少し前になりますが、ミックス＆マスタリング用としてオーディオテクニカの開放(オープンエア)型ヘッドホンATH-R70Xを購入しました。
 | audio-technica プロフェッショナルオープンバックリファレンスヘッドホン ATH-R70X 開放型 ミキシング ... 当社初のプロ用オープン型リファレンスモデル誕生。 40年来のヘッドホン技術に基づく新設計ドライバーと... Audio Technica(オーディオテクニカ) |
長年使って来たソニーのマスタリングエンジニア向け密閉型ヘッドホンMDR-Z1000が経年劣化で周波数バランスが崩れてきたため、3月にヤマハの密閉型ヘッドホンHPH-MT8を購入し、現在はこれをメインのヘッドホンとしてミックス＆マスタリングで使っていますが、HPH-MT8は周波数バランスが良く、解像度も非常に高いので、EQやコンプのかかり具合の変化を0.1dB単位で把握出来て、細かい音質調整がとてもやりやすくなりました。が、その反面まるで顕微鏡で音を見るようなイメージで細部まで全て聴き取れてしまうため、客観的に音楽の全体像を聴くことが少し難しい印象もありました。そこで、もう少し客観的に全体像を聴けるヘッドホンもあった方が良いと思い、開放型ヘッドホンで評判の高いオーディオテクニカのATH-R70Xを購入しました。開放型としては解像度も高く低音もしっかり出るヘッドホンという評価されていますが、非常に解像度の高いHPH-MT8に比べると解像度はかなり落ちる印象はあります。しかしその分、細部まで意識が向かずに音楽全体を聴くことが出来るので、音楽鑑賞用としても十分楽しめるヘッドホンだと思います。音楽全体の音の響き、リバーブなどがとても綺麗に聴こえて心地よいのですが、微妙な音質変化は判別しづらいので、ATH-R70XではEQやコンプでの音質調整は行わず、主に音量バランス調整用として使った方が良さそうです。
最近のミックスの手順としては、まず最初にATH-R70Xで各トラックの音量バランスを整えた後、HPH-MT8で細かい音質調整(主にEQ、コンプ調整)を行い、再びATH-R70Xで全体の音量バランス調整、そして最後に複数のスピーカーを切り替えながら最終的な音量バランスと音質調整を行っています。作業割合としては、ATH-R70Xが30%、HPH-MT8が40%、スピーカーが30%といった感じで、ヘッドホンでミックスする時間が圧倒的に多いです。
マスタリングではモニタースピーカーからラジカセ、iPhone、iPadなど大小さまざまスピーカー、ヘッドホンはHPH-MT8とATH-R70X、イヤホンはAppleのAir Pods、Ear Pods、ソニーの5千円くらいの重低音イヤホンなどで最終的な確認を行って仕上げています。熟練のマスタリングエンジニアならこんなに沢山の再生機器で確認しなくても素晴らしいサウンドに仕上げられると思いますが、僕はまだまだそういうレベルではないので、さまざまな再生機器で聴いてみてベストなバランスを探ります。最終確認する再生機器が多いのでとても時間がかかる上に、翌日になるとまたやり直したくなり、10回以上マスタリングをやり直すこともあります。何年やってもマスタリングは本当に難しいですね。
5月28日リリースの「黒いオルフェ」絶賛配信中です！
Black Orpheus - for Two Trombones
＜収録曲＞
1. 黒いオルフェ - for Two Trombones
2. 黒いオルフェ - for Two Trombones (SCJP Remix)
プロデュース：岩崎 浩 (mellowtone studio)
作曲：Luiz Bonfa
アレンジ＆リミックス : Sliding Cafe Jazz Project
トロンボーン : 岩崎 浩
ミキシング & マスタリング : 岩崎 浩 (mellowtone studio)
＜リリース日＞
2021年5月28日
Spotify、Apple Music、他主要音楽配信サービスにて全世界同時リリース。
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[YouTube]
黒いオルフェ - for Two Trombones
黒いオルフェ - for Two Trombones (SCJP Remix)
＜トラック説明＞
１９５９年に公開された映画「黒いオルフェ」の主題歌で、原題は「カーニバルの朝（Manha De Carnaval）」。ジャズ・スタンダード・ナンバーとしても人気の高い楽曲で、数多くのジャズ・ミュージシャンによって演奏・録音されている。哀愁を帯びたメロディーはトロンボーンの音色にとてもよくマッチする。一般的にボサ・ノヴァのリズムで演奏されることが多いが、今回はあえてボサ・ノヴァのアプローチではなく、エレクトロニックのバックトラックでトロンボーンの美しいメロディーを彩るようなリミックスとした。
なお、1曲目のトロンボーン・デュエット・バージョンは、2018年にダウンロード楽譜販売のデモ演奏としてYouTubeに公開した音源と同じものです。
リミックスバージョンではどのようなサウンドに彩られているのか、お楽しみに！
＜お知らせ＞
主要音楽配信サービス各社のSliding Cafeアーティストページのまとめです。
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