今回は思考の枠組みを再設定する訓練を行う。まず、最初に身の回りのあらゆるのもで、ここは不便だ、ここがこうなったら、良いのにと言う改善の余地があるものを挙げ、それをどうすれば実現出来るかの設計のプロセスを考える講義です。
今回の授業の目的は常識を打ち破る手法を学ばせる。学生たちにあるテーマを与えて、常識を挙げて貰い、次にそれを根底からひっくり返し、全く新しいものに創り変える手法とツールを学ぶ。これは創造性とは何かを具体例から考えて行き、創造性のカギの常識、思い込みに挑戦する事に有ります。
【チェックイン】
ミーティングやワークショップでは、目的や目標を共有したり、互いが知り合うための時間やプロセスのことをチェックインと言う。
・今日はどんな一日を過ごしたか?
⇒学生の回答;「渋滞に成ると思って早く出たが、渋滞しなかったので早く学校に着いた」「昼寝が出来た」「従弟に子が出来た」「祖母と話をして生きている事の素晴らしさを教えられた」「三時間昼寝が出来る」「目覚めが良かった」
【ウォーミーングアップ】
助手の二人が新しい寿司の機械を作ろうと話し出し、機械のシステムの一部を体で表現し始めた。そして、「僕は××」と言って後に続いて下さいと言う。
更に、プロトタイプ(試作品)して実際に動かす物を作る訳ではありません。あくまでも空想的はものを作るのですよと言って、学生に寿司マシンの一部を演じさせた。
まず、7つのボードに合わせて学生たちを7つのグループに分け、それぞれ違った色のペンを渡して課題が出された。
【課題1】
7分間で「最高の家族旅行」をブレーイン・ストーミング(BS)する。
⇒学生の会話;一流のホテル・見たことも無い景色・宇宙で食事・豪華客船の旅など既存のものが多い。
【課題2】
1分間でチームリーダが出し合ったアイデアの中から、一番気に入ったものを一つ選び、緑色の紙に書き出して、それをボードの隅に貼る。
【課題3】
次は7分間で「最悪の家族旅行」をブレーイン・ストーミング(BS)する。
⇒学生の会話;家族が来ない、砂漠に行く、沈黙の旅行、トラブル続きなど
【課題4】
次に、2分で「最悪の家族旅行」のアイデアをリーダが選んで下さい。
【課題5】
次に、「最高の家族旅行」のアイデアが書かれた紙を半分に折り、また更に半分に折り、四回折った所で破り捨てて下さい。
【課題6】
次に、「最悪の家族旅行」のアイデアが書かれた紙を隣のグループに渡しなさい。そして、渡されたグループは10分間で、それを「最高の家族旅行」に変えられる様にBSし、CMを作り発表しなさい。
【CMの発表】
①不眠地獄で過ごす旅
⇒クラブのCM、刺激的な内容をアピールする。
②タイタニック号の二等船室の旅
⇒旅行会社のCM、激安なプランをアピールする。
③嵐の中で赤ちゃんが泣き止まずに一人でする旅
⇒旅行会社のCM、ゲーム感覚が味わえるプランをアピールする。
④試作品の電気機器のお陰で飛行機が故障する旅
⇒イベント会社のCM、アメリカンフットボールのハーフタイムで空からパラシュートで降りて来てパフォーマンスするプランをアピールする。
⑤混沌の中に閉じ込められてする旅
⇒旅行会社のCM、冒険的なテーマパークを旅行するプランをアピールする。
⑥汗かきの大男が降って来て奴隷にされる旅
⇒ゲームのCM、新しいロールプレインゲームのプランをアピールする。
【評価】
最高のプランはリゾートの延長をイメージにして出されたアイデアであるのに対して、最悪のプランは常識の逆をイメージして出されたアイデアであった。また、最悪のプランは短時間で沢山の奇抜なアイデアを生む事が出来きた。
【常識を書く】
ファーストフードの常識をリストアップ。
⇒①不健康②低価格③ドライブスルー④食べ物である⑤沢山の人⑥椅子の座り心地が悪い⑦マスコットがある。
【誇張する】
常識を誇張し、ピンクのカードに書く。
⇒①体に毒②無料・店が料金を払う③考えただけで物が出てくる④すべて食べ物⑤全員で食べる⑥椅子が無い⑦定員がマスコット
【反対にする】
常識の逆を考え、イエローのカードに書く
⇒①スローフード・癌が治る②高価③ハイキング④サービスが無い⑤会員制⑥ベット⑦独特な店
【課題7】
各グループのリーダがピンクとイエローのカードを一枚ずつ選ぶ
【課題8】
リーダが選んだカード見て30秒のCMを10分で作り発表する
【CM発表】
①考えただけで料理が出る/ハイキングする
⇒客がマイクを付けて歩きながら注文して料理を上から落すレストランを提示する。
②店が料金を払う/招待客だけ
⇒テレビでセレブを見ながら食事するレストランを提示する。
③マスコットがサービス/予約が何年も掛かる
⇒WWFの募金活動に貢献しているレストランを提示する。
④体に毒/とんでもなく高い
⇒テレビ番組と連帯しているレストランを提示する。
【評価】
このような手法、最高⇒最低⇒クールな考え方は実際にシルク・ドゥ・ソレイユを考え出された時に使われた手法である。シルク・ドゥ・ソレイユは当時、廃れて来たサーカスを改善する為にサーカスの常識を覆して行った。
今回のレストランのCMはあまり良い出来ではありませんが、この様な手法を取る事でBSでは得られない斬新なアイデアが生まれる。
つまり、これまで思いも依らないアイデアを生み出すのも、発想させる為のプロセスがある事を知った。それは、今までの科学の様に既にあるものを探し当てる手法と違う。
そして、最高のアイデアを考える時は、これが最善であるか疑うのに対して、最悪を考えて出したアイデアに疑問を抱かない。また、短時間で斬新なものが出やすいのです。
すなわち、『最悪なアイデアこそ、最善なアイデア』
以上