
ウンランは Linaria japonica で、リナリアの著名な在来種だと先に押さえてしまうと理解がしやすい。リナリアにウンラン属の和名を充てたころは、ウンランがまだ多く見られたのだろう。
そのウンランは、今では限られた場所で咲き、誰もが見られるものじゃない。私も知らない。一方で園芸花リナリアは広く流通し多くの人が知っている。属名は併用されるが、今はリナリア属がメジャー。
しかし、マツバウンランはマツバウンラン属 Nuttallanthus で独立していて、リナリアの仲間ではない。だが、確かにリナリアに似ている。今ならマツバリナリアとなるところを、昔日なのでマツバウンランとなったのだろう。
撮影日: 2017/04/27
外来の植物に、国内の似た花があれば、その名を借用する例はあまたある。観賞用に売ろうと思えば、人気がある、魅力ある響きの名を使う。学術的な分類との不一致は往々にして生じる。
園芸目的で持ち込まれ、普及することなく、野に広まり野草となった数多い花のひとつで、時代の流れや自然環境の消失などを、その名に抱えて咲いている。