佐藤優氏の『獄中記』を、約5ヶ月振りに再読。拘置所という特殊な環境にありながら、外国語や神学、哲学などの勉強に適している、などとし、200冊以上の本をノートにメモを取りながら精読していく。獄中ノートは62冊に及んだという。
弁護人や大学時代の友人、外務省時代の後輩などへのメッセージや日記も収録。
厳しい取り調べや夏の暑さ、冬の寒さに耐えながら、様々な制約条件(一度に所持できる書籍は最大で10冊まで)の中、知的生活をあくまでも貫徹しようとする精神力には脱帽せざるを得ない。
ドイツ語やラテン語などの外国語学習もさることながら、ハーバーマス、ヘーゲルなどの哲学、カール・バルトなどの神学や新約聖書や旧約聖書、宇野弘蔵や廣松渉など日本のマルクス主義者、ナショナリズム論、『太平記』や『山椒魚戦争』、『監獄の誕生』などについて勉強している部分が特に印象に残った。
弁護人への手紙では、鈴木宗男事件に絡む「国策捜査」について、社会哲学の学習成果を元に考察していく。
囚人心理として、物欲は小さくなるものの、食べ物と文房具に対する執着が強くなり、娯楽が限られる中でラジオを聴くのが1つの楽しみとなる、という部分は興味深い。
また、雑居房では将棋の貸与があるとか。
佐藤優『獄中記』岩波現代文庫
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