ただ、この先生の要望で、オケは人の生演奏ではなく、可能な限りコンピューターの打ち込みで作って欲しいとの事。いわゆるコンピューターミュージックサウンドを狙うのではなく、ほとんど打ち込みで作っているにもかかわらず、サウンドは限りなく生演奏に近いクオリティーのオケにして欲しいらしい。つまり、現代のテクノロジーの限界に挑戦して欲しいという事。
現代のテクノロジーを駆使して、どれだけ実際の人間の生演奏をシュミレーション出来るものなのかという事をその先生は知りたいらしい。その先生自身はコンピューターの打ち込みや機材の事とかは全く知識はないんですが、最近のコンピューターの進歩にはとても興味があるみたい。
確かに、最近のソフトシンセ、ソフトサンプラーのクオリティーの進歩はもの凄くて、ドラムやオーケストラもののソフトシンセは、生演奏なのか打ち込みなのかほとんど聞き分けがつかないレベルまで来てます(実際に打ち込む人間の音楽性、技術にもよりますが)。ヘタなミュージシャンを雇って演奏してもらうくらいなら、自分のイメージどおりに打ち込めるソフトシンセを使用した方が良いと思えるくらいです。
ただしギターと管楽器だけは、現代のテクノロジーを持ってしても生演奏をシュミレーションする事は難しいようで、これぞ決定打といえるソフトシンセはなかなか登場しませんね。管楽器のような微妙なニュアンスを表現するのは、おそらくコンピューターでは当分無理でしょう。というか、管楽器奏者としては完璧に生演奏をシュミレーションできるソフトシンセが登場したら死活問題ですね。僕の予想ではあと100年は、そういうソフトの開発は無理でしょう。
今回のオケ制作ではギターと管楽器だけは生演奏で、他の楽器は全て打ち込みで作るという事、ギター以外のパートは全て僕自身がアレンジから打ち込み、録音、ミックス、マスタリングまで行う事、という指令が先生から出ております。つまり、外注はダメよッ!て事。先生いわく、この仕事をとおして、僕のオケ制作のスキルアップと制作環境(新しい機材の導入等)の向上をはかって欲しいという、親心的なところもあるようです。
そんな訳で、ただ今V-Drumsを使ってドラムフレーズを考え中。ギター以外はミュージシャン使用禁止ですから、アレンジだけでなく全ての楽器の演奏センスまでも問われてしまう仕事です。大変ですが挑戦し甲斐はありますね。
ただ、その現代の最先端のテクノロジーを駆使した打ち込みのオケを作るためには、当然その最先端のコンピューター、ソフト、機材も購入しなければならず、おそらく今回の仕事の報酬のほとんどはそれらの投資に消えていく事でしょう。でもこの仕事で最先端の音楽制作環境にする事ができれば、他の仕事におけるレベルアップもはかれるので良いのではないかな。
ちなみに、この先生の歌、メチャクチャ上手い!上手いというかセンスが素晴らしいです。プロの歌手としても十分通用する程の歌唱力です。やはり大学教授になるような人は、いろいろな分野で才能を発揮する人が多いですね。
この先生の制作プロジェクト、アルバム1枚分10曲ほど制作予定となっています。
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