Sliding Cafeマスターのブログ

STP

久々にトロンボーン5人のグループレッスン。この5人のレッスンは今回で3回目となりますが、みんな素直なのでとても良い方向に上達してきています。やはり自己流、我流で闇雲に練習するのと定期的にレッスンを受けるのとではその上達具合に雲泥の差があります。特に初級~中級レベルの場合、自己流でやってしまうと間違った奏法が先に身に付いてしまいがちです。またやっかいな事に一度間違った奏法を身につけてしまうと、その間違いを矯正するのにもの凄い努力と時間が必要となります。だから何事も最初が肝心。最初から正しい奏法を身体に覚え込ませてしまえば、数年後には頭で考えなくても身体が無意識のうちに反応してくれるようになります。そうすれば、奏法の事に神経を使わなくてすむ分、より音楽表現の方に集中できるということです。

マイケル・デイビスさんが自身のエチュードや実際のクリニックでも再三に渡って強調していた事ですが、人が上手い演奏だと認識するための三大要素は「サウンド、タイム、ピッチ」だという事。つまり音色が良く(サウンド)、テンポが正確で(タイム)、音程が正しい(ピッチ)演奏は基本的に誰が聴いても上手い演奏だと感じるはずです。「Sound、Time、Pitch」略して「STP」。この三大要素は全ての楽器演奏に共通する基本だと思います。三大要素のうちのどれかひとつでも欠けてしまうとダメで、例えば音色、音程は完璧なのにテンポが安定しない演奏というのはやはり聴いていて不安に感じるものです。だから日頃から常に「STP」を意識して練習(演奏)する習慣を身につけることがとても大切ですね。

「STP」をクリアにするための努力を積む事は演奏家としての最低限のマナーであって(社会人としての基本マナーみたいなもの?)、この三大要素をクリアしたその先に有るのが本当の音楽表現と呼べる領域なのではないかと思います。僕はジャズ、ラテン、ロック、ファンクなどのような、いわゆるポピュラーミュージックの方が専門なので、クラシック音楽の音楽表現については述べる事はできませんが、ポップス系音楽における管楽器の音楽表現で最も大切な事は、音楽ジャンルによる吹き分けが出来るかどうかだと思います。

基本的にポップスはビートミュージックなので、ビートの種類によって吹き方、ニュアンス付け、音色、またタイム感、グルーヴ感も変えなければいけません。例えば、スウィング・ジャズ(フォービート)とロックのようなエイトビート系音楽では発音(タンギング)の仕方、音の切り方など、その表現方法は全く違いますし、それぞれのビートに適した吹き方をしないと、さまにならない訳です。仮に「STP」の「タイム」が正確であっても、正確にタイムキープできているだけではポップスの音楽表現としては不十分だと思います。ただポップスは1曲を通して基本的にテンポは一定の音楽なので、「STP」のうちで「タイム」が最も重要であることは言うまでもありません。

「STP」をクリアした上で、ビートの種類(音楽ジャンル)によるニュアンス(発音の仕方、音の切り方、音色、音の長さ等)の吹き分けができる事。これがポピュラーミュージックにおける音楽表現での最重要事項。更に基本ビートに対してジャストタイミングで吹くのか少しタイミングを遅らせて吹くのか、あるいはスウィングのハネ具合を変える等によって、いわゆるリズムのノリ、グルーヴ感をコントロールできるようになれば素晴らしいですね。
管楽器で表現するビートミュージックの感覚が大事。

以上は自分自身に対する教訓でもあります。

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コメント一覧

マスター
タイヤマンさん

アンサンブルの場合は、STPのうちでサウンド(音色)が一番重要ですね。つまり8人なら8人の音色傾向が同じである事が重要だと思います。例えば柔らかく丸い音色の奏者ばかりの中に1人だけソリッドでブライトな音色の奏者が入ると、その1人だけがやたらと目立ち過ぎてしまうものです・・・(これは僕の苦い経験でもあるんですが)

メンバーの音色傾向が揃っていると多少ピッチがずれていてもそれほど気にはならないものです。
タイヤマン
なるほど!
この時期になるとアンサンブルコンテストに向けての練習をしている社会人バンドの方々に教えてあげたいと思います。私も飛び入りで練習がてら8人のメンバーで吹いていますが、8人の音の長さ、リズム感、ピッチが合えばいいんですが・・・がんばります。
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