情報も 正しいものかと そのまんま 鵜呑みにして 誤った情報をもとに判断し それをもとに 山中でも誤った判断をして しまうことになってしまう。

ネット上では 一番肝心な 山の危険情報など ときには 全く触れられてないなどの場合も多く、「ネット依存の山岳情報だけで山にでかける」のは 大変 危ないと 著者は強く警告している。

もっとも 書籍でも 昔ならルート精通者だけが 書いていたガイド文なのに、今では 一回歩いただけで ガイド文を 書く方も珍しくなくなったとか。

書籍の執筆者も精通度が低下しているのだ。

ネットの不正確情報が氾濫するのも こうした「一回歩いただけで ガイド文を 書く」時代背景に由来するからなのだろうか?

「一回歩いただけで ガイド文を 書く」と同じく 初心者レベルでもネット公開ができ、 都会近郊の山域などで近ごろ増えてきていて ネット上で やたらバリエーションルートを自慢げに 公開する危険性も指摘。

流行の「バリエーションルート」で 道迷いにつながる危険なども指摘。

いまでは いともたやすく ネットから 玉石混交の 大量の情報がすぐさま手に入るが 受け手が それらをきちんと 取捨選択して 活かすことができるのだろうか?

多くの場合 不正確な 情報洪水に振り回され 踊らされて いるだけではないだろうか?

ふりかえってみて 昔の山歩きは 数少ない 貴重な山岳情報を獲得するには 先人、先輩からの口伝伝授など それなりに 情報入手には苦労があった。

著者自身も 登山歴40年の古いタイプの登山者と 告白している。

そうして やっとえられた 数少ない情報を きちんと自分なりに整理して 吟味 咀嚼して 自分の山の行動の判断材料に 適確に活用できていたと おもう。

そうした情報入手に 苦労した時代に比べると 膨大な大量情報がいとも簡単に 手安く入る時代。

 いまは まさに隔世の感がするが、この時代だからこそ 山岳情報の洪水の中 で 現在地の自分を失わないで 進むべき方向をしっかりもって いくことが 大切だと強く感じた。
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