〜1986年頃のできごと〜
アトリエには色々な職業の大人たちが
絵を描きに来ました
床屋さん、魚屋さん、デザイナー、会社員、
美術教師、歯科大学の学生、医局員、元バレリーナ、
ボクサーを息子に持つお母さん………
ある日魚屋さんが なぜか花に顔のある油絵を
描きあげました
普通に静物画を描いていた普段の魚屋さんの絵は、
決して上手とは言えませんが、素朴な魚屋さんの
人柄が自然に込められていて、私は隠れファンでした
しかしこの日の魚屋さんの絵には無理がありました
何があったのでしょう
こういう時の先生の対応には倣らうものがありました
決して否定はせず、思い切った表現を嘘のない言葉で
労ったのです
その後魚屋さんがどうしたのか、記憶には残っていません